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輸入車の運転補助装置、グイドシンプレックスとは?

 

日本国内において馴染みのないグイドシンプレックス社ですが、実は50年以上の歴史と実績を持ついたイタリアの自動車補助装置のメーカーとして、欧州を中心に世界で350店舗以上の取り扱い代理店を持つなど、製品の信頼性と企業姿勢が高い評価を受けている企業なのです。そしてその運転補助装置は、「純正品」として主要自動車メーカーから採用されています。

 

現在、病気や障害、また高齢のドライバーの安全運転を支援することが急務とされています。障害を持つ方の自立や社会とのかかわりを持つためにも、障害があっても健常者と変わらず、安全に運転出来る運転補助装置は重要な装置となります。

 

日本にも障害のレベルによって様々な製品がある運転補助装置を制作するメーカーはありますが、グイドシンプレックスは、それはだけではありません。サーキット走行などにも対応するなど、およそ障害者用の補助装置のメーカーとは思えない、走る喜びを可能にする製品を用意しているのです。

 

 

 

実際にどんな装備があるの?

 

・メカニカルアクセルリング&ブレーキレバー

 

グイドシンプレックスにはどんな装置があるのでしょうか。通常の補助装置では片手でステアリングを握り、もう片方の手でフロアから伸びるアクセルとブレーキレバーを操作することになり、障害の中でも下肢に障害がある場合は体を安定させることが出来ません。しかし、ステアリングコントロールシステムなら、両手でハンドルを握った状態ですべての操作が行えるために体が安定します。

 

グイドシンプレックスの代表的なステアリングコントロールシステムであるメカニカルアクセルリング&ブレーキレバーは、ステアリング上にアクセルリングを設置し、リングを押すことでアクセルを作動させます。また、両手でステアリング及びアクセル操作をする事ができるため、体を安定した状態で運転姿勢を保持することが可能となります。

 

さらに、ブレーキの操作は独立してステアリングコラム下のレバーを押すことで簡単に操作できます。また、足元のスペースが十分に確保され、ブレーキレバーはブレーキロック機能が装備しています。このように、アクセル操作をハンドル周りの装置で行えることから、両手でハンドルを握れ、健常者と同じように走る喜びを可能にしているのです。

 

・エレクトロニックアクセルリング & ブレーキレバー

 

このグイドシンプレックスのステアリングコントロールシステムには、電気式のエレクトロニックアクセルリング &ブレーキレバーもあり、これはオリジナルのステアリング裏にアクセルリングを装着し、指先でリングをスライドしてアクセルをコントロールします。機械式と同様に、両手でのステアリング及びアクセル操作ができ、見た目もすっきりとしているので、健常者との車のシェアも容易になるでしょう。

 

その他にも、スロットルレバーを引くとアクセルが作動し、押すとブレーキが掛かるプッシュ&プルや、その電気式のスロットルレバー。また、ブレーキレバーを下げるとアクセルが作動し、押すとブレーキが掛かるツイストレバーといったワンハンドコントロール システム、さらに右足に障害があっても、左足でアクセルペダル及びブレーキペダルを操作するアクセルペダル リバース キットなど、障害と必要な補助に応じたシステムが用意されています。

 

筆者は下肢にマヒがあるものの通常の車を運転しています。オートマなので運転操作そのものには不便を感じないのですが、背筋力が弱く運転姿勢を安定させるのにステアリングから手が離せません。もし、アクセルやブレーキ操作を手でするとなるとどうなるのか想像がつくだけに、ステアリングコントロールシステムがいかに障害者にとってプラスになるのかよくわかります。

 

 

 

搭載されている車種にはどんなものがある?

 

グイドシンプレックスの日本総輸入元であるGSTでは、数多くの輸入車を取り扱っており、 グイドシンプレックス製品の取り付けも、それら多くのメーカーの車種に取り付けた実績があります。

 

グイドシンプレックスの本国イタリアメーカーからは、アルファロメオの4Cやジュリエッタを始め、ミト、ブレラ、GTそして147、156といった多くのモデル、フィアットからはおなじみの500とプント、アバルトからは595。また、アメ車では、クライスラーのミニバン、パシフィカ、ボイジャーとイプシロン。そしてジープコンパス。さらにGMのカマロやコルベット、キャデラックが各システムを搭載。

 

 

イタリアとともにグイドシンプレックスの主戦場である欧州メーカーはやはり多く、フランスからは、プジョー、シトロエン、ルノーの各車。メルセデス、BMW、アウディ、VW、ボルボ、ランチアそしてポルシェと、ほぼすべてのメーカーの主要モデルに取り付け実績があります。

 

もちろんトヨタやホンダ、日産やスズキといった国産車でも、各社の軽自動車からミニバン、SUV、高級セダンそしてスポーツモデルまでほぼ全ての車種に搭載が可能です。

 

 

 

スポーツタイプだからこそグイドシンプレックスがマッチする訳

 

とくに注目するのがスポーツタイプへの搭載で、例えばポルシェ991 GT-3という飛び切りホットな車種やアウディTT、BMW M3にはエレクトロニックアクセルリング & ブレーキレバー、カマロにはプッシュ&プルというレバーを引くとアクセルが作動し押すとブレーキが掛かるシステムの装着がされています。

 

そして、グイドシンプレックスがサポートする元WGP500のライダーで、現在車いすレーサーとして活躍する青木琢磨氏が、グイドシンプレックス装着のポルシェ911 GT3で、アジアン・ルマンシリーズを闘うなど、国際格式のレースに出場できる性能が実証されています。

 

現在のクルマはパドルシフトが当たり前のように普及しているように、ステアリングから手を放さずに指先での操作の方が足での場合より素早く出来て相性がいいのです。ですから、グイドシンプレックスを装着すれば、障害者であっても健常者と同じようにサーキット走行が可能になり、スポーツタイプに多く装着例があるのです。

 

 

 

グイドシンプレックスなら走る楽しみを諦めずに済む

 

グイドシンプレックスには様々なケースに対応できる装置があり、国内外の車種はもとより、レーシングカーにも装着できるのです。自由に歩くことが出来ないからこそ、車に乗りたいという障害者は非常に多いのです。これさえあれば障害があっても、走っている限りにおいては、健常者と変わらず、好きな時に好きな所へ、そして好きな車で走る楽しみを諦めずに済むかも知れないのです。

 

運転補助装置の付いたクルマのイメージはクルマ好きにとって許容できないほどの違和感がありますが、グイドシンプレックスの各システムは見た目も良く、運転したくなるビジュアルと確かな性能があります。しかも、どんな車種にも装着が可能なのは多くの人に希望を持たせてくれます。輸入スポーツカーのポルシェやカマロでも諦めなくていいのですから。

 

 

プロフィール

田中秀雄 兵庫県在住の自動車ライター

都内及び神奈川県のカーディーラーにて営業、マネージャー職を経験していたこともあり、車に特化したライター活動を足掛け8年ほど行っています。体幹麻痺の障がいがあるため一般的な仕事が困難ではありますが、国産車、輸入車、そして福祉車両についてライティングを行っています。