ゲレンデはなぜゲレンデと呼ばれるのか?
メルセデス・ベンツの最高峰SUVとなるGクラスは、1979年に誕生、今年で40周年を迎えました。初代登場以来、多くのファンに愛され続けてきたGクラスですが、一部のファンからはゲレンデとかゲレンデヴァーゲンという愛称で呼ばれています。歴代メルセデスを見渡しても、こういった愛称を持つモデルはごく一部だけです。どうしてGクラスには愛称が付いたのか、歴史を振り返りながら解説しましょう。
ゲレンデと呼ばれる理由
メルセデス・ベンツのGクラスのルーツは、 1972年に当時のダイムラー・ベンツとシュタイア・ダイムラー・プフの協力によって開発が始まった軍用車両です。1979年に、NATO軍に正式採用された車両は、ドイツ語でオフローダーを意味するゲレンデヴァーゲン(Geländewagen)という名称でした。
同じ年、メルセデスはゲレンデヴァーゲンを民生用に仕立直し、販売を開始。これが、初代Gクラス(W460型)です。「ゲレンデ」という愛称は、その軍用車両から頂いたものでした。
歴代モデルから現行モデルまでの進化
初代Gクラスは、1979年に誕生しました。ゲレンデヴァーゲンから受け継いだ、ラダーフレームと無骨でスクエアなスタイルで、ミルスペックという印象です。
ボディは、2ドアのショートホイールベース版と、4ドアのロングホイールベース版の2タイプを用意。2.3L 直列4気筒エンジンに、駆動方式はドライバーが任意で2WDと4WDを切り替えるパートタイム4WD方式を採用していました。この初代モデルは、後に3.0L 直列5気筒ディーゼルエンジンがラインナップに追加されることになります。
1989年に2代目(W463型)へと進化。ボディにオーバーフェンダーとサイドステップが備えられたことや、乗用車向けのモダンなインテリアとしたこと、そして駆動方式にフルタイム4WDを採用したことがポイントです。
そのいっぽうで、四角いフォルムに丸目のヘッドライトなど、ボディの無骨さはゲレンデヴァーゲンのころから変わることなく継承されています。このモデルチェンジはGクラスが人気となる大きなきっかけとなりました。
その後も幾度となくマイナーチェンジを繰り返し、変わらぬ見た目とはうらはらに、室内の意匠やダッシュボードまわりのデザインと、年々性能を向上するパワーユニットなど、無骨なエクステリアとモダンな中身のギャップも魅力となっていました。
2018年にはフルモデルチェンジに匹敵するほどの大幅アップデートを行い、モデルコードもW463型に変わりました。ボディサイズは、従来モデルから全長(+53mm)、全幅(+64mm)をそれぞれ拡大した、全長4,815mm×全幅1,931mm×全高1,975mm。それでいて、高張力/超高張力スチールおよびアルミニウム素材の採用により約170kgの軽量化を実現しました。
エンジンは、クリーンディーゼルターボの3.0L 直列6気筒と、4.0L V型8気筒ツインターボ。トランスミッションは7速から9速ATへと変更。フルタイム4WDと、フロント/センター/リアの3つのデフロック機構によって、ハードな地形をものともしないオフロード性能を備えています。
またインテリアにはメルセデスならではの上級素材を採用するとともに、レーダーセーフティパッケージを標準装備するなど、先進安全システムを中心に進化しました。
約40年という長い間、変わらぬコンセプトで生産が続けられてきたGクラス。インテリアや機能面では、度重なるマイナーチェンジによって、つねにメルセデスの新しいシステムを取り入れてきたことも、人気の要因です。特にインテリアは、新しいモデルほど豪華になって、無骨なエクステリアとのギャップが大きくなっているようです。そんなところも、Gクラスの魅力となっているのです。