機能性と気品を兼ね備えたランドローバー歴史とは?
高いオフロード走破性と、気品を兼ね備えたモデルをラインアップしているのがランドローバーブランドです。
イギリスを代表するオフロードブランドとも言えますが、どのようにして現在のポジションとブランドイメージを確立したのか?
その歴史に迫っていきます。
■始まりはランドローバーという名前のクルマから
ランドローバーという名前が世に出たのは1948年のことです。
アムステルダムモーターショーにて「ランドローバー シリーズⅠ」を初披露します。
その名前にもある通り、イギリスの自動車メーカーローバー社がオフロード向けに開発した車両がこのモデルでした。
現在の高級感あふれるランドローバーとは異なり、軍用車チックで屋根もなくワイルドな印象です。
このモデルが販売され、ランドローバーの歴史をスタートさせることとなります。
その後1953年にはシリーズⅠのロングホイールベース版を発表、1958年にはシリーズⅡを発表するなど進化を遂げていきます。
このシリーズⅠは発表された当時としては珍しく、ボディパネルにアルミを用いていました。
結果サビに強く耐久性が高いモデルとなりました。
そのような利点を買われ、イギリス陸軍で採用されたほか、農業などでも使われました。
■クロスオーバーSUVの先駆者レンジローバー
そして1970年に現在でもラインアップしているレンジローバーを発表します。
レンジローバーはそれまでのシリーズⅠやシリーズⅡと異なり、高いオフロード走破性を確保しながら実用性そして高級感を兼ね備えており、現代のランドローバーのブランドイメージを作り上げたモデルと言えるでしょう。
当初は3ドアモデルのみが登場しましたが、1981年には4ドアモデルが登場し、そのラインアップと需要を拡大していき、ランドローバーブランドの成長に貢献したモデルと言って間違い無いでしょう。
このように様々な性能を兼ね備えたレンジローバーは、現在世界各国の自動車ブランドが参入している、高級クロスオーバーSUVの先駆けだったと言えます。
これを可能にしたのがフルタイム4WDシステムの採用です。
シリーズⅠやシリーズⅡで採用していた古典的なパートタイム4WDに比べて、静寂性やオンロードでの快適性に優れます。
それでいながら十分なオフロード性能を有していたのが、レンジローバー成功のポイントでしょう。
■ランドローバーシリーズの血統
ランドローバーを作り上げたモデルであるランドローバーシリーズはⅢまで進化を遂げていきます。
1983年の改良にあたり、ランドローバーシリーズのナンバリングをやめ、ランドローバー90/110/127とホイールベースによって名称が異なるようになります。
そしてこのランドローバーシリーズの血統を引き継ぐモデルは、1990年に「ディフェンダー」とモデル名を改めます。
なお、ディフェンダーにモデル名を改めた後も「ディフェンダー90」などとホイールベースを表記する形は変化ありませんでした。
ちなみにこのホイールベースの単位はインチとなっています。
■各社を渡り歩く
第3のモデルとして1989年にディスカバリーをラインアップするなど、モデル展開などを広げていくランドローバーでしたが、決して順風満帆という訳ではありませんでした。
そもそもローバーグループの一員であったランドローバーですが、ローバーグループは1988年に航空機メーカーであるブリティッシュエアロスペースに買収され、これにランドローバーブランドもついていく形になります。
しかしながら1994年にローバーグループはドイツのBMWに買収されます。
そしてここで大きな転換期を迎えました。
ローバーグループからランドローバーは切り離されることとなります。
結果、2000年にBMWはローバーグループを売却する際に、ミニブランドは手元に残しますが、そのほかは手放します。
こうしてランドローバーはフォードが所有するプレミアム・オートモーティブ(PAG)に統合されます。
ここには同郷のジャガーやアストンマーティンのほか、ボルボなどが属していました。
■現代のランドローバーブランド
しかし、2008年にリーマンショックが起こるとフォードは窮地に立たされます。
そこで再びランドローバーはPAGグループの他のブランドと共に売却されることとなります。
結果、ジャガーと共にインドのタタモータースに買収され、現在に至ります。
しかしながら、そのブランド力は健在で、タタモータース傘下になってから勢いは衰えるどころか、年々エネルギッシュになっていく様子さえ感じさせます。
今後どのようにランドローバーは歩みを進めていくのか?
未来が楽しみなブランドと言えるでしょう。