世界のクルマをもっと知る

英国の雄「ベントレー」その100年の歴史を振り返る

 

2019年は、英国の高級自動車メーカー、ベントレーの創業100周年にあたります。 ベントレーは歴史あるグランドツーリングカーを作るメーカーとして世界的に知られていますが、それほど頻繁に見かけるクルマではありませんから、その歴史やモデルの特徴などは意外と知られていないようです。

そこで今回は、ベントレーの100年の歴史を振り返り、世界のセレブが注目するモデルの特徴をご紹介します。

 

 

 

■ベントレー100周年の歴史


 

子供の頃から機械に興味があり、エンジニアになることを目指していたウォルター・オーウェン・ベントレー(以下W.O.)は、16歳で学校を卒業したのち、グレートノーザン鉄道で働き始めましたが、自動車に関心を持つようになった彼は、1912年に兄とともにクルマの輸入ビジネスを行う会社に転職しました。

 

 

・1919年ベントレー モーターズ設立

その会社のオフィスでW.O.が目にしたのは、アルミ製のペーパーウェイトでした。軽量素材であるアルミニウムをエンジンのピストンに使用できれば、高性能なクルマを作れるのではないか。そう考えた彼は研究を重ね、アルミ88%、銅12%という配合にたどりつきました。

この新しい合金で造られたピストンは非常に高性能で、第一次世界大戦中の航空機技術に応用され、成功を収めました。この成功を受けて、W.O.は1919年に自動車メーカー、ベントレー モーターズ(以下ベントレー)を設立したのです。

 

1921年9月、ベントレーの最初の生産車が納車されました。このモデルはベントレーの代名詞とも言える、特大のラジエーター・ケーシングを持ち、フライングBバッジで飾られたものでした。エンジニアであったW.O.はレーシングエンジンの開発に夢中になり、彼の作ったマシンはイギリスのブルックランズ、アメリカのインディアナポリス、マン島で活躍しました。

1923年に始まったル・マン24時間レースにベントレーが参戦し、そこでドライバーを務めた「ベントレー・ボーイズ」は、5回にわたって優勝するという偉業を成し遂げました。

 

 

「速い車、良い車、クラス最高の車」を作ってきたベントレー

1920年代後半の世界恐慌の影響による経営不振でロールス・ロイスに買収されたことにはじまり、1998年にはフォルクスワーゲングループに買収されるなど、それまで数々の買収や移籍があり、会社経営として決して困難がなかったわけではありませんでした。 しかし、ベントレーのクルマ造りの目標は創業時から現在に至るまで、「速い車、良い車、クラス最高の車」を作るというシンプルなものを掲げてきており、数々のレースで実績を積み、その技術力を磨き上げてきたベントレーが世に送り出すモデルは、まさにこの目標を目指してきたものとなりました。

ベントレーの最新モデルには、ベントレーを代表するラグジュアリークーペのコンチネンタルGTや、4ドアのラグジュアリーサルーンのフライングスパー、高級SUVのベンテイガというラインアップがあり、それぞれのモデルからは、ベントレーのアイデンティティと歴史に裏打ちされた威厳、英国で培われた気品と上品な遊び心が見事に調和した、極上のエッセンスを感じ取ることができます。

ベントレー創立100周年を迎える2019年には、登場するすべてのモデルに100周年を記念する特別仕様「センテナリー(Centenary)」を用意されています。 この特別仕様の装備品は、1920年代に活躍したヴィンテージ・ベントレーに見られる繊細な金属加工にインスパイアされた独特のカラー「センテナリー・ゴールド」をメインカラーに据え、様々な装飾やデザインで彩られたものとなります。

 

※写真はベントレー フライングスパー ベースグレード

 

 

 

 

■真のベントレーと謳う、ベンテイガの魅力とは?


 

ベンテイガは2015年に発表され、2016年からデリバリーが開始されたベントレーのSUVです。 スポーティなグランドツーリングカーや高級ラグジュアリーカーのイメージが強いベントレーからSUVがリリースされると聞いたときには、時代も変わったものだと感じましたが、ベンテイガのスタイルを見るとその個性的なデザインに驚かされました。

コンチネンタルGTやフライングスパーに代表されるような大型のグリルや、丸型のヘッドライト、「B」を形どったウイングベントなど、ベントレーのデザインアイコンを取り入れつつ、スクエアでシャープな、迫力のあるエクステリア(外観)や、高められた車高にバンパー下部のスキッドプレートといった、SUVの力強さがバランス良く表現されています。

 

インテリア(内装)に目をやると、ドアトリムやコンソールには、手作業で仕上げられたウッドやレザーのコンビネーションパネルが散りばめられ、熟練した職人の技を感じることができます。それはただ豪華であるというだけでなく、素材の持つ豊かな力を感じさせる仕立ての良さや、英国生まれの気品あふれる優雅さなど、贅を知り尽くした大人が心ゆくまで楽しめる、至高の空間を作り出しています。

ハイパフォーマンスモデルのベンテイガ スピードに搭載されるエンジンは6.0L W12ツインターボで、最高出力は467kW(635PS)/5,000〜5,750rpm、最大トルクは900Nm/1,500rpm〜5,000rpm、常時全輪駆動でトランスミッションは8速ATとなっており、0-100km/h加速は3.9秒、最高速度は306km/hという、まさにクラストップレベルの性能を誇ります。

他のスーパーカーメーカーや高級自動車メーカーもSUVを販売していますが、ベンテイガは他のモデルとは比較しがたい、異彩を放ったモデルであり、そのセンスと圧倒的なパフォーマンスは世界のセレブを魅了しています。

 

 

エンジニアであったW.O.のクルマ作りにかける情熱とクラフトマンシップは、100年経った今でも最新モデルに見ることができます。さて、次の100年ではどんなモデルが生み出されるのでしょうか?