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意外な組み合わせで生まれた名車たち

時に名車と呼ばれるものは意外な組み合わせによる化学反応で生まれることもあります。

 

今回はそんな絶妙なタイミングが奇跡的にマッチングして誕生した3台の名車をご紹介していきましょう。

 

■ロータス エラン


 

*写真は初代です

 

ライトウェイトスポーツと呼ばれる軽量コンパクトなスポーツカーを次々と生み出してきた英国の老舗自動車メーカーであるロータス。

 

そのロータスの代表的なモデルがエランです。

 

初代モデルは1962年にあのコーリン・チャプマンによって開発され、エンジンには英国フォード製の直4をベースにした自社開発エンジン「ロータス・ツインカム」を採用しています。

 

この初代エランはシリーズ1から4までつくられたのち、1975年をもって生産終了となりました。

 

その後ロータスは1986年に米ゼネラルモーターズの傘下となり、GMグループ内のいちブランドとしてスポーツカーを担当するようになります。

 

そのような状況下で1989年に登場したのが2代目のエランでした。

 

この2代目エランではGMグループ内の各コンポーネントを用いることが決められており、そのひとつがいすゞ自動車だったのです。

 

FRだった初代エランに対し2代目はFFとなり、フロントボンネットに搭載したのは2代目のいすゞジェミニでも使われていた1.6Lの直列4気筒ガソリンエンジンでした。

 

「4WE1」という型式で呼ばれるこのエンジンは、最高出力130ps/7,200rpm、最大トルク14.5kgm/4,200rpmを発生し、ジェミニZZハンドリングバイロータスというモデルに搭載されたのち、2代目エランにも用いられることとなります。

 

当初はミドシップ化も検討されたものの結局のところFFというレイアウトに落ち着き、足まわりをはじめとするさまざまなセッティングとチューニングによって優れた運動性能を生み出す新生ライトウェイトスポーツが完成したのです。

 

しかしFFレイアウトにしたことで旧来のロータスファンから受け入れられることがなく、販売的には決して成功したとはいえないモデルとなりました。

 

 

■デトマソ パンテーラ


 

 

アルゼンチン出身のアレハンドロ・デトマソが1959年にイタリアのモデナで創立した自動車メーカーがデトマソです。

 

マングスタやヴァレルンガといった個性的なスーパーカーを数多く手がけてきた、知る人ぞ知るスーパーカーブランドのひとつですが、その中でも忘れてはならないのがパンテーラです。

 

その美しくも迫力のあるデザインや迫力のあるV8サウンドは今もなお多くのファンを魅了してやみませんが、このプロジェクトを実現させた偉大なる自動車メーカーが、米ビッグ3のひとつであるフォードだったのです。

 

1960年代のレースシーンを席巻したフォードGTの輝かしい功績を受け継ぐべく、次世代のフォード製スポーツカーを渇望していた当時のフォード社副社長であるリー・アイアコッカとその友人であるデトマソがタッグを組んだことで誕生したのが、このパンテーラという怪物でした。

 

スタイリングは当時イタリアのカーデザインスタジオ「カロッツェリア・ギア」に在籍していたトム・ジャーダが担当。

 

イタリアらしい流麗なフォルムと迫力のあるデザインによって唯一無二の個性が生まれます。

 

そこに搭載されたのはフォードの名機と呼ばれるV8エンジンのクリーブランドで、この5.8Lという大排気量のOHVエンジンをミドシップにマウントしトランスミッションには5速MTを組み合わせています。

 

大量生産可能な量産型スーパースポーツとして開発されたこのパンテーラは、既成のクリーブランドエンジンを採用したことで開発コストを抑えることができ、結果としてフェラーリやランボルギーニといったライバルよりも安価に販売することが可能となりました。

 

その結果として販売面では成功をおさめるものの、1970年代のオイルショックの波に飲まれ生産を縮小し、1990年初頭にはその幕に歴史を下ろすこととなりました。

 

 

■メルセデス・ベンツ マクラーレンSLR


 

 

ドイツの自動車メーカー、メルセデス・ベンツとイギリスの自動車メーカー、マクラーレンによる共作で誕生したスーパースポーツ、それがマクラーレンSLRです。

 

マクラーレンとは1963年にブルース・マクラーレンによって設立されたレーシングチームの名前で、F1シーンでは古くからその名が知られており、日本では1987年にホンダとタッグを組み黄金時代を築き上げたことでも有名です。

 

その後1990年代にはメルセデス ベンツが同チームにエンジンを供給し、以降メルセデス・ベンツとマクラーレンはパートナーとしてF1に取り組むこととなりました。

 

そのような経緯の中、マクラーレンのロードカー部門であるマクラーレンカーズとメルセデス ベンツによって新たなスーパーマシンが誕生することとなりました。

 

2003年のフランクフルトショーで発表され翌年からは発売をスタートしたマクラーレンSLRは、AMGがこのマシンのためだけに開発たという5.4L V8スーパーチャージャーエンジンを搭載しています。

 

0-100km/h加速はわずか3.8秒という驚異的なスペックを誇るこのエンジンを、SLRではミドシップではなくフロントにエンジンを搭載するFRレイアウトで採用しています。

 

トランスミッションはMTやセミATではなく5速ATを採用しており、当時はポルシェからはカレラGTが、フェラーリからはエンツォ フェラーリが発売されるなど多くのスーパースポーツが揃るなかで、このマクラーレンSLRはメルセデスらしいイージードライブが可能なFRマシンとして異色の存在となっていました。

 

このSLRマクラーレンはのちにオープンモデルがラインナップされ、エンジンをスープアップした722エディションというモデルも登場しています。

 

いすゞ自動車のエンジンを搭載した英国のライトウェイトスポーツや、アメリカとイタリアの合作によるスーパーカー、そしてイギリスのF1チームとドイツの老舗ブランドのタッグによるロードゴーイングスーパースポーツなど、いずれも意外な組み合わせが化学反応を起こし、後世に名を遺すスペシャルなモデルが誕生しています。

 

当時の背景やメーカーの情勢など、偶然の中から生まれた必然的な1台を今後も期待したいところです。  

 

 

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