イカリングの誕生とデイタイム・ランニング・ライトについて解説!
“イカリング”の発祥はBMWから? 「イカリング」とも言われるリング形状のスモールライト、このスモールライトの発祥はBMWから始まっており、後に多くのヨーロッパ車が採用するデイタイム・ランニング・ライトへと進化していきます。
イカリングの誕生とデイタイム・ランニング・ライトについて紹介していきましょう。
■正式名称はコロナリング
日本では「イカリング」と呼ばれることが多いですが、BMWでの正式名称は「コロナリング」と呼ばれます。
丸い4つのリングが特徴的で、遠くから迫ってきてもハッキリと認識できるその目つきは、”丸目4灯”のフロントフェイスが伝統的であるBMWのイメージを現代的に表現しています。
BMWの伝統的なキドニーグリルと合わさることで、どんなモデルでも、一目見るだけでBMWのモデルであるということがわかります。
■コロナリングからデイタイム・ランニング・ライトへ
この特徴的なヘッドライトは4代目5シリーズの2000年のマイナーチェンジで初めて採用されました。
当時は、現在のようにLEDは使われておらず、日中に自車の存在を示すために点灯させる「デイタイム・ランニング・ライト」という考えはあまり広まっていない時代でした。
そのためコロナリングは一般的なスモールライトという認識でした。
以降数々のBMWのニューモデルにコロナリングは採用されていき、そのラインアップを増やしていきます。
まさにブランドイメージを象徴する”顔”となるデザインへとなっていきました。
2005年にはコロナリングにデイタイム・ランニング・ライトとしての機能を持たせます。(日本市場は異なる)
さらに、2009年にはコロナリングをLED化させ、より明るく進化しつつも、消費電力削減を実現します。
そして2011年、ここでヨーロッパの道路事情に大きな転機が訪れます。
デイライトが義務化されたのです。
これによりBMWはもちろんヨーロッパの様々なメーカーでデイタイム・ランニング・ライトは一般的なものから必須なものへと変わりました。
そして同年、BMWはデイタイム・ランニング・ライトに立体感な特徴を与えます。これにより他車からの視認性がより高くなりました。
そして2017年、ついに日本市場でもデイタイム・ランニング・ライトが全車標準装備に、これは2016年の法改正を受けての対応でした。
これにより夜間だけでなく、日中でも遠くからでもBMWの存在を認識できるようになりました。
■存在感を示す理由はアウトバーンにある?
今やBMWのブランドイメージの1つとなっているコロナリング、先に述べたように「遠くの他車に自車の存在をアピールする」というのは、例え夜間でなくても必要なことです。
特にBMWの生まれた国であるドイツには、速度無制限で有名な自動車専用道路アウトバーンが存在します。
走行上のマナーが徹底されているアウトバーンでは、後続から速い車両が近づいてきたら進路を譲らなければなりません。
日本でもその点は同じですが、アウトバーンではそのマナーが厳密に守られています。また、速度域も格段に高いのも特徴です。
そのような条件下で速い車両が、先行する車両にアピールすることは安全に繋がります。
特にコロナリングのような灯火ラインがしっかりとしたヘッドライトならば、バックミラーからも認識しやすく「BMWが来た!」と先行する車両も気づくはずです。
コロナリング登場以降アウディやメルセデス・ベンツなどのドイツメーカーでは、灯火ラインがしっかりしたヘッドライトの採用が進みました。
また、それと共にデイタイム・ランニング・ライトの採用や義務化も進みました。
実際デイタイム・ランニング・ライトを採用した国や団体では交通事故が減少したと報告されており、安全性向上に効果をもたらしています。
■そしてコロナリングからヘキサゴンライトへ
BMWの顔を印象付けていたコロナリングも近年は形を変え、6角形をモチーフにしたヘキサゴンライトへと移り変わっています。
この流れは2017年に登場した7代目5シリーズからです。コロナリングの時も5シリーズだったことを考えると、BMWが投入する新たな取り組みは、中核を担う伝統のサルーンから採用していく、という考えであるのが読み取れます。
こうなるとBMWの顔つきが大きく変化してしまったという印象を受けるかも知れません。
しかし巧みなデザイン処理により、以前のコロナリングの面影を残していて、新しい印象を与えつつもBMWらしさ溢れる目つきに仕上がっています。
デザイン上の単なるアイコンに思われがちなコロナリングも、年代と共にしっかりその機能を進化させてきました。
新世代BMWに採用が広がりつつあるヘキサゴンライトはどのような進化を遂げていくのでしょうか?
BMWの進化で楽しみなポイントの1つと言えるでしょう。