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独創的なフランスのブランド「シトロエン」100年の歴史と名車を振り返る

個性あふれるデザインや最先端の機能で他の追随を許さないシトロエン。フランスを代表する名門自動車メーカーが2019年で創立100年を迎えています。そこで今回はシトロエンの歴史を、100年を彩った名車たちとともに振り返ってみましょう。

 

 

 

■フランスの老舗ブランド、100周年を振り返る


 

 

1919年、創業者であるアンドレ・シトロエンの手によって誕生した、フランスを代表する自動車メーカーがシトロエンです。エンブレムになっているダブルシェブロンは、もともとダブルヘリカルギヤの製造で財を成したとされる、創業者に由来するものとされています。

 

 

シトロエンは、当時はまだ珍しかった流れ作業による量産方式を導入することで、ブランド創設から数年で早くも事業が軌道に乗るものの、途中でいくつかの経営難に見舞われます。

 

しかしほかの自動車メーカーとは違う独創的な技術をいち早く導入することで唯一無二の自動車メーカーとして存在し続け、1970年代には同じフランスの自動車メーカーであるプジョーとともにPSAグループとして活動を続けることとなります。

 

それにともなってプジョーとエンジンやプラットフォームといった基本コンポーネンツを共用化することでブランドは存続し、同じPSAグループでありながらもプジョーとは一線を画する自動車づくりを行なってきました。

 

 

創業者であるアンドレ・シトロエンは、生涯にわたって新技術を搭載した大衆車づくりにこだわり続け、その哲学は現在まで受け継がれています。シトロエン初のモデルとなったタイプA10HPはヨーロッパで初めての大量生産による自動車で、優れた燃費性能とともに低摩耗タイヤを履くなど画期的な1台として記録されています。

 

その後も「トルペード(魚雷)」という異名を持つタイプC5HPはユニークなシートレイアウトを採用し、優れた空力性能を持ちデザイン面でも革新的だったトラクシオン・アヴァンといった名車を次々と発売していきます。

 

また1947年には量産型としては初となる前輪駆動方式を採用したバンのタイプHを発表。ドライブシャフトがないことから室内空間がフラットになり、業務用車両として人気を博すこととなりました。その後も2CVやDSなどの名車を次々と発売し、現在でもその独創的なスタイリングで高い人気を誇っています。

 

 

 

■トラクシオン15CVシックス


 

シトロエンが1934年に発売し、以降1957年まで生産されたのがトラクシオン・アヴァンです。ほかの自動車メーカーに先駆け、前輪駆動とモノコックボディを採用したエポックメイクな存在であり、シトロエンの先進性を具現化した1台です。

 

 

重心位置が従来の自動車よりも低いため安定性に優れるとともに、操縦性も高くさらに前輪駆動によってキャビンスペースが広くとれるという恩恵も受けています。モデル名はフランス語で「前輪駆動」をあらわし、このトラクシオン・アヴァン以降ほとんどのシトロエン車が前輪駆動を採用することになります。

 

このトラクシオン・アヴァンには6気筒エンジンを搭載した15CVシックスのほかに、4気筒エンジンを搭載した7CVや12CVなども登場しています。 トラクシオン・アヴァン15CVシックスは、1938年のパリサロンで発表され、2.9L V6エンジンを搭載したグランドツアラーです。

 

最高速度130km/hを謳い、優れた直進安定性を備えたこのモデルは「オートルートの女王」とも呼ばれるようになりますが、その一方で3メートルを超えるホイールベースとボンネット内に収められた重たい直6エンジンによって回転半径が大きくなり、取り回しの面で不便な点も多かったとされています。

 

 

この15CVシックスは第二次大戦後にフランスの公用車として使われ、大統領用が乗る車両にも採用されただけでなく。第二次大戦時のドイツ軍がその性能の高さに注目するところとなり、ドイツ軍が戦地で使用していたたこともありました。

 

 

 

■2CV


20世紀を代表する名車として、カーオブザセンチュリーにも選出されたのが2CVです。フランス語で「2馬力」をあらわすモデル名を持ち、簡略化された質素な構造による経済性の高さと、見た目からは想像もできない走行性能によってシトロエンのみならずフランス車を代表する1台として語り継がれています。

 

 

