スポーツカー開発の現場ニュルブルクリンクってどんな場所?
ドイツ北西部にあるサーキット、ニュルブルクリンク。
ニュルという愛称で呼ばれ、クルマ好きなら一度は耳にしたことがあると思います。
このサーキットを新車開発の場として選ぶメーカーは多く、そのラップタイムはスポーツモデルの性能を測るひとつの指針となっています。
そんなニュルブルクリンクについて、紹介していきます。
■話題に上がるニュルとは北コースのこと

ニュルブルクリンクは、ドイツ北西部のニュルブルクという街に位置し、1927年に作られた北コースと、1984年オープンのGPコースという2つのコースで構成されるサーキットです。
そのうちメーカーの開発の場となっているのは、ニュルブルク城を囲むように設計された北コース(ノルドシュライフェ)で、通常レースは開催されておらず、一般に開放されています。
いっぽうGPコースは、かつてF1も開催されていた近代的なサーキットで、現在もDTMやGTカーレースが開催されています。
ちなみに、トヨタGAZOOレーシングが毎年のように挑戦している24時間耐久レースは、北コースとGPコースをつなげた全長約25kmのコースで開催されています。
■北コースが世界一過酷なコースと言われる理由

ニュルブルクリンク北コースは、往年のF1ドライバー、ジャッキー・スチュワートが「This is a Green Hell.」と言わしめたコースで、現在も多くのドライバーに"世界一過酷"と評されるほど、ハードな設計となっています。
その理由はいくつもありますが、まず全長20km以上という長さです。
現在、国際サーキットと呼ばれるコースの平均的な長さは全長5km前後。
全長が長ければコーナーの数も多く、ニュルブルクリンクのコーナーは大小合わせて170以上にもなります。
どのコースでも攻略の第一歩は、全体のレイアウトを覚えることですが、これほど長くコーナーが多いと、覚えるだけでひと苦労することとなります。
もうひとつ過酷と言われる理由は、自然の中を走るコース環境でしょう。
山の麓を切り裂くように作られたコースは、地形の起伏に沿ったレイアウトで、アップダウンが激しく、コース幅が狭いうえに、路面が波打っている箇所、高速のブランドコーナーなど、クルマはもちろんドライバーの精神面にも厳しい条件となっています。
これはもうサーキットというよりは、超高速ワインディングという表現が正しいかもしれません。
そこでは、200km/hオーバーで飛び込む高速コーナーやブラインドコーナーは当たり前、なかにはいくつかのジャンピングスポットや、サスが底づきするコーナーなど、ロードカーに想定されるあらゆる過酷な条件が揃っています。
このような環境では、生半可な造りは許されません。
解決策は、基本性能を引き上げることだけです。
つまり、北コースで素晴らしい走りが達成できれば、そのクルマはある一定レベル以上の性能を持っているということになります。
だからこそ世界中の自動車メーカーがここをテストコースにしていますし、ここでのラップタイムが高性能車のモノサシとされているのです。
■ニュルを開発の主戦場としているメーカー

古くからニュルで鍛えられたクルマとして有名なのがポルシェやBMW、メルセデス・ベンツなどの地元ドイツメーカーのモデルたちです。
BMWやメルセデスはスポーツモデルはもちろん、一般的なセダンやツーリングワゴン、ハッチバック車の開発も古くからこのコースで行なっています。
また、ポルシェはこのコースでの開発を重視しており、つねに市販車ラップタイムの上位に多くのモデルがランクインしています。
ポルシェが世に生み出すモデルが世界中の走り好きに愛されるのは、このような姿勢が製品に現れているからかもしれません。
もちろん日本メーカーも北コースで開発を行なっています。
日本メーカーがこの場所で開発を始めたのは1980年代後半ごろでした。
R32 日産 スカイライン GT-Rや初代 ホンダ NSXの開発で使われたことから、その名が知られるようになりました。
■じつは誰でも走れる

ここまで特殊なコースと聞くと選ばれた者しか走れないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
じつはこの世界一過酷なコースは誰でも走れるのです。
一方通行の有料道路として普段は一般に開放されており、料金を払えば誰でも走行できます。
ポルシェやBMWのスポーツモデルに乗った地元の走り屋が飛ばしていることもあれば、観光バスが走っていることもあるそうです。
ニュルブルクリンクを走れるレンタカーもあるので、クルマ好きの方はドイツ旅行の際にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
(通常のレンタカーでは保険が適用されないので注意!)
■機会があればぜひ走りたい
ここでテストできないのは250km/hを超える超高速からのブレーキングだけと言われるほど、ロードカーに待ち受けるさまざまな過酷な条件が揃っているニュルブルクリンク。
このような過酷な環境でクルマを開発することで、懐の深いクルマを作ることができるのでしょうね。
機会があれば、一度走ってみる価値があるコースです。




