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911だけじゃない!ポルシェがFRスポーツカーをつくったのを知っていますか?

 

ポルシェといえば911が有名ですが、それ以外にもボクスターやケイマン、さらに近年ではカイエンやマカン、パナメーラといったモデルが知られています。しかしかつてのポルシェには、911のようにリヤにエンジンを搭載していないスポーツカーを手がけていたことを知っていますか。今回はそんなポルシェでは珍しいフロントエンジン+リヤドライブのFRポルシェを紹介していきましょう。

 

 

■928


 

 

1969年に発売されたポルシェのミドシップスポーツの名車である914。フォルクスワーゲンと共同で製造されていたことから別名「ワーゲン・ポルシェ」とも呼ばれ、手の届きやすい価格帯で人気を博しました。

 

その系譜を受け継ぎ1975年に登場したのが、911譲りの2+2というシート構成とFRレイアウトを持つ924でした。こちらも開発当時はフォルクスワーゲンと共同で製造を行なっていたものの、最終的にはポルシェブランドのみでの販売となったスポーツカーです。

 

これまでポルシェには911のようなリヤエンジンや914のようなミドシップはありましたが、924ではフロントエンジンによるFRレイアウトを採用しています。後にターボを搭載した924ターボなどの派生モデルを発売したのち、1978年には新たに928が追加ラインナップされることになりました。

 

924よりもスポーツ性能に長け、豪華な装備内容を持つ928は、新しいポルシェのフラッグシップとして911の顧客を取り込むことに成功。エンジンは924が直4エンジンだったのに対し、928では4.5L V8エンジンをフロントに搭載するというもので、高級パーソナルクーペ(2+2)のような位置づけとなっています。

 

FRレイアウトではトランスミッションとディファレンシャルギヤを一体化するトランスアクスル方式を採用して前後重量配分を最適化し、安定したコーナリングを行なう「ヴァイザッハアクスル」といった最新のデバイスをいち早く導入するなど、走行性能の面でも大きなアドバンテージを誇っていました。

 

またパワートレインのみならずデザインも独創的で、フロントマスクはポップアップ式の丸型ヘッドライトを採用するなどポルシェらしさを前面に押し出しています。911に代わる新しい時代のフラッグシップとしてデビューした928は、最終的にその排気量を5.4Lにまで拡大。

 

軽量化のためフロントフェンダーやボンネット、サイドドアにはアルミを用いるなど、あらゆる点で専用設計だった928ですが、結局911の人気に立ち向かうことはできず、1995年をもって生産が終了されています。

 

この928シリーズの後継モデルは現在まで登場しておらず、ポルシェファンからは今もその存在が特別視されています。

 

 

■944


 

 

廉価な924と911の中間に位置づけられるのが、1982年に登場した944です。944のボディは924がベースとなっていますが、フロントバンパー下部のエアダムや左右に張り出したフェンダー、リヤハッチと一体になっているスポイラーなどで、スポーティな944らしさを演出しています。

 

フロントには924Sと同様の2.5L直4エンジンが採用されていますが、こちらは928のV8エンジンの片側バンクをベースにしていて、ポルシェ製エンジンになっているのが特徴です(924のエンジンはフォルクスワーゲン&アウディ用)。

 

またこちらもFRレイアウトには928同様にトランスアクスル方式を採用。1985年には944ターボが追加されるとともに大幅なモデルチェンジを敢行しこれを境にして前後期型とも区別されています。

 

944ターボに搭載されているのはKKK製水冷インタークーラー付きターボで、組み合わされるのは強化されたマニュアルトランスミッションのみでした。フロントマスクは924に続くリトラクタブルヘッドライト方式で、928のような丸目ポップアップ式とは違うデザインになっています。この944は1991年をもって生産を終了し、次世代モデルとなる968へバトンをつないでます。

 

 

■968


 

 

944を受け継ぎ1991年にデビューした968シリーズ。ポルシェが手がける水冷エンジンFRスポーツカーとしては最後のモデルとなったのがこの968です。

 

販売好調だった944の人気を受け継ぐ形でデビューした968は、かつて924のデザインを担当したデザイナー、ハーム・ラガイにリデザインをオーダー。フロントマスクは911にも通じる丸目ポップアップ式ヘッドライトのカエル顔になり、よりポルシェらしさが際立つデザインとなっています。

 

フロントマスク以外は944S2ベースのキープコンセプトのようでありながら、仔細に眺めるとさまざまなパーツがリニューアルされており、基本構成のおよそ80%以上が新しくなっています。

 

搭載されるエンジンは944S2ベースの直4エンジンで、FRレイアウトはこれまでのFRポルシェと同様にトランスアクスル方式を採用。ちなみにこの968以降ポルシェでは、トランスアクスルを採用したモデルは登場していません。

 

トランスミッションは6速マニュアルトランスミッションのほかに、ポルシェが新たに開発したセミAT「ティプトロニック」も用意されています。

 

1992年にはカブリオレも追加され、以降968ではカブリオレの人気が高まるなか、968ターボやターボS、クラブスポーツといった派生モデルのほかに968ターボRSといった限定モデルも発売されます。

 

しかし先代の944のような高い人気が出ることはないまま、1995年をもって生産を終了。これ以降FRポルシェが開発されることはなく、1996年に新しくポルシェのミドシップスポーツとして知られるボスクターにその座を譲ることとなりました。

 

 

ポルシェのスポーツカーといえばRRの911とミドシップのボクスターの2大巨頭が有名ですが、かつてはこのようなFRポルシェが存在していました。

特に928は911の座を脅かすほどのスペシャリティをもって製作されたものの、結局のところ911に取って代わることはできませんでした。

 

968以降FRポルシェは登場していませんが、またいつの日かトランスアクスルを採用したFRポルシェが登場する日がやって来るかもしれません。

 

 

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