BMWのスポーツモデルに冠される「M」とは?
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BMW各シリーズの頂点に立つ「M」モデルは、通常のラインとは異なる場所で作られる特別なBMWです。
クルマ好きなら誰でも1度は憧れるMとは、どんなクルマなのでしょうか?
ヒストリーをひもときながら、Mの凄さについて解説します。
■Mとは関連企業の名前

「M」は、BMWの関連企業である”BMW M GmbH(ビーエムダブリュー・エム社)”が手掛けたモデルであることを表しています。
その前身は、BMWのモータースポーツ部門を担当するBMWモータースポーツ社で、1993年に現在の社名にあらためられました。
M社の作るモデルは、モータースポーツ活動から得た知見とノウハウをもとに専用チューニングが施された、まさに最先端テクノロジーが投入されたスポーツモデルなのです。
■設立当初からモータースポーツで成功を収める

Mの歴史を紹介するうえで、モータースポーツ活動は切っても切り離せません。
まず前身のBMWモータースポーツ社は1972年に設立、手始めツーリングカー選手権とF2選手権に着手します。
ホモロゲーションを獲得し、翌1973年に実戦投入された3.0CSLは、ヨーロッパツーリングカー選手権(ETCC)でチャンピオンを獲得。
その後、約10年のあいだに、排気量アップやABSの採用などでバージョンアップを繰り返し、ヨーロッパツーリングカー選手権で6シーズンチャンピオンを獲得するなど、各国のツーリングカーレースで素晴らしい活躍を見せました。
いっぽうF2レースには、エンジンコンストラクターとして参戦、1973年を皮切りに、1974年、1978年、1979年、1982年と、ヨーロッパF2選手権タイトルを獲得しました。
その後1982年シーズンになると、F1に参戦するブラバムに当時としては画期的な1.5Lターボエンジンの供給を開始。
1983年には、ネルソン・ピケがドライバーズタイトルを獲得し、世界のトップカテゴリーでも成功を収めます。
■市販車へのフィードバック
BMWモータースポーツ社は70年代中ごろから、モータースポーツで培った技術をフィードバックした市販モデルの販売を開始します。
1974年、初代5シリーズ(E12)に3.0CSLから受け継いだ直列6気筒エンジンに、専用の足まわりを装備した530、533i、535iがリリース。
見た目は普通のサルーンながら、スポーツカー並みの速さ持つ、高性能モデルとして注目を集めました。
この特別な5シリーズは、すべり出しこそわずかな販売でしたが、徐々にその数を増やし1980年までに895台を生産。
この成功が、のちのMシリーズを生み出すきっかけとなるのです。
■悲運のスーパーカー「M1」
市販で車名にはじめてMを付けたモデルが、1978年にBMWモータースポーツ社が作り上げたM1です。
3.5L直列6気筒のエンジンをミドに搭載し、オイル供給にドライサンプを採用したり、スペースフレーム構造を用いたりとモータースポーツのベースモデルとして企画されたM1は、開発の一部とシャシー製造をイタリアのランボルギーニが請け負って生産される予定でした。
しかしランボルギーニの経営不振により、フレームとボディシェル、車体の組み立てはイタリアのメーカーで行なった後、ドイツのバウア社に送られて完成するという、複雑な製造工程を経ることになりました。
その結果、生産は大幅に遅れ、当時のグループ4規定「連続する24か月間に400台の生産」をクリアしたのは1980年のこと。
1981年に実戦投入されるものの、1982年からFIAのレギュレーション変更で参加カテゴリーが消滅したという悲運のモデルでした。
■世界のFRスポーツのベンチマーク「M3」

Mモデルと聞くと、3シリーズベースのM3を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
そのM3のイメージを決定づけたのは、ツーリングカー選手権へ参戦するために企画された初代M3をおいてほかにはないでしょう。
当時のグループA規定に合致させるため誕生した初代M3は、市販の3シリーズをベースにしながらも、ボディのブリスターフェンダーや前後スポイラー、リアウインドウの傾斜角、トランクリッドの高さなど専用ボディに、195PSを発生する2.3L 4気筒エンジンを搭載。
世界各国のツーリングカー選手権はもちろん、WRCにも投入され、華々しい成績を残しました。
その後、歴代M3はFRスポーツカーのベンチマークとして、いつの時代もクルマ好き憧れのモデルとして君臨し続けています。
■ビジネスマンズエクスプレス「M5」

5シリーズをベースにした高性能市販モデルを生産していたBMWモータースポーツ社が、満を辞して1984年に登場させたのがM5です。
初代M5に搭載されていたエンジンは、前述のM1に搭載されていたM88ユニットを改良したもので、最高出力は286PSにまで高められていました。
見た目は普通の4ドアサルーンながら、スポーツカー並みの高性能を持つM5は、ビジネスマンズエクスプレスとも呼ばれました。
M5の成功は、今日の高性能サルーン市場に大きな影響を及ぼしました。
■羊の皮を被った狼、それがMモデル
現在では、クーペやセダンに限らずSUVにもラインアップされるMモデル。
すべてに共通しているのは、専用のエアロパーツが装着されているのにもかかわらず、華美になりすぎていない、まさに「羊の皮を被った狼」なクルマであることです。
このさりげなさが長く愛される秘訣なのかもしれませんね。




