VW トゥアレグ V6アップグレードパッケージ試乗インプレ
現在は、日本国内のラインナップから外され、新車販売がないフォルクスワーゲンのフラッグシップSUVが、トゥアレグです。卓越した走行性能とフラッグシップに相応しい上質ささを兼ね備えたモデルは、2003年に販売が開始されました。
フォルクスワーゲン トゥアレグとは?
日本市場に初代トゥアレグが上陸したのは2003年9月のこと。その後、2011年2月に2代目がデビューしました。
初代から受け継いだ、スポーツカーに匹敵するオンロード性能、本格的ラフロード性能、高級サルーンと同等の上質な乗り心地を高次元で融合させた「3cars in1」コンセプトで製作された2代目は、プレミアムSUVとして十分な魅力を持ったモデルでした。
設定されたパワートレインは、最高出力206kW(280PS)/最大トルク360Nmを発生する3.6L V型6気筒エンジンと、最高出力245kW(333PS)/最大トルク440Nmを発生するスーパーチャージャー付き3.0L V型6気筒とモーターを組み合わせたハイブリッドシステムの2種類。
駆動方式は、VW独自のフルタイム4WDシステムの4モーションのみ。トランスミッションは、全車ティプトロニック付8速ATが組み合わされ、JC08モード燃費はV6が9.5km/L、ハイブリッドは13.8km/Lでした。
この2代目は、2015年のビッグマイナーチェンジを境に、前後期にわけることができます。ここでは、後期型に用意されたV6 アップグレードパッケージについて解説します。
高級サルーンに匹敵する居住性
2015年のビッグマイナーチェンジモデルの特徴は、おもにエクステリアのデザインと、安全性能の進化に集約することができます。
具体的には、近年のVWデザインにならった水平基調を強調するため、フロント、リア、サイド部分にクロームパーツをあしらうと同時に、ラジエターグリルを中心としたフロントまわりの意匠を変更。ボディカラーも3色から8色になり、エレガントで高級感あふれる印象を強めています。
また、プリクラッシュブレーキシステムの“フロントアシストプラス“や、アダプティブクルーズコントロール、マルチコリジョンブレーキなど先進の安全・快適装備の標準装備化。さらにV6 アップグレード パッケージには、レーンディパーチャーワーニングシステムの”レーンアシスト“と、レーンチェンジアシストシステムの”サイドアシスト“が追加されるといった具合です。
パワーユニットの3.6L V型6気筒の燃費は、9.8km/Lに向上。ハイブリッドは、用意されませんでした。
ボディサイズは、フラッグシップSUVに相応しい、全長4,815mm×全幅1,945mm×全高1,745mm。ホイールベースは2,905mmというロングホイールベースで、室内は広く、リアシートの居住性は高級サルーンに匹敵するほどです。そのゆとりがあるインテリアは、高級車としての風格を備えています。
インストルメントパネルは、通常モデルがシルバーメタリックのデコラティブパネルであるのに対し、V6 アップグレードパッケージでは、ウォールナット製のウッドデコラティブパネルを採用。シートは、レーザーパワーシートとなります。
全体的にはシンプルで機能性を重視したデザインですが、ウォールナット製のパネルを奢ることにより、上質さを演出しています。
トゥアレグのラゲッジスペースは、荷物の形状や量に合わせて、ラゲッジをフレキシブルにアレンジ可能です。5人乗車時の容量は、580L(ISO測定法)で、リアシートをすべて倒すと最大で1,642Lを確保することができます。
アップグレードパッケージには、ラゲッジスペースサイドに設置されたスイッチを押すだけで、リアシートの背もたれを倒せる電動バックレストリリースが標準装備されています。
3.6L V型6気筒直噴エンジンを搭載
V6エンジンは、狭角V型レイアウトを採用したコンパクトな3.6L。最高出力206kW(280PS)/最大トルク360Nmとパワフルながら、JC08モード燃費は9.8km/Lと優れた燃費性能を発揮します。
このエンジンに組み合わされるのは8速AT。多段化により、変速時のエンジン回転数変化を最小限に抑え、なめらかな加速を実現するとともに、7、8速をオーバードライブとして設定し、燃料消費量の抑制にも寄与しています。
またエンジンを無駄なく効率的に利用する環境技術“ブルーモーションテクノロジー”が採用されており、スタート/ストップシステムやバッテリーへの充電を効率良く行うブレーキエネルギー回生システムによっても燃費を向上させています。
駆動方式は、4モーションと呼ばれるフルタイム4WDシステムを搭載。駆動力は、前後40:60を基本に、路面状況によって前後0:100〜100:0まで無段階に自動調整します。
オプションとして、前後4カ所に設置された車高センサーがボディと車軸間の距離を測定し、つねにベストな車高をキープするCDCエアサスペンションや、センターコンソールに設置したダイヤルによってダンパーの減衰力が自動調整できるダンパーコントロール機能が設定されていました。
現在でも色あせない安全装備
現代のクルマには必須の安全快適装備に関しては、ドライバー疲労検知システムであるファティーグ・デテクション・システムや、衝突被害軽減ブレーキであるフロントアシストプラスをはじめとして、事故の可能性を検出した場合、あらかじめシートベルトのテンションを高めたり、エアバックの効力を最大限に発揮させるためにウインドウを自動的に閉じて乗員保護機能の作動に備えるプロアクティブ・オキュパントプロテクション、全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロールといったアクティブセーフティ機能や運転支援機能が標準装備されています。
また、万が一事故が起きても被害を最小限に留めるマルチコリジョンブレーキなどのパッシブセーフティ機能も備えています。
それらに加え、アップグレードパッケージにはレーンアシストやサイドアシストが標準装備されています。
■まとめ
現在、トゥアレグの国内新車販売は行われておらず、車両を探す場合は、中古車のみになります。文中でも解説したように2代目には2015年のマイネーチェンジを境に前期と後期がありますが、現在、購入するのであれば、安全装備が充実した後期型がおすすめです。