メルセデスベンツの安全へのこだわり
自動車は、事故に遭遇する危険と隣り合わせの乗り物です。
もちろんどの自動車メーカーも安全性を考えた自動車の開発を行っていますが、古くからそこに注力して研究と開発を行っているのがメルセデス・ベンツです。
今回はメルセデス・ベンツの安全へのこだわりについて紹介していきます。
■自動車安全技術の先駆者

1886年から自動車メーカーとしての歩みを始めたメルセデスは、早い時期から安全性を重視して自動車の開発を行ってきました。
「人の命よりも大切なものはない」ということを信念に掲げる彼らは、1939年に開発部門内で衝突安全性の研究に着手して以来、つねに時代の先を行く安全技術を市販車に投入してきました。
そこから発案された技術は、オフセット衝突に対応する衝撃吸収構造ボディ、ABS、ダブルファイアーウォールなど枚挙にいとまがありません。
と同時に、それら技術の特許は独占せず、無償で公開してきたのです。
現在、そのこだわりは事故が起きてしまったときに搭乗者を守るのはもちろん、事故を起こさないようにドライバーに与える疲労を可能な限り低減することにまでおよんでいます。
■ミスター・セーフティーと呼ばれた男「ベラ・バレニー」

メルセデスの安全性の歴史を語るうえで、欠かせない人物がいます。
オーストリア出身のエンジニア”ベラ・バレニー”です。
「自動車は安全な乗り物でなければならない」を信条とするバレニーは、1939年に入社。
前述した研究開発部門に配属されます。
バレニーの思想を具現化したセル構造ボディの180シリーズが発表されたのは戦争を挟んだ1953年で、1959年には、フルモノコック(衝撃吸収ボディ)を採用した220シリーズ(W111)を完成。
同時にジンデルフィンゲンで初めての衝突実験とクラッシュ・ロールオーバーテストが開始されました。
現在の自動車開発においては、当たり前とされている実車での衝突実験ですが、高性能化や快適性を重視した開発が多く、また安全性が自動車開発に占める割合が非常に小さかった当時としては、とても画期的な試みでした。
1966年には、開発マネージャーのハンス・シェレンバーグとともに、現代の自動車作りには欠かせない、アクティブセーフティ(能動的安全)とパッシブセーフティ(受動的安全)の基礎を確立。
また1969年には、実際の事故現場を調査する独自の調査部を設立。
事故原因はもちろん、了承を得れば搭乗者の怪我の様子まで徹底的に調査して得たデータを基に、安全技術の開発設計を行なっていきました。
その後、バレリーは1972年にメルセデスを退くまで、安全性に関する特許を約2500件も取得。
いつしかミスター・セーフティーと呼ばれるようになり、その功績が認められ1994年にはアメリカの自動車殿堂入りをはたしました。
■メルセデスが実用化してきた現代で当たり前とされる安全技術

我々が、普段何気なく目にしている自動車の安全技術は、メルセデスが実用化したものが多くあります。
その代表的な例を紹介していきます。
■SRSエアバック
事故発生時、大きな衝撃を感知すると素早く展開して、乗員保護をするSRSエアバックは1971年に関連特許をメルセデスが取得、1981年に量産車に世界で初めて採用されました。
シートベルトを装着することで効果を発揮するこのシステムの優位性は広く認められており、現在ではほぼすべての量産車に搭載されています。
■ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)
ABSは、ハードなブレーキングをしたときにタイヤがロックするのを防ぎます。
メルセデスは、1978年に世界で初めて量産車に4輪ABSをオプション採用しました。
急制動時、タイヤがロックする(滑走状態)とステアリング操作が効かなくなり、静止するまでの距離も長くなってしまいます。
タイヤのロックを防ぐABSが装備されていれば、ドライバーは緊急時に躊躇なくブレーキを踏むことができますし、減速しながらの回避操作を安全に行うことが可能となります。
現在では多くの自動車に標準装備されており、日本車に置いては装備が義務化されています。
■衝撃吸収ボディ
事故発生時、ボディが衝撃を吸収し、乗車スペースの空間を確保するという考えは現在多くの自動車で採用されています。
メルセデスはこの考えを1959年登場の220シリーズ(W111)に取り入れています。
■メルセデスは単なる高級車にあらず
現代では、当たり前の技術やアイディアをいち早く実用化してきたメルセデス。
もし彼らが自動車メーカーとして存在していなければ、今日の自動車安全はなかったかもしれません。
高級車としてのイメージが強いメルセデスですが、その高額な車両金額も安全性への投資と考えれば安いものでしょう。




