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イタリア車はなぜ、壊れやすいと言われるのか?

 

フェラーリ、ランボルギーニ、アルファロメオ、マセラティ、ランチア、フィアットなど、イタリアのメーカーは、スーパースポーツから大衆車まで、どれをとっても独創的なデザインで、古くからファンに愛されてきました。

その一方で、しばしば「イタリア車=壊れやすい」と言われ、それを理由に購入を踏みとどまったという方も少なくありません。本当に、イタリア車は壊れやすいのでしょうか?

 

 

 

日本車と比べれば故障が多い?

 

 

イタリア車=壊れやすいと言われてきた理由には、日本メーカーとイタリアメーカーの、クルマづくりに対する考え方があると思います。そのもっとも大きなものが消耗部品で、日本車ではある程度劣化が進んでも使用に耐える設計を行っているのに対し、イタリア車(多くの海外メーカーも同様)は耐用年数を過ぎているのにもかかわらず交換を怠ると、車両自体の性能に影響をおよぼすことがよくあります。

 

そのため、日本車なら交換なしでも乗り続けることができるものも、イタリア車ではそうもゆかず、パーツ交換のために工場へ入庫させることになってしまいます。

 

また、十数年前までは、パーツのクオリティにばらつきが大きく、それが車両のアタリ、ハズレとも直結していました。このハズレに当たれば、やはり工場入庫の回数が増えてしまいます。

 

ただしそれも数年前までの話しで、ここ数年のイタリア車は、メーカーのアライアンスや合併によって、大幅に品質が向上しています。

 

たとえば、イギリスで販売されるアルファロメオには、最大で5年間20万キロのメーカー保証を付けることが可能と、ドイツメーカーと変わらないプログラムが用意されているほどです。

 

 

 

高温多湿が引き起こす問題

 

クルマの性能に影響をおよぼす要因のなかで、気候という問題はさけて通ることができません。高温多湿な日本の環境は、ボディの塗装、プラスチックやゴムなど樹脂パーツ、電気系に大きなダメージを与えます。まして、そのなかで毎日のように渋滞にまきこまれるとなると、本当に厳しい条件下で酷使されることになります。

 

その点、日本車は国内の環境を理解したうえで作られているため、それほどトラブルは起こりません。しかし、イタリアをふくむかつての欧州車は、日本独特の環境をほとんど想定していなかったため、トラブルが発生するリスクが高かったのです。

 

しかし、グローバル化が進み、自動車輸出が当たり前になった現代においては、世界各国の気候変動に対する対策は、各メーカーが取り組みを続けています。フォルクスワーゲン傘下のランボルギーニや、フィアットクライスラーグループのアルファロメオなどを見てみると、以前ほど脆弱なものではなくなっています。

 

 

 

イタリア車に限らず故障は起こる

 

 

ここまでイタリア車がなぜ壊れやすいと言われるかについて書いてきましたが、他国のメーカーに目を向けると、イタリア車だけが壊れやすいわけではありません。

 

イタリア車に限らず、クルマは先に挙げた部品の耐用年数を理解し、交換を怠らなければ、大きなトラブルに発展することはまずありませんし、反対にメンテを怠れば、どこのメーカーのクルマであっても、出先で動かないなど、大きなトラブルに発展するリスクが高まります。

 

いまやメーカーの国名では、クルマの信頼性を語ることはできないのです。

 

 

イタリア車が壊れやすいというのは、もはや過去の話し。ランボルギーニ、フィアットグループの各メーカーでは、旧来のイタリア車の不都合な部分が改善されています。それよりも、官能的なデザインや五感を刺激する性能など、独自の魅力が凝縮されているイタリア車は、それだけでともに暮す価値のあるクルマです。気になる方は、ディーラーへ足を運んで、実車をじっくり研究してみましょう。