【チューンアップモデル対決】ミニ JCW VS アバルト 595
ともにチューニングカー・メーカーであるJCWとアバルトは、ホットハッチを生み出すテクニックにおいて、ライバルと言える存在です。
そんな両社は愛くるしいフォルムのミニと500に、それぞれどのようなチューンを施し変貌させているのか、チューンアップモデルであるミニ JCWとアバルト 595の魅力や違いを紹介しましょう。
■JCWとアバルト概要|支持絶大!伝説のビッグネームが復活
JCWことJohn Cooper Works(ジョンクーパー ワークス)は、ミニクーパーの名の由来となった伝説の名チューナー・ジョンクーパーの息子によって、2002年に設立され、おもにBMW MINI(ミニ)のハイチューンモデルを制作しています。
JCWは、当初ミニへのチューニング・キット開発・販売を行っていましたが、現在では、最上級グレードとしてカタログモデル採用を受けるまでに至っています。
クラシックミニにおいて、ジョンクーパーがチューンを施し、別格のミニクーパーを作り出したように、現在のミニにおいて、ミニ JCWはまさに別格のエボリューション・モデルだと言っても過言ではありません。
一方、アバルトは、数々のコンパクト・スポーツを世に送り出すメーカーとして世界的に知られ、初代500をチューンアップした往年のアバルト 595は、今から50年以上前にデビューしています。
見かけはほぼ500のままでありながら、最高速は120km/hを叩き出す初代595は、一躍エンスージアストのハートを鷲掴みにしました。
そんなアバルト・ブランドは、2007年にフィアット傘下で復活し、2013年には500をベースとしたハイチューンモデル・新生アバルト 595が誕生しています。
■ボディサイズ・デザイン|レースワークスならではのアクセントが随所に
ミニ JCW、アバルト 595のデザインでの共通点は、両車ともベース車両のコンセプトは崩さないギリギリを確保しながらも、よくよく見れば随所にレースワークスならではのこだわりが感じられるのが特長です。
ミニ JCWのエクステリア(外装)は、フロントグリル中央に引かれたレッドラインが精悍な印象を与え、大型のエアインテークをはじめエアロダイナミックキット、サイドスカート、ディフューザー一体型リアバンパーが最適なエアフローを実現しています。
また、サイドスカットルにはアクセントカラーのレッドがあしらわれ、ブレンボ製ブレーキキャリパー、ユニオンジャックに輝くリアライトは、勝利した歴戦レースを彷彿とさせます。
インテリア(内装)は、ボディ同様差し色をレッドとし統一感を持たせ、インテリア・サーフェスにはピアノブラックを使用し上質なスポーティさを演出、シートはカーボンブラックの人工皮革とレザーで構成されたスポーツシートが採用されました。
ボディサイズは、タイプにより相違があり、3ドアタイプが、全長3,880mm×全幅1,725mm×全高1,415~1,430mm、ホイールベースは2,495mm。
エステート(ワゴン)タイプが、全長4,275mm×全幅1,800mm×全高1,470mm、ホイールベースは2,670mm。
SUVタイプが、全長4,315mm×全幅1,820mm×全高1,595mm、ホイールベースは2,670mmとしています。
アバルト 595のエクステリアは、フロントバンパーの大型エアインテークが目を引き、その内部には、ワンメイクレース仕様車アセットコルサをインスパイアし、ABARTH(アバルト)の浮き文字があしらわれています。
ブレンボ製4ポッドブレーキキャリパー、サイドスカート、ディフューザー一体型バンパー、グレードによる4本出しマフラーは、戦うアバルトのスピリットが伝わる仕上がりです。
インテリア(内装)は、いたってシンプルであるものの、単眼のデジタルメーター、ステアリングホイール、スポーツペダル、アルミキックプレートにスポーツシートと、ピュアドライブを十分に堪能できる仕様となりました。
ボディサイズは、全車で、全長3,660mm×全幅1,625mm×全高1,505mm、ホイールベースは2,300mmとなり、ミニ JCWよりひと回り小さいサイズ感としています。
■走行性能|これぞホットハッチ!受け継いだレースの血統
ミニ JCW、アバルト 595の走行性能では、両車ともそのコンパクトさを生かし、俊敏で加速力のある、まさにホットハッチと呼べる仕上がりとしているのが特長です。
ミニ JCWのパワートレインには、大きく分けて2種類が用意され、3ドアタイプがエンジンに2.0L 直列4気筒ツインパワーターボのB48A20Bを搭載し、トランスミッションには電子制御式8速AT、駆動方式にはFFを採用。
ワゴンとSUVタイプには、エンジンに2.0L 直列4気筒ツインパワーターボのB48A20Eを搭載し、トランスミッションには電子制御式8速AT、駆動方式には4WDが採用されています。
また、サスペンションは、ニュルブルクリンクでのテストを経たJCW専用の減衰力可変式スポーツサスペンションを設定。
4WD採用車では、ALL4システムにおいて、フロントアクスルに機械式ディファレンシャルロックを採用し、あらゆる路面状況でもレスポンス性に優れたトラクションを発揮します。
ミニ JCW 3ドアタイプの最高出力は、170kW(231PS)/5,200rpm、最大トルクは、320Nm(32.6kgm)/1,450~4,800rpm、0-100km/h加速はクロースドトップで6.1秒、カブリオレで6.5秒としています。
ワゴン・SUVタイプの最高出力は、225kW(306PS)/5,000rpm、最大トルクは、450Nm(45.9kgm)/1,750~4,500rpm、0-100km/h加速はワゴンタイプで4.9秒、SUVタイプで5.1秒と、抜群の加速力を発揮します。
一方、アバルト 595のパワートレインは、大きく分けて3種類が用意され、駆動方式は全車でFFが採用されます。
ベースグレードでは、エンジンに1.4L 直列4気筒インタークーラー付きターボ312B4を搭載、トランスミッションは5速MTを採用。
ツーリズモシリーズでは、エンジンに1.4L直列4気筒インタークーラー付きターボ312B3を搭載、トランスミッションