ヨーロッパ発、セダンとデザインが融合した4ドアクーペ5選
クーペといえば趣味性の高い2ドアのスポーティなフォルムというイメージが強いと思いますが、最近ではヨーロッパのプレミアムメーカーを中心に、4ドアのクーペモデルが台頭しています。
もちろん従来のセダンはセダンとしてラインアップされていますから、4ドアクーペは従来のセダンでは飽き足らないユーザーを狙ったカテゴリーというわけです。
ここでは、セダンの実用性にクーペの美しいスタイリングも兼ね備えた、欧州の4ドアクーペモデルをいくつかピックアップし、その魅力にフォーカスしていきたいと思います。
■プレミアムクラスに新しい価値をもたらしたメルセデス・ベンツ CLSクラス
CLSクラスはメルセデス・ベンツブランドの中核をなすモデルのEクラスをベースに、美しいクーペスタイルを持たせた4ドアクーペで2005年に発売されました。
初代は両端がつり上がった個性的なヘッドライトに、低く抑えられた全高とリアエンドまでなだらかな傾斜を描く美しいルーフラインはクーペそのものです。
乗車定員は4名で、後席はセダンのように広々としているわけではなく、むしろボディサイズを考えると狭いほうかもしれません。
前席優先のパーソナルカーであることが分かります。
また、国産車では現在ほとんど見られないサッシュレスドア(窓枠のないドア)を採用しているのも、デザイン優先の結果です。
2011年に発売された2代目は、メルセデスのエレガントなデザインを採用したラグジュアリークーペに進化。
時代の流れにあわせ、3.5L 直噴V6ガソリンエンジンや、後に2.2L 直4クリーンディーゼルモデルも登場しています。
2018年に発売された3代目は、ボンネットの先端部分が突き出たややスラントノーズ形状に切れ長のヘッドライトというメルセデスの最新デザイン言語が採用され、CLSクーペでは初めて5人乗り仕様となりました。
■FFシャシーのコンパクト4ドアクーペ。メルセデス・ベンツ CLAクラス
メルセデスのAクラスをベースにした4ドアクーペモデルです。
デザインテイストはCLSに通ずるものが多く、弟分のような存在とも言えるでしょう。
初代は2013年に登場し、ルーフラインは流麗なクーペスタイルでありながらボリューム感のあるフロントグリル 、ボンネットには特徴的なパワードームがあり、コンパクトクラスながら存在感のあるスポーティなスタイリングを実現しています。
パワートレインは1.6Lと2.0L 直4直噴ガソリンターボというラインアップで、駆動方式はFFもしくは4WDで、乗車定員は5名を確保しています。
2019年10月には2代目にモデルチェンジを行い、シンプルな造形でありながら流麗かつ力強いデザインが採用されました。
エンジンは、当初2.0L 直4クリーンディーゼルと2.0L 直4ガソリンターボをラインアップし、2020年2月に1.4L 直4ガソリンターボが追加されています。
■大開口のハッチゲートも美点。アウディ A5スポーツバック
アウディのミドルクラスセダン、A4のクーペ版であるA5に2010年に追加設定された5ドアモデルです。
A5がもともと富裕層をターゲットにした“ラグジュアリークーペ”という位置づけであるため、スポーツバックはクーペの持つスタイリッシュなデザインとパーソナル性を残しつつ、4つのドアと大面積のリアゲートとを備えた美しくも実用性の高いモデルとなっています。
パワートレインは2.0L 直4直噴ガソリンターボに7速Sトロニック+最新世代のクワトロ(電子制御4WD)の組み合わせで、エネルギー回生システムによって燃費性能も向上させています。
2017年には2代目が登場。
美しいクーペスタイルがさらに洗練され、最新の安全運転支援システムやコネクティビティ、インフォテインメントシステムを搭載しています。
またFFモデルも設定され、選択肢の幅が広げられています。
中古なら比較的リーズナブルに手に入れることができるのも、その魅力に拍車をかけています。
■アクの少ないデザインも魅力。アウディ A7スポーツバック
アウディのフラッグシップセダン、A8に次ぐラグジュアリーな5ドアモデルです。
初代モデルは2011年に発売開始。
なだらかなルーフラインはリア後端部までつながり、美しいクーペのスタイリングを形成しています。
リアセクションは大きな開口部を持つ電動式リアゲートとなっており、最大1,390Lというステーションワゴン並のラゲッジ容量を確保。
インテリアには高級感のあるミラノレザーシート、タッチパッドと8インチモニターを組み合わせた最新世代のマルチメディアインターフェース、そしてプレミアムサウンドシステムが標準装備されています。
エンジンは3.0L V6直噴ガソリンスーパーチャージャーを搭載し、7速AT+クワトロで駆動します。
当初は乗車定員が4名でしたが、2015年に実施されたマイナーチェンジでリアシートを3人掛けに変更し、5名となっています。
現行型となる2代目は2018年に登場。
アウディのアイデンティティでもあるシングルフレームグリルはさらに迫力のある大きさとなり、ラグジュアリーな存在感と迫力が増しています。
エンジンは3.0L V6ガソリンターボとなり、エクステンデッドレザーのインテリア、バング&オルフセンサウンドシステム、4WS、最新の安全運転支援機能などでプレステージ性を高めています。
■使えるジャーマン4ドアクーペ。BMW 4シリーズグランクーペ
BMWのミドルクラスセダン、3シリーズのクーペ版が4シリーズとなります。
4シリーズは、もともと3シリーズクーペだったものが枝分かれしたもので、2013年に登場した新しいシリーズです。
ラインアップには2ドア版のクーペ、ハードトップを備えたオープンモデルのカブリオレ、そして2014年に追加設定された、4ドアのグランクーペがあります。
ショートオーバーハング、ロングエンジンフードというBMWらしいスポーティなデザイン要素が強調されたエクステリアで、リアはルーフ後端から大きく開くハッチゲートを備えています。
パワートレインは、2.0L 直4ガソリンターボと3.0L 直6ガソリンターボが用意され、トランスミッションは8速AT、駆動方式はFRもしくは電子制御4WDとなっています。
2020年10月にはクーペが第2世代にモデルチェンジとなりました。
インパクトのある大型で縦型のキドニーグリルが話題となりましたが、グランクーペについても今後新型が登場すると予測されています。
プレミアムメーカーの作る4ドアクーペモデルを見てみると、クーペの持つラグジュアリー感、プレステージ性を生かしつつ、実用面や居住性を高い次元でバランスさせたモデルであることがよく分かります。
決して安くはない買い物ですから実用的であることはとても大切ですが、せっかく選ぶならデザイン性も犠牲にしたくはない。
そんな欲張りなユーザーには、ぴったりの選択といえるではないでしょうか?