世界のクルマをもっと知る

コンパクトハッチは、フランス車がイイ理由

 

気軽に乗れて価格が安く、経済的でキビキビ走るコンパクトカーは、世界的に人気のカテゴリーで、メーカーにとっては収益を左右する大事なモデルとなっています。

 

そのため各メーカーは、それぞれに特徴をもたせる工夫を施すことで、自社モデルの競争力を高める努力をしています。

 

そのなかで、ヨーロッパはもちろん日本でも人気なのが、フランスメーカーが作るコンパクトハッチです。

 

フレンチコンパクトハッチには、どんな魅力があるのでしょうか?

 

解説していきます。

 

 

■乗ればわかるフレンチコンパクトハッチの魅力とは?


 

 

コンパクトカーは、ヨーロッパでも新車販売ランキングの上位を占める人気カテゴリーで、日本には導入されていないモデルやメーカーを含めると、まさに群雄割拠といった状況です。

 

さまざまな車種があり、ライバル同士の競争が激しくなっています。

 

背景には、ヨーロッパでは道路が狭く路上駐車を基本とすることや、厳しい環境保全対策によって小排気量車が好まれるという理由があるのですが、そのいっぽうで日本より高速道路での平均速度が高いため、しっかりした乗り味や加速感、長距離でも疲れにくいシートなど、日本国内で販売されるコンパクトカーには備わっていない性能も必要なのです。

 

それらの要素を満たしているのが、フランス製のコンパクトハッチで、日本でも独身のドライブ好きやお子さんの小さいカップルなどに古くから好まれてきました。

 

たとえば、しばしば“猫足”と表現されるプジョーの乗り心地です。

 

高いところから飛び降りてもしなかやに衝撃を吸収する猫の足のような、柔らかくもバランスの良い乗り心地のことを言っているのですが、プジョーのサスペンションになにか特別な仕組みがあるわけではありません。

 

上記のように平均速度が高いヨーロッパの道路に対応させるため、ボディ剛性を高めたり疲れにくいシートを採用したり、しかし石畳や未舗装路でも快適に走れるようセッティングしたサスペンションなど、トータルで上質な乗り心地になるよう設計されているということなのです。

 

また、第二次世界大戦後のモータリゼーションの波を支え、大人気となったシトロエン 2CVやルノー 4に代表されるようにコンパクトカーの歴史が古く、経験が豊富というのもポイントです。

 

ヨーロッパのさまざまな道を長年走り込み、鍛え上げられ、熟成されて世に送り出されているのも、フレンチコンパクトの完成度に表れているわけです。

 

さらにカーレースがお好きな方であればよくご存知のとおり、フレンチコンパクトはラリーシーンでも大活躍しています。

 

特に1980年代、アウディ クワトロやランチア037ラリーなど、スペックで勝るライバルを圧倒したルノー5ターボの迫力に興奮を覚えた方も多いことでしょう。

 

レースで培った技術はもちろん市販車にフィードバックされ、総合性能の高さに結びついています。

 

フレンチコンパクトに一度乗ったことのある人なら、ボディ全体から伝わってくるその魅力がよく分かると思います。

 

独特のセンスとデザイン、躍動感、しっかりとしたシートと乗り心地…やりすぎではない高性能をコンパクトなボディにギュッと収めたクオリティの高さ、それでいて手ごろな価格が、サイズを超えた満足感をオーナーに提供してくれるでしょう。

 

そんなフレンチコンパクトのなかから、中古車で狙い目の3台を紹介しましょう。

 

 

■ラリーでも活躍したプジョー 208


 

 

2012年デビューと比較的古い登場ながら、つねに安定した人気で2020年まで販売されたプジョー 208。

 

フロントには大きく存在感のあるグリルに切れ長のヘッドライト、ボディサイドにはインパクトの強いキャラクターラインなどが採用され、塊感のあるフォルムに印象的なディテールを組み込んだ粋なデザインのボディサイズは、全長3,960mm×全幅1,740mm×全高1,470mmとコンパクトです。

 

室内は先代の207よりも広く、小径のステアリングホイールの上部から見通す位置にメーター類が配置された「ヘッドアップインストルメントパネル」が特徴。

 

デザインの斬新さはもとよりドライバーの視線移動を極力少なくし、安全性も両立させています。

 

3ドアと5ドアがラインアップされ、エンジンは1.2L 直3ガソリン、同ターボ(2015年以降)、1.6L直4ガソリン、1.6L直4ターボがあり、トランスミッションには5速MT、6速MT、6速ATなど、グレード・年式によって、さまざま組み合わせが用意されました。

 

 

プジョーの中古車情報を見てみる

 

 

■フランスでも人気のコンパクト。ルノー ルーテシア


 

 

ヨーロッパでも人気のコンパクトカーで(ヨーロッパ名:クリオ)、デビューはプジョー208と同じ2012年のデビューで、日本では2013年から2020年まで販売されました。

 

全長4,095mm×全幅1,750mm×全高1,445mmのボディは、すっきりとしたシンプルな曲面で構成されたフォルムでありながら、大きめのヘッドライトや中央に据えられたルノーエンブレム、後席のドアハンドルがCピラーに埋め込まれたデザインなど、全体的なバランスとディテールにこだわりが感じられるデザインとなっています。

 

エンジンは、2.0Lに匹敵する高トルクと燃費性能に優れた1.2L 直4直噴ガソリンターボと、パドルシフトや3種類の走行モードを選べる“R.S.ドライブ”を搭載したスポーティグレードの「ルノー・スポール」に搭載された1.6L 直4直噴ガソリンターボの2種類で、トランスミッションはいずれもデュアルクラッチ式の6速EDCが組み合わされています。

 

 

ルノーの中古車情報を見てみる

 

 

■このデザインだけでも買い!?シトロエン C3


 

 

2002年の初代発売以来、シトロエンブランドのベストセラーモデルとなっているC3。

 

ここで取り上げるのは、2017年にフルモデルチェンジをうけてクロスオーバーテイストをプラスした現行型です。

 

センターの“ダブル・シェブロン”からそのまま左右に広がり、シグネチャーランプへと繋がるフロントデザインや、その下段に位置する角形のヘッドランプ、SUVのようなボリューム感を感じさせるバンパー、サイドを見れば別色のルーフカラーと織りなすCピラーグラフィックやエアバンプによるコーディネートなど、極めてユニークな造形で構成されており、どのライバルとも似ていないデザインが特徴です。

 

見た目にボリューム感のあるボディは、全長3,995mm×全幅1,750mm×全高1,495mmと意外にコンパクト。

 

パワーユニットには、1.2L 直3ガソリンターボ+6速ATが搭載されています。

 

 

シトロエンの中古車情報を見てみる

 

 

激戦区と呼ばれる欧州Bセグメント(コンパクトクラス)において、ユーザーに求められる性能や質感、個性を出すのは簡単なことではありませんが、それでもフレンチコンパクトは大きな存在感を放っています。

 

しかも近年、非常に厳しい環境対策を各自動車メーカーが迫られているわけですから、その開発の努力たるや並大抵のものではありません。

 

コストパフォーマンスを考えると、フレンチコンパクトというのは非常に賢い選択なのかもしれませんね。