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ボルボXC90 T8ツインエンジンインスクリプション試乗インプレ

 

2016年1月から日本導入が開始された現行型ボルボXC90は、新技術とSPAアーキテクチャーを採用した新世代ボルボSUVのフラッグシップモデルです。約5mのボディに3列シートをレイアウトした7人乗りで、北米トラック/SUV・オブ・ザ・イヤーと、米モーター・トレンドの2016 SUV・オブ・ザ・イヤーを獲得しています。

 

 

 

伝統的スタイルと新しさを融合

 

 

全長4,950mm×全幅1,930mm×全高1,775mmという大きなボディのXC90は、ボルボの伝統的スタイルを継承するとともに、直立したグリルや逞しいショルダーラインにより力強さを生み出しています。

 

またリアは垂直のラインを重視することで、独特な高級感を生み出しています。新世代ボルボのアイコンとなっているトールハンマーをモチーフにしたポジションライトを採用したのは、このXC90からでした。

 

飛行機のファーストクラスを目指してデザインされたインテリアは、シートに立体構造を採用、座り心地はもちろん広いレッグルーム確保に役立っています。同時に最新の人間工学に基づいて設計され、長距離ドライブでの疲労を軽減しています。

 

 

試乗したT8ツインエンジン インスクリプションには、フロントシートに電動バックレスト・サイドサポート、電動ランバーサポート、電動クッションエクステンションに、シートヒーター、ベンチレーションおよびマッサージ機能を標準装備しているほか、セカンドシート左右で独立したエアコンユニットを装備。さらにグローブボックスには、クーリング機能も備えています。

 

 

センターコンソールパネルには、9インチの縦型タッチスクリーン式ディスプレイを採用。ドライバーが車との直感的なやりとりを可能したのをはじめ、デジタル機器や外部ネットワークとも接続可能としたボルボ独自のシステム“センサス(SENSUS)”を採用しています。

 

 

 

高級車にふさわしいPHEVユニット

 

 

XC90のパワートレインは、2.0L直列4気筒ターボエンジンのT5と2.0L直列4気筒ターボ+スーパーチャージャーのT6という2つのガソリンエンジンと、プラグインハイブリッドのT8ツインエンジン、さらに2019年3月からボルボクリーンディーゼル最強のD5が導入開始されました。

 

そのなかから試乗したのは、T6と同じ2.0L直4ターボ+スーパーチャージャーに電気モーターを組み合わせたT8ツインエンジンを積んだ上級グレードのインスクリプションです。

 

T8ツインエンジンのシステム出力は、最高出力233kW(318ps)+65kW(87ps)、最大トルク400Nm+240Nmという非常にパワフルなもの。2tを超えるボディを、スムーズかつ静かに加速させる性能は、1000万円オーバーの高級車に相応しい品の高さを備えています。

 

ちなみに、満充電時の電気モーターのみによる航続走行距離は35.4kmで、JC08モード燃費は15.3km/Lです。組み合わされるトランスミッションは8速ATで、駆動方式はAWDのみです。

 

 

 

 

エアサスによる上級な乗り味

 

サスペンション形式はフロントがダブルウィッシュボーン式、リアはマルチリンク式となっています。

 

T8ツインエンジン インスクリプションには、電子制御式4輪エアサスペンションが装着されています。このシステムには、エコ、コンフォート、ダイナミック、パワー、オフロードという5つのモードを備え、減衰力特性はもちろん車高も変化させ、走行シーンに合わせて空力性能やハンドリングを向上させるほか、荷物の積み下ろし時にはリアのみ50mm車高を下げることも可能となっています。

 

 

21インチという大径タイヤを装着しながら、どんな路面状況でも揺れの少ないフラットな乗り心地が特徴で、乗員すべてが快適に移動できるラグジュアリーカーといえるでしょう。

 

 

 

環境性能にも配慮されたダウンサイジングエンジンが魅力

 

XC90と同じフルサイズSUVとなると、一般的には排気量の大きなエンジンを搭載する傾向にあります。そのなかで、すべてのグレードが2.0Lのダウンサイジングエンジンを搭載し、環境性能に優れていることは、XC90の美点と言えるでしょう。

 

 

さらに北欧のインテリジェンスなデザインと、標準装備された先進安全・運転支援技術など、車両価格以上の価値を備えたモデルなのです。