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輸入車のスーパーカーがカーボンモノコックを採用する理由とは?

 

スーパーカーと呼ばれるスペシャリティモデルで採用されることが増えてきたカーボンモノコック。かつてはF1などレーシングマシンで使われることがほとんどだった同製法を、スーパーカーで採用する意味はいったいどのようなものがあるのでしょうか?カーボンモノコックを実際に採用しているスーパーカーと合わせて紹介していきます。

 

モノコック構造とは?

 

現在の多くの乗用車が採用しているモノコック構造。車体の骨格におけるフレームをボディと一体化しているのが特徴で、車両を構成するパーツすべてで剛性と強度が保持できるようになっています。

 

これに対してトラックやバスなどの商用車は、ラダーフレームに代表されるセパレートフレームを採用しています。これははしご状のフレームが剛性と強度を保持し、その上に車体を架装する構造になっていて、頑丈であり事故などによる車両の修復が容易というのがメリットです。

一方のモノコックは車両全体を軽量化でき、セパレートフレームが存在しないため床下をキャビンスペースにすることができるため、車内空間を広くすることができます。

 

もともとは航空機の機体で採用され、のちに自動車にも普及されたモノコック構造ですが、その素材によって剛性や強度、重量などが異なります。

 

昔から採用されていた鋼板や軽量なアルミ合金は乗用車のモノコックボディの素材として一般的ですが、カーボン素材はレーシングカーなど限られた車両で使われることが多く、これまで市販される乗用車ではあまり採用されていませんでした。しかし現在はスーパーカーを中心に採用されることが増えてきています。それにはいったいどんな理由があるのでしょうか。

 

カーボンモノコックの種類

 

カーボンモノコックとは、カーボン素材を使用したモノコックフレームのことです。カーボン(炭素)繊維を加熱・硬化させることで軽量でありながら強度を高めることができるため、車重を軽くすることができます。その一方で非常にコストがかかり、加熱するための専用窯といった専用設備が必要になるといったデメリットも存在しています。

 

カーボンモノコックはさまざまな製法があり、そのひとつがF1マシンなどでも採用されているプリプレグ製法です。これは炭素繊維に特殊な樹脂を含浸させたのち、オートクレーブという圧力を利用した特殊窯で加熱・硬化させるというもの。強度が非常に高く軽量なのが特長ですが、モノコックボディを加熱するための専用設備が必要となるため費用がかかります。

 

もうひとつの有名な製法がRTM(レジントランスファーモールディング)というもので、これはプリプレグのようなオートクレーブを用いずにカーボンモノコックを成形する方法です。金型を使い生産性を高めることができ、オートクレーブのような巨大窯を用意する必要がないことから、最近のカーボンモノコックの主流となりつつあります。

 

 

カーボンモノコックのスーパーカー

 

カーボンモノコックとはかつては特別なモデルにのみ許されたものでした。その代表格といえば、マクラーレン・カーズ(マクラーレン オートモーティブ)が1991年に製作したマクラーレンF1です。

 

カーボンコンポジット(複合素材)を使いオートクレーブによって成形されたモノコックボディは、ボディ単体でわずか180kgという驚異的な軽さに仕上がっています。そこに6.0LオーバーのV型12気筒エンジンをミッドシップに搭載し、重量の偏りを防ぐため運転席を中心に左右それぞれに助手席を設けるという構造で、車両全体の重量もわずか1,140kgとなっています。ロードゴーイングスポーツというにはあまりにも贅沢なつくりとなっていたため、日本における当初の新車価格は約1億円ということでも話題を集めました。

 

このマクラーレンF1以降スペシャリティカーに次々と採用されるようになりました。1995年にフェラーリが限定販売したF50でもカーボンモノコックが用いられており、その後もエンツォ フェラーリに続き、ラ フェラーリでも採用されました。

 

また2005年にブガッティ オートモビルが市販したヴェイロンでもカーボンモノコックを採用し、アルミ素材のボディパネルやフレームなどを用いて8.0Lという大排気量のW型16気筒エンジンに4つのターボユニット、4WDという構成ながら車両重量1,888kgを実現しています。

 

上記で紹介したスーパーカーのカーボンモノコックは、オートクレーブを用いるプリプレグ方式のものでしたが、近年販売されるスーパーカーのカーボンモノコックには、プリプレグだけでなくRTM方式など他製法を組み合わせたものが用いられるようになっています。その代表格はランボルギーニ アヴェンタドールで、先代モデルのムルシエラゴが鋼管スペースフレームだったのに対し、アヴェンタドールではRTM製法をはじめ、プリプレグやブレイディング(三つ編み式)を組み合わせたカーボンモノコックを採用し話題を集めました。

 

またマクラーレン オートモーティブが2011年に発表したMP4-12CでもRTM製法によるカーボンモノコックを採用。その後のマクラーレンの多くのモデルではカーボンモノコックが用いられています。

 

また輸入車だけでなく、国産初のスーパーカーとして話題を集めたレクサスLFAでもカーボンモノコックが用いられ、メインキャビンフレームにはプリプレグ製法、やトランスミッショントンネルやフロアパネルなどにはRTM製法、CピラーとリアフロアにはC-SMC(炭素繊維強化シート成形複合材料)がそれぞれ使われています。ほかにもアルファロメオ初のミドシップ市販モデルである4Cでもカーボンモノコックが採用されていました。

 

 

かつてはカーボンモノコックの生産には巨額の設備投資が必要でしたが、現在はさまざまな製法が次々と生まれ、それらを組み合わせることで比較的安価(以前と比較すればの話ですが)に生産できるようになりました。

 

軽量でありながら高い強度を保持できるカーボンモノコックが今後も普及することで、スーパーカーのさらなる動力性能向上が期待できそうです。また軽量化によって燃費も向上することから、今後は環境問題の対策としてスーパーカーだけでなく乗用車にもカーボンモノコックが採用されることが増えるかもしれません。