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美しくも実用的、アウディ スポーツバックに乗ろうと思う

 

5ドアハッチバックと聞いても、ピンとこない方もいるでしょう。

 

4ドアセダンのリアに、通常のトランクではなくハッチゲートを備えたモデルのことで、ノッチバックとも呼ばれ、セダンの実用性とワゴンの利便性を兼ね備えたモデル、それが5ドアハッチバックです。

 

ところが日本では、これまで各メーカーからいくつもの5ドアハッチバックが発売されてきましたが、ほとんどの場合不人気車種に認定されてしまうほど、定着しないジャンルでもあります。

 

しかし現在の5ドアハッチバックは、クーペのようにスタイリッシュなデザインでありながら、広い荷室を持つ使い勝手の良いモデルであり、ヨーロッパでは人気カテゴリーとなっています。

 

今回はそんな5ドアハッチバックの代表的なモデルである、アウディA5スポーツバックとA7スポーツバックをピックアップし、その魅力に迫ります。

 

 

■クーペのようにスタイリッシュ。なのにワゴンのように利便性が高いスポーツバック


 

 

冒頭では“5ドアハッチバック”と紹介しましたが、アウディではスポーツバックを“4ドアクーペ”と呼んでいます。

 

同じジャンルのモデルをラインアップするメルセデス CLSもそうですが、アウディは大きなリアガラスを含めて持ち上がる大開口のハッチゲートを備えており、使い勝手にもこだわっているのが特徴です。

 

つまりアウディのスポーツバックシリーズは、クーペのように低く構えたスタイリングでありながら、セダンのように後部の居住性も確保、そしてステーションワゴンのような実用性も兼ね備えている、という欲張りなモデルなのです。

 

そのなかのA5は中核モデル、A4のクーペ版、そしてA7はフラッグシップモデル、A8の弟分という位置づけで、ラインアップ中あえてクーペというスタイリングが与えられることで、セダンとはっきり棲み分けがなされています。

 

しかしただ単にセダンの後半部分だけをハッチバックに入れ替えたかのようなデザインではないのが、スポーツバックの秀逸なところです。

 

フロントセクションはセダンのデザインテイストが感じられますが、リアセクションはルーフトップからなだらかに下り、リアエンドまで伸びやかな傾斜を描いています。

 

こうしたフォルムは“尻下がり”になるので、日本では人気のないデザインとされることが多いのですが、アウディのスポーツバックはエレガントでスマートに仕上がっており、セダンにはない魅力を逆に引き出しています。

 

 

フロントセクションとのバランスも良く、全体がきちんとデザインされていることがよく分かります。

 

ちなみにA3やA1にもスポーツバックはありますが、これらはサイズ的にコンパクトハッチバックというジャンルになりますので、クーペとはやや異なるイメージになるでしょう。

 

 

■ただの派生モデルじゃないA5スポーツバック


 

初代A5がデビューした2007年当時は、2ドアクーペのみがラインアップされていました。

 

その派生モデルというかたちで登場したのがA5スポーツバックで、日本では2010年1月の発売です。

 

 

ボディサイズは、全長4,710mm×全幅1,855mm×全高1,390mm。

 

後席にもドアはありますが、ベースが2ドアクーペなので乗車定員は4名です。

 

しかし大開口リアゲートが備えられているため、ステーションワゴンのような広々とした荷室スペースが特徴となっています。

 

 

2.0L 直4DOHCガソリンターボエンジンは、最高出力は155kW(211ps)/4,300-6,000rpm、最大トルクは350Nm(35.7kgm)/1,500-4,200rpmというスペック。

 

トランスミッションは7速AT、駆動方式はアウディ独自のクワトロシステムによるフルタイム4WDのみで、パワフルかつあらゆる路面状況での安定したドライビングが楽しめる仕様となっていました。

 

2017年4月には2代目が登場。

 

安全性能や効率を大幅にアップした2代目A5スポーツバックは、新しく設定されたFF(前輪駆動)モデルに新開発の2.0TFSIエンジンを搭載。

 

