シューティングブレークってどんな意味?どんなクルマがある?
セダンやクーペ、ステーションワゴンなどクルマには様々なボディタイプが存在します。
そして基本的なボディタイプから発展したボディタイプも、ラインアップが少ないながら存在しており、他とは異なる魅力的なスタイリングを実現しています。
そんな変わり種なボディタイプの中から今回は「シューティングブレーク」と呼ばれるボディタイプについて紹介します。
■独特なルーフからCピラーのラインを持つ
ステーションワゴンを彷彿とさせながらもCピラーが大きく寝かされたスタイルであるシューティングブレーク。
近年の流行でもあるクーペスタイルのSUVに近いものを感じる方もいるのではないでしょうか?
4ドアモデルがイメージされがちですが、2ドアモデルも存在しています。
どちらもシューティングブレークと呼ぶ理由は、その起源に理由があるのです。
■起源はイギリスの貴族から
広い荷室とそのスタイリングを見ると、俗に言うクーペSUVと同じように、ステーションワゴンをクーペ風にしたと思うかもしれません。
しかし、シューティングブレークの起源はクーペにあるのです。
そしてその始まりを辿ると1960年代まで遡ります。
当時のイギリスの貴族たちは余暇で狩猟を楽しむ際、道具や狩った動物などを収納するためのクルマを必要としました。
そこでクーペスタイルの車を改装し、広い荷室を与えたクルマを作り、そのようなクルマをシューティングブレークと呼ぶようになりました。
事実、イギリスを代表するスポーツカーブランドの一つ、アストンマーチンのDB5がシューティングブレークに改装された例などがあります。
「狩猟に行くならステーションワゴンやバンを使えばいいのでは?」という印象を抱くかもしれませんが、そこは貴族の方々。生活感の溢れるステーションワゴンやバンを嫌ったのかもしれません。
だからこそエレガントなクーペスタイルを保ちつつ、荷室容量を確保したシューティングブレークが登場したのでしょう。
また、現代と比べるとステーションワゴンの立ち位置は乗用車よりも、貨物車に近いところがあったというのも背景にあるかもしれません。
現代では2ドア、4ドアどちらのシューティングブレークも存在していますが、クーペを改装したという起源を考えると、2ドアのシューティングブレークの方がより起源に近いモデルであるという見方もできるでしょう。
■現代のシューティングブレークはフェラーリから?
今でこそ広く浸透しているシューティングブレークというスタイルですが、現代でこのボディスタイルが復活したのは、2010年代に入ってからでした。
2011年にフェラーリ初の4輪駆動モデルとしてFFが登場します。
このモデルはかつてのシューティングブレークスタイルを採用し、450Lという実用的なラゲッジスペース容量を確保していました。
しかしながら2ドアのシューティングブレークスタイルは、フェラーリの名に恥じない美しいスタイリングをキープしていて、スタイリングとラゲッジスペースの確保というシューティングブレークの特徴をしっかりと抑えていました。
ここからヨーロッパブランドを中心に続々とシューティングブレークが登場していきます。
2012年になるとメルセデスベンツからCLSシューティングブレークが登場します。
発表当初、クーペの美しいスタイリングに高い利便性を融合した「スポーツ・クーペ・ツアラー」という新しいコンセプトのモデルとして登場しました。
CLSは4枚のドアを備えており、フェラーリのFFと比べると現実的かつ実用的なシューティングブレークとして登場しました。
このころから徐々にシューティングブレークというボディタイプが認知されていきました。
2015年になるとCLSの弟分とも言えるエントリーモデル、CLAにシューティングブレークが加わります。
約400万円から購入が可能なCLAシューティングブレークは、今まで高級な上位モデルでしか設定されなかったシューティングブレークを、グッと現実的なものにしました。
2017年にはドイツのスポーツカーブランドポルシェがシューティングブレークを発表。
これはすでに販売されているスポーツサルーンパナメーラに追加されたモデルで、パナメーラスポーツツーリスモと名付けられました。
スポーツカーメーカーポルシェらしい走りの良さはそのままに、パナメーラから再設計されたリアシートを用いることにより、後部座席に3人が座ることが可能になり、より利便性の高いパナメーラとして登場しました。
■スタイリングと利便性を両立したい人に
独特のルーフ&ピラーラインが魅力のシューティングブレーク。
一見するとステーションワゴンに比べて利便性が大きく劣ると思いがちかもしれませんが、そんなことはありません。
利便性とスタイリングの両立こそがシューティングブレークの魅力なのです。
スタイリングも利便性も犠牲にしたくないという人はシューティングブレークを検討してみてはいかがでしょうか?