レトロかわいい輸入SUV。MINI クロスオーバーとフィアット 500X
国内外問わずSUVが人気です。とくに幅広い層から支持されているジャンルが、コンパクトなSUVです。 本格クロカンよりも街乗りや普段使いに重きを置いて、十分な積載性と利便性がその人気の理由です。
なかでもルックスで人気となっているのが、MINIからリリースされているMINI クロスオーバー(F60)と、フィアットの500Xです。 どちらもかつての名車をオマージュしたモデルのいちバリエーションとして生まれ、ボディサイズ、新車価格も拮抗しています。
そんな2台なので、当然中古車になっても迷う人が多くなっています。
■誰でも知ってるミニの派生モデル

かつてイギリスの象徴ともいえるほどの存在であったBMCミニ(オールドミニ)は、鬼才アレック・イシゴニスの手腕による究極のスペース効率を手に1959年に初登場しました。
FFレイアウトの採用や超コンパクトに収められた横置きエンジン、そしてその恩恵による車格にそぐわないほど広い車内空間など、まさに20世紀の自動車史において革命を起こしたモデルでした。
41年間に渡ってさまざまな会社名義で販売され続けたミニは、21世紀に入るとその権利を名前ごとBMWが買収。 現代的なハッチバックにリブランドされ、同社初の前輪駆動車としてBMW MINIを発売しました。
当初は「大きなMINI」などと揶揄されることもありましたが商業的に大成功し、2006年には2代目へとモデルチェンジ。ボディバリエーションを増やして、ファン層の拡大にも成功しました。
その1台として2011年にMINIクロスオーバー(R60)が追加されます。発表時には「MINIがSUVなんて!」と悲喜交々の声が上がりましたが、2022年現在では世界の名だたる高級車ブランドまでもがSUVを発売しているワケですから、このMINIクロスオーバーの発売タイミングはBMWに先見の明があったと言わざるを得ません。
同社の目論見通りMINIクロスオーバーは大人気となり、続く3代目(F60)でも継続してニューモデルをリリース。2017年の登場以来、ラインナップの中核を担う存在として人気を博しています。
■遊び心も感じるイタリアンSUV

イギリスがMINIなら、イタリアは500(チンクェチェント)だ!と言い切れるほどに有名なクルマが1957年登場のフィアット 500です。
アニメ「ルパン三世」の愛車として有名なこの可愛らしいクルマは、発表当時”ヌォーバ(イタリア語で新しい)500”と呼ばれたことからもわかるとおり、フィアット 500としては2代目。ですが、すっかり500といえばこの車種を指す言葉になっているほど知名度がある1台です。
その名の通り500ccの2気筒エンジンをリアに搭載したRRレイアウトで、大人4人が乗れて荷物もちゃんと載る。 1957年当時のスクーターだらけだったイタリアで、四輪車の人気を引き上げるのに多大な貢献をした国民車な訳です。
そんな500は1977年まで継続生産され惜しまれつつも引退していましたが、その発売50周年となる2007年、フィアットはそのヌォーバ500をモチーフにしたコンパクトカー、新型500を発表したのです。
新型500は瞬く間に世界中で人気のモデルとなり、名実ともに新たな国民車として受け入れられました。 そして2014年にMINIに対抗するようにクロスオーバーSUVである500Xを発表。
大きくなった500といった趣向のデザインを身に纏い、こちらもファミリー層やアクティブな人々を中心に人気の車種となりました。 ちなみに500Xは、ジープ レネゲードと基本メカニズムのほとんどを共用する兄弟車で、走破性能などは折り紙付きです。
■かわいらしさで人気の2台

現行MINI クロスオーバーのエクステリアは、先代(R60)から引き続きMINIのイメージを踏襲しながらも、各部のサイズアップやタフなスクエアデザインを散りばめるなどSUV色を一層強めた印象です。
丸みが強く腰高なイメージがあった先代よりも全体のシルエットをワイド&ローにあらため、高級感と力強さを両立した仕上げは完成度が高いです。 長めのホイールベースでのびやかなサイドラインを手に入れたことも大きなポイントです。

いっぽうフィアット 500Xは、ハッチバックの500をベースにした丸みのある親しみやすい印象のエクステリアが特徴です。 イタリア式の街への溶け込み法ともいえ、本来いかついイメージが付きまとうSUVというジャンルでも、そのデザインはやはり有機的で美しく、威圧感よりも安心感や親しみやすさを覚えるようなまとまり感を持っています。
また最新モデルでは、スポーティな印象の500X SPORTと、ルーフレールなどでSUVらしさを強めた500X CROSSという個性が違う2種類をラインナップしています。
■手の込んだインテリアも魅力