上級モデル2.0TFSIクワトロスポーツには、高性能版の2.0 TFSIエンジンが搭載されました。

 

 

■ハイパフォーマンスモデルのS5スポーツバックも登場


 

S5スポーツバックは、A5スポーツバックのハイパフォーマンスモデルとして2012年1月に登場しました。

 

搭載されるエンジンは3.0L V6DOHCガソリンスーパーチャージャーで、最高出力は245kW(333ps)/5,500-6,500rpm、最大トルクは440Nm(44.9kgm)/2,900-5,300rpm、トランスミッションは7速Sトロニック、駆動方式はもちろんクワトロシステムのフルタイム4WDです。

 

電動パワーステアリング、スポーツディファレンシャルを標準装備とし、シャシーの繊細なチューニングによって高い走行性能を思う存分楽しむことができます。

 

こちらも2017年4月に2代目が登場し、エンジンは3.0L V6DOHCターボとなり、最高出力260kW(354ps)/5400−6400rpm、最大トルク500Nm/1370−4500rpmをそれぞれ発生。

 

トランスミッションは8速ティプトロニックへと進化しています。

 

 

■A8とは違ったプレステージ性で強烈なオーラを放つA7スポーツバック


 

 

アウディのフラッグシップモデル、A8の次に位置するモデルとして2011年5月に登場したA7スポーツバック。

 

そのエレガントなデザインとプレステージ性は強烈なオーラを放ちます。

 

スポーツクーペのように低く構えたスタイリングと短いオーバーハングは、スポーティさとエレガントの究極の融合とも言うべきデザインで、それでありながら電動式リアゲートを開けると最大1,390Lもの広大な荷室容量が出現するという、実用性の面でもスキのない作り込みとパッケージ性を誇ります。

 

ボディサイズは、全長4,990mm×全幅1,910mm×全高1,430mmという堂々たるもので、そこに搭載されるエンジンは最高出力220kW(300ps)/5,250-6,500rpm、最大トルク440Nm(44.9kgm)/2,900-4,500rpmを発揮する3.0L V6DOHCガソリンスーパーチャージャー。

 

組み合わされるトランスミッションは7速AT、駆動はクワトロシステムです。

 

2015年4月に実施されたマイナーチェンジで後席シートを変更し4人乗車から5人乗車となりました。

 

また新たに2.0L 直4DOHCターボエンジン搭載車が設定されています。

 

 

2018年9月に2代目が登場し、3.0L V6DOHCターボエンジン+48Vのマイルドハイブリッドシステムというパワーユニットが搭載されています。

 

 

■スポーティでエレガント!S7スポーツバック


 

S7スポーツバックは、A7スポーツバックのパワートレインを強化したハイパフォーマンス版として、2012年8月に発売されました。

 

搭載されるエンジンは、4.0L V8DOHCガソリンターボで、最高出力309kW(420ps)/5,500-6,400rpm、最大トルク550Nm(56.1kgm)/1,400-5,200rpm。

 

トランスミッションは7速のSトロニックで、駆動はフルタイム4WDのクワトロシステムのみです。

 

20インチアルミホイールのほか、室内には専用Sスポーツシート、アクティブノイズキャンセレーション、BOSEサラウンドサウンドシステムなどを標準装備とし、高い運動性能とコンフォート性能を兼ね備えています。

 

2代目S7は2020年9月に発売。

 

こちらには2.9L V6DOHCガソリンターボ+モーターというハイブリッドユニットが搭載されています。

 

クーペのようなスタイリングでありながら、4ドアでフォーマルなシーンでも使えるA5スポーツバックとA7スポーツバック。

 

デザイン優先のスタイリングながら、大開口のリアゲートが非常に便利で、日常のあらゆるシーンやロングドライブで重宝します。

 

エレガントでセンスのいいデザインを楽しみたい、しかしセダンやステーションワゴンの利便性を犠牲にしたくないという方に乗っていただきたいのが、アウディスポーツバックです。

 

プレミアムメーカーならではの高い完成度は、きっとヤミツキになることでしょう。

 

 

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