ポルシェのピュアスポーツカーケイマンの歴史
ポルシェ ケイマンは、ボクスターのクーペモデルとして2005年にデビューしました。
その後、約15年の歴史のなかでラインアップを拡充し、いまではポルシェのスポーツカーの1モデルに成長。
コストパフォーマンスでは911よりも上との呼び声も高い、ケイマンの生い立ちと歴史を振り返って行きます。
■ボクスターよりも硬派なモデルとして登場
ミドシップオープンカー、ボクスターの成功を受け、エントリーモデルの拡充を図って2005年に登場したケイマンは、前年にデビューした2代目ボクスター(タイプ987)をベースに開発された固定ルーフを持つクーペです。
ケイマンを投入するにあたり、ポルシェはボクスターよりもスパルタンなイメージとするため、当初は上級グレードの”S”のみの設定。
しかもボクスターSは、3.2L 水平対向6気筒を搭載していたのに対し、ケイマンSは排気量を3.4Lに拡大し、バリオカムプラスを採用した高出力エンジンとなっていたのです。
ちなみに、当時のリリースでは「911カレラとボクスターSの間に立つモデル」とアナウンスされたケイマンは、小柄で優れた運動能力を持つ素早いハンターであるケイマンワニから頂いたものです。
■確実な進化を遂げていった初代タイプ987
ケイマンSに遅れること約1年。
2006年9月のパリモーターショーで、ベーシックなケイマンが発表されました。
搭載されたパワーユニットは、同タイミングでマイナーチェンジを受けた2代目ボクスターと共通の、バリオカムプラスを採用した2.7L水平対向6気筒です。
2009年には初のマイナーチェンジを実施し、ケイマンは排気量を2.9Lへ拡大し、ケイマンSは排気量をそのままに直噴とすることで、それぞれ出力を向上していました。
またATは、5速のティプトロニックSからデュアルクラッチの7速PDKへと進化、2ペダルモデルのスポーツ性が高まりました。
タイプ987ケイマンには、911GT3をイメージしたレーシーな特別仕様車ケイマンSスポーツやケイマンSポルシェデザインエディションに加え、後期型には軽量ボディに最高出力243kW(330PS)の3.4Lエンジンを積んだケイマンRなども限定で用意されました。
■スパルタンモデルを増やした2代目タイプ981
2代目は2013年登場で、当初のカタログモデルは先代と同じくケイマンとケイマンSの2モデルでした。
このフルモデルチェンジにより、軽量化とよりワイド&ローになったボディで走行性能を高めつつも、環境性能面も向上しています。
この3代目の注目は、2014年4月に発表されたケイマン GTSと、2015年2月に発表されたケイマン GT4の存在です。
いずれも、ケイマンSを上回るハイパフォーマンスバージョンで、GTSは250kW(340PS)のパワーユニットと専用の足まわり、GT4は911カレラSと同じ283kW(385PS)の3.8Lユニットにサーキット走行を想定した足まわり、911GT3のノウハウが生かされたエアロパーツなどで完成されていました。
このケイマン GT4は、ニュルブルクリンクで7分40秒という、このクラスとしては驚異的なタイムを記録しました。
■4気筒へパワーユニットを変えた3代目718ケイマン
2016年4月、4代目718ボクスターより約4ヶ月遅れで日本国内での受注が開始された3代目718ケイマン。
ボクスターと同じく、パワーユニットが水平対向6気筒からダウンサイジングターボの水平対向4気筒に変更されたことが最大のトピックです。
水平対向6気筒を惜しむ声も聞かれましたが、最高出力はケイマンの2.0Lで220kW(300PS)、ケイマンSの2.5Lでは257kW(350PS)となったことにくわえ、エンジンの軽量化によりハンドリングが向上し、運動性能に磨きがかかりました。
718ケイマンには、タイプ987と同様にGTSと、GT4が用意されます。
なかでも2019年6月に追加されたGT4は、309KW(420PS)を発生する4.0L水平対向6気筒搭載を搭載。
6速MTと組み合わせられ、0-100km/h加速4.4秒、最高速度304km/hというスペックを獲得しました。
このGT4のデチューン版として、GTS 4.0が用意されます。
■ポルシェのピュアスポーツ
兄弟関係にあるケイマンとボクスターですが、ピュアに走りを追求しているのはボディ剛性に優れるクーペボディのケイマンです。
その証拠にケイマンのスペシャルモデルは、走りの性能に特化した性能追求が行われています。
ケイマンの”2シーター、クローズドボディ、ミドシップ”という特徴には、クルマのキャラクターが明確にあらわれているのです。