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911GT1はあるの?ポルシェGTシリーズの歴史

 

ポルシェのラインアップのなかで、GTを冠したモデルはひときわ異彩を放っています。

 

GTはグランツーリズモの意味で、通常はロードゴーイングモデルの最高峰を意味しますが、ポルシェの場合は1950年代の356カレラGTや、904GTSといったレーシングモデルから受け継いだ、サーキットに縁の深いネーミングです。

 

ここでは、近代ポルシェの礎となった、代表的なモデルを紹介します。

 

 

■1995年登場、空冷最速モデル911 GT2


 

 

 

現代の911におけるGTシリーズの歴史は、最後の空冷エンジン搭載モデルであるタイプ993から始まります。

 

当時ヨーロッパのスポーツカーレースや、ル・マン24時間レースで採用されていたFIAのGT2規定に合致させるために誕生したロードカーで、GT2はホモロゲーションモデルであることを表しています。

 

そのため、ありとあらゆる部分がモータースポーツを見据えて造られており、ひと目で普通の911と違うことが分かります。

 

まず目に飛び込むのは、リベット留めで取り付けられた大きなオーバーフェンダーとリアウィングでしょう。

 

これはワイドなレーシングスリックを履くためとダウンフォースを得るための装備で、全幅はノーマルの993よりも125mmワイドです。

 

3.6L水平対向6気筒エンジンはツインターボ化され、ストリートバージョンでも430PSを発生。

 

0−100㎞/h加速は3.9秒と、現代の水準で見ても優秀な性能を誇ります。

 

圧倒的な性能と、空冷最後のスペシャルモデルとして非常に人気が高く、コレクターズアイテムとなっていて、出物があれば非常に高値で取引されています。

 

FIAのGT2規定は2010年に消滅したものの、ブランパンGTシリーズを主宰するSROが2018年に新たにGT2クラスを新設。

 

現行911 GT2 RS クラブスポーツは、その規定に合致するスペックで製作されています。

 

 

■1996年登場、レースありきのストリートカー911 GT1


 

1990年代、ル・マンはグループCの消滅で、毎年のようにレギュレーションの変更を余儀なくされていました。

 

そこに投入されたスペシャルモデルが、911 GT1です。

 

ネーミングのGT1は、GT1規程を意味するもので、ポルシェでGT1を名乗るのは後にも先にもこれ1台だけです。

 

ル・マンのGT1規程は1994年から導入され、1995年はグループCの参戦も禁止されたことから、ポルシェはタイプ993の911 GT2を規定に合わせたGT2 Evoで挑みました しかし、究極のロードカーであるマクラーレン F1が、レースを席巻し、ポルシェは後塵を拝することになったのです。

 

ベースとなる市販車の性能が大きく影響するGT1規定で、マクラーレンから勝利をもぎ取るために、ポルシェが開発したのが911 GT1です。

 

ベースは993ですが、キャビン後方はモノコックを撤去するととともにスペースフレーム化によって、エンジンのミドシップマウントを実現していました。

 

モデル名に911の名が冠されているものの、中身の多くは別物、ものすごく低い911という見た目になっていました。

 

レースシーンには1996年に登場、公道走行可能なストリートバージョンの生産台数は25台と言われています。

 

 

■1998年登場、NA最速モデル911 GT3


 

 

現在ではすっかりお馴染みのGT3ですが、タイプ996で初登場したときには、1400台の限定モデルとして企画。

 

しかし、予想以上の人気となり最初のGT3は1400台以上を生産、さらにマイナーチェンジでカタログモデルとなりました。

 

もちろんGT3もモータースポーツを見据えた開発がなされていましたが、通常のGT3はエアコンやパワーステアリングなどを装備し、日常使いもできる快適性も兼ね備えていました。

 

それでいながらサーキットでのスポーツ走行が可能という2面性がヒットの要因と言えるでしょう。

 

ストイックに走りを楽しむ911ユーザーに人気のモデルとして、現在では911お馴染みのモデルとなっています。

 

簡単に解説するとGT2はターボエンジン、GT3はNAエンジンを積んだ究極のロードゴーイング911なのです。

 

 

■2003年登場、規格外の公道を走れるレーシングカーカレラGT


 

2003年にジュネーブショーで世界に初披露されたカレラGTは、1270台限定で生産されました。

 

カーボンで造られたセンターモノコックにリアサブフレーム、600馬力オーバーの5.7L V10ユニットなど、端的にこのモデルの特徴を挙げるだけでも、レーシングカーに近い構造をしているのが分かるかと思います。

 

911のGTモデルとは一線を画すスーパーモデルで、ミドシップにエンジンを搭載。

 

モノコックやボディだけでなく駆動系やブレーキなどありとあらゆる部分にカーボンを採用し、5000万円オーバーのプライスタグがつけられました。

 

これほどの高性能、高価格でいてレーシングテクノロジーをふんだんに使用していながらマニュアルトランスミッションを採用しているどこかアナログなモデルとなっています。

 

しかも採用された特殊な超小型クラッチは、クラッチミートが難しく、スムーズに走らせるにはドライバーの技量が問われます。

 

乗り手を選ぶレーシングカーのようなストリートモデルなのです。

 

 

■ポルシェのGTモデルはサーキットに由来する


 

ポルシェGTモデルのマイルストーンとなったモデルは、いずれもロードカーがベースなので公道でも乗ることはできますが、その真価が発揮されるのはサーキットです。

 

現在は、いずれもコレクターズアイテムになっており、超高値で取り引きされています。

 

 

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