MINI クロスオーバーに限らず、MINIのインテリア(内装)はとにかく楽しさに満ち溢れていることが特徴です。 特に目を引くのはやはりダッシュボードセンターに配置されたおおきなセンターサークルで、これは旧MINIのメーター配置をイメージしてデザインされたもの。
F60ではここにナビの大画面を収めて視認性を確保しており、独特の雰囲気を形作っています。 各部にあしらわれたメッキパーツは華美過ぎず地味過ぎない絶妙な塩梅で配置され、ちょっとレトロな各部のスイッチも遊び心たっぷりで、実際に目にすると思わず「オシャレだなぁ」とつぶやいてしまうこと請け合い。大人な空間に仕上がっています。

対するフィアット 500XのインテリアはアーバンSUVとしての質感の高いシートやボディ同色のインスツルメントパネル(2022年以降はダークグレー系に変更)が魅力です。
SUVといえばドライバーの視認性や車両姿勢把握のためにホリゾンタル(水平)デザインを採用するものなのですが、500Xに関してはまったくそういった公式が当てはまらず自由で伸びやかなデザインを採用しています。
大きく取られた化粧パネルはダッシュボードから立体的かつ有機的にせり出すような仕上げになっており、この辺りもラテンの粋さが垣間見えます。
メーターまわりはほどよくスポーティに纏まっており、視認性も良好。またステアリングの質感も高くオーナーの所有欲を満たしてくれるでしょう。
■選択肢の多いMINIとシンプルな500X

パワートレインは、それぞれ個性が出ています。 MINIクロスオーバーには、ダウンサイジングの1.5LガソリンターボからPHEVまで、4種類ののパワートレインが用意され、駆動方式もFFとフルタイム4WD、トランスミッションはエンジンによって6、7、8速ATのいずれかが組み合わされています。
それぞれのスペックは以下の通り。もっとも排気量の小さい1.5Lでも190Nmのトルクを低回転で発生しており、コンパクトSUVのMINI クロスオーバーには十分な性能です。 2.0Lのガソリンターボと、2.0Lディーゼルターボは、グレードによって出力が異なるので注意が必要です。
それぞれのスペックは、クーパーに搭載される1.5L直列3気筒ターボが、最高出力75kW(102ps)/3,900rpm、最大トルク190Nm(19.4kgm)/1,380rpmで、駆動方式はFFとフルタイム4WD。
一時期だけ販売されたクーパーSの2.0L直列4気筒ターボは、最高出力 141kW(192ps)/5,000rpm、最大トルク 280Nm(28.6kgm)/1,350-4,600rpmで、駆動方式はFFのみ。
クーパーD用の2.0L直列4気筒ディーゼルターボは、最高出力 110kW(150ps)/4,000rpm 最大トルク350Nm(35.7kgm)/1,750-2,500rpmで、クーパーSD用は最高出力 140kW(190ps)/4,000rpm、最大トルク400Nm(40.7kgm)/1,750-2,500rpm。
駆動方式式はクーパーDがFFとフルタイム4WD、クーパーSDはフルタイム4WDです。

クーパーS Eはプラグインハイブリッドモデルで、1.5L直列3気筒ターボと電気モーターを組み合わせシステム最高出力165kW(224ps)、最大トルク385Nm(39.2kgm)を発生し、駆動方式はフルタイム4WD のみ。
クロスオーバーシリーズ中、もっともパワフルなJCW(ジョンクーパーワークス)に搭載される2.0L直列4気筒ターボは、最高出力225kW(306ps)/5,000rpm、最大トルク450Nm(45.8kgm)/1,750-4,500rpmという数値で駆動方式はフルタイム4WDのみなど、ユーザーのライフスタイルに合わせた選択肢が用意されています。

フィアット 500Xの日本国内でのパワートレインは、年式によって1.4Lと1.3Lがあり、駆動方式は1.4LがFFとフルタイム4WD、後期型の1.3LはFFのみです。
スペックは、 2018年のマイナーチェンジ前まで搭載された「マルチエア」1.4L直列4気筒ターボのFF用は、最高出力103kW(140ps)5,000rpm、最大トルク230Nm(23.5kgm)/1,750rpm。
4WD用は最高出力125kW(170ps)/5,500rpm、最大トルク250Nm(25.5kgm)/2,500rpm。
2018年以降はオールアルミ製になったほか各部の最適化や進化により出力・燃費ともに向上した「ファイアフライ」1.3L直列4気筒ターボで、最高出力111kW(151ps)/5,500rpm、最大トルク270kW(27.5kgm)/1,850rpmを発生しています。
バックボーンが似ているMINI クロスオーバーと、フィアット 500Xは、どちらも大変個性的で素晴らしいクルマに仕上がっており、甲乙つけがたい存在です。
個人的には、アウトドアでもどんどん使いたい方にはMINIクロスオーバー、街中を颯爽と走り回りたい方には500Xをオススメしたいかなと感じますが、どちらも器用にいろいろとこなせるポテンシャルを持っていますので、最終的にはお好みで選んでも後悔はないでしょう。ぜひご検討ください。




