世界のクルマをもっと知る

米大統領が乗る絶対的防衛車ビーストことキャデラック・ワンってどんなクルマ?

 

2019年5月のトランプ大統領来日の際に、テレビ等でビースト(野獣の意味)と呼ばれる大統領専用車やそれを警護する車列の多さに釘付けとなった方もいるかと思います。ビーストはアメリカの大統領が乗るクルマだけに、「守る性能」がずば抜けています。今回はいかにビーストの防衛性能が高いかを紹介します。

 

 

・ベース車両とボディサイズ

 

あくまで推察ですが、スタイルはかつてのキャデラックDTSを拡大させてもの、もしくは強さやボディサイズの拡大も考慮し、GMのブランドであるGMCにあったトラックのトップキックをベースにしているかと思います。

*現在のビーストは2018年秋に改修を受けたもの。

*ボディサイズは非公表です。

 

 

・防衛性能

 

ボディの全長は約6.8mあると言われており、チタンやセラミックといった素材を使った軍用レベルの装甲板で完全に覆われています。なんとドアは20cm以上、防弾ガラスは12cm以上の厚さがあり、爆破やロケット弾による襲撃に耐えるとされています。

 

タイヤは被弾しても走行可能となっているタイヤで夜間ヘッドライトを破壊されても走行できるように暗視カメラも装備されています。さらには、化学兵器による攻撃を想定し車内は完全に外と密閉され、きれいな空気が常に循環しています。被弾による爆発を防ぐために燃料タンクも特殊な発泡体に包まれ、付近に自動消火装置も備える徹底ぶり。

 

また、大統領が負傷した際に備え、輸血用血液の常備をはじめとした万全の医療体制を敷き、護衛を突破された際に備えショットガンや催涙弾といった武器も前席に完備されています。

 

 

・性能

 

要塞のような武装により車重は約8〜9トンと言われています。またエンジンは、ガソリンエンジンのものとディーゼルエンジンのものが存在し、現在はどちらが使用されているか明らかになっていません。

 

防衛性能を高めた結果の車重が影響し、最高速は100km/h前後で、最高速に達するタイムは15秒前後と推測できます。このようなVIPカーはロールスロイスやトヨタ センチュリーも「いざという時には安全なところまで逃げられるよう、それなりの速さや俊敏な動き」も確保するものですが、ビーストが逃げ足よりも「とにかく守る」というコンセプトを持つ点はアメリカ的に感じますよね。

 

ビーストはアメリカを代表、象徴するクルマの1台であり、次にテレビなどで姿を見る際には特に守る性能を頭の片隅に置くと、違った角度から見ることができるかもしれません。