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輸入車メーカーが動物をメーカーロゴに採用する理由

 

日本の自動車メーカーの多くはメーカーロゴに、社名を入れていたり、社名の一部をモチーフにして使っていますが、輸入車メーカーのメーカーロゴやエンブレムに動物が使われていることが多いです。なぜ、動物のモチーフが使われているのか、ご存じでしょうか。

 

 

 

エンブレムに動物が使われているメーカー

 

動物がモチーフになっている主要メーカーがこちらです。

 

ポルシェ

ドイツを代表するスポーツカーメーカー。エンブレムは「跳ね馬」です。

 

ジャガー

イギリスのメーカー。その名の通り、エンブレムには跳躍するジャガーを横から見た姿や咆哮する頭部がエンブレムとして使われています。

 

ヴィーズマン

ドイツのスポーツカーメーカー。エンブレムには、「ヤモリ」が使われています。

 

プジョー

フランスのメーカー。「ライオン」をモチーフにしています。

 

アストンマーティン

イギリスのスポーツカーメーカー。エンブレムは、古代エジプトで神格化されていた甲虫、「スカラベ」をモチーフにしています。

ランボルギーニ

イタリアのスポーツカーブランド。エンブレムには「牛」が使われています。

 

アルファロメオ

イタリアのメーカー。「蛇」がモチーフとなっています。

 

フェラーリ

イタリアを代表するスポーツカーメーカー。躍動感あふれる「跳ね馬」がロゴとなっています。

 

アバルト

イタリアのメーカー。「サソリ」がエンブレムです。

 

 

ダッジ

アメリカのメーカー。ピックアップなどで有名なメーカーですが、エンブレムは「雄羊」です。

 

 

フォード・マスタング

アメリカのスポーツカー。エンブレムは「疾走する馬」です。

 

ご覧の通り、これだけ多くの海外メーカーが使っています。なぜその動物を使っているのでしょうか?

 

 

 

なぜその動物を使っている?

 

ロゴの由来は、各社異なっているものの、いくつかの共通点が見られます。

 

(1)その動物の特徴を自社の車に投影している

 

「ヴィーズマン」のヤモリは、路面にしっかり張り付いて走る車に、壁面に吸着してよじ登るヤモリの姿を重ねたものだそうです。「ジャガー」は、ジャガーの躍動感やしなやかなスマートさ、スピード感を表現しています。「アストンマーティン」のロゴは、太陽神の象徴と言われたスカラベが羽を広げた姿で、神聖さのイメージがあります。「ダッジ」の雄羊は、優れた信頼性をイメージしたもの。このように、その動物の特徴を自社の理念として、思いを込めてエンブレムやロゴにしているのです。

 

(2)歴史的な由来がある

 

「フェラーリ」のロゴは、まだフェラーリがなかった第一次世界大戦に遡ります。イタリア空軍の撃墜王と呼ばれた、フランチェスコ・バラッカが愛機につけていた跳ねる馬のモチーフが、彼が中隊の指揮官になった時に部隊マークとして使われるようになりました。戦後、フェラーリの創始者であるエンツォ・フェラーリの活躍を称えて贈られたこのマークが、フェラーリ設立とともに公式ロゴとして採用されました。

 

「ポルシェ」の跳ね馬は、ポルシェの本拠地があるシュトゥットガルト市(シュトゥットは馬、ガルトは庭)の紋章で、ポルシェのロゴにある羽のような模様は当市があるバーデン・ヴュルテンベルク州の紋章の鹿の角となっています。廃業してしまいましたが、同じドイツのメーカー「アルテガ」のロゴにも、本拠地があったデルブリュックの町の紋章にある守り神を意味する黒犬が使われていました。

 

「アルファロメオ」のエンブレムも、発祥の地であるミラノ市の紋章にある大蛇が使われています。

 

(3)会社や創立者に由来している

「プジョー」は、自動車を製造する以前、のこぎりなどを生産する鋼材工場でした。ライオンの体躯のようなしなやかさをもち、ライオンの歯のような鋸刃といった意味から、ライオンのモチーフが使われています。「ランボルギーニ」の牛をモチーフとしたエンブレムは、創始者であったフェルッチオ・ランボルギーニが牡牛座であったから、というのが通説になっていますが、ランボルギーニが、元々はトラクターメーカーで、猛牛のように力強いという意味もある、という説もあります。

 

 

ブランドを象徴するロゴ・エンブレムには、その会社の理念や歴史が込められています。それぞれに深い意味があるのを知ると、さらに愛着がわくのではないでしょうか。