開発のきっかけは第二次大戦前夜から始まっていましたが、途中戦火の影響を受けて開発は頓挫。実際に発表されたのは1948年のパリサロンでのこととなりました。そのあまりに奇抜なスタイルから時に海外のモータージャーナリストによって非難の的となってしまいますが、当時のシトロエン社長であったピエール・ブーランジェはこのモデルの成功を確信し、実際にそんな悪評はすぐに立ち消えることとなります。

 

車両価格が廉価であり、維持費も低く信頼性も高いこの2CVはやがてフランス国民に愛されることとなり、やがてフランスのみならずヨーロッパへ広く販売もされるようになります。

 

 

ボディサイズは全長3,830mm×全幅1,480mm×全高1,600mm、排気量はわずか375ccという文字通りコンパクトなモデルで、車両重量はわずか500kgにも満たないほどの軽さでした。

 

しかし室内空間は見た目以上に広々としており、大人4名が乗車できるようになっています。ただし室内の装備も必要なもの以外は省かれており、初期型に至っては燃料計すらついていないほどでした。この2CVは改良を重ねながらなんと1990年まで生産が継続され、シトロエンを代表するロングセラーとなりましたが、1988年をもってフランスでの生産を終了し、1990年にすべての2CVが生産終了となっています。

 

 

■C6


 

2005年のジュネーブモーターショーで発表されたC6は、シトロエンにおけるフラッグシップとしてXM以来およそ16年ぶりとなる大型車として発売されました。1998年のパリサロンで発表されたコンセプトカー「C6リナージュ」をベースにとして、フロントノーズの長い独特なデザインやフレームレスのサイドウインドウ、65km/hを超えると自動で上昇するリヤスポイラーの装備など、さまざまな面でシトロエンらしさを感じさせる1台となっています。

 

足まわりにはシトロエン独自の電子制御システム「ハイドラクティブ3プラス」を搭載し、心臓部には3.0L V6ガソリンエンジンのほかに2.7L V6ディーゼルエンジンをラインナップ。 さらに後年には2.2Lのディーゼルエンジンモデルも追加されています。

 

その独特なデザインから日本では2006年のカーオブザイヤーのインポートカーオブザイヤーを受賞。日本仕様モデルにはリヤ電動スライドシートや後席シートヒーター、電動ガラスサンルーフなどを装備したラウンジパッケージも設定されていました。

 

なおフランス前大統領のニコラ・サルコジは、公用車としてC6を使用していたこともあり、テレビのニュースなどでC6の姿を見かけた方も多いことでしょう。このC6は2012年末をもって生産が終了されています。

 

 

■2代目C4カクタス


 

 

シトロエンの中核を担うC4は、Cセグメントボディを有するハッチバックです。2004年のパリサロンで発表され、実質的にはクサラの後継モデルとして位置づけられています。

 

2010年にはフルモデルチェンジを行ない2代目C4へと進化を遂げ、それにともないC4ピカソなど多くの派生モデルをラインナップしています。 そんな中で2014年のジュネーブショーで発表されたのがC4カクタスというモデルでした。

 

一見して普通らしからぬデザインは、シトロエンらしさを存分に感じさせ、見た目のみならず実用性の点でも優れた性能を持っていました。

 

 

シャープな顔つきのフロントマスクが目を惹きますが、さらにサイドビューに目を移せば、そこにあしらわれた黒いパッドが目を惹きます。これはエアバンプという衝撃緩衝用のパーツで、ソフトな素材を使っているためサイドからの小さなダメージを吸収するとともに見た目のアクセントにも貢献しています。

 

さらにC4カクタスはエクステリア同様インテリアもかなり個性的で、上部に大きく開口する助手席のダッシュパネルや旅行鞄のようなドアハンドル、ボタン式のATセレクターなど、唯一無二のデザインに仕上がっています。

 

日本には限定200台で導入され、2016年10月から12月という期間限定で販売されています。 個性的なモデルがずらりと並ぶシトロエン。その名車は上記で紹介した以外にも数多く存在し、そのすべてのモデルには創業者であるアンドレ・シトロエンの意思が受け継がれていました。これからも変わらぬ個性的なモデルをシトロエンでは次々と発表し続けてくれることでしょう。

 

 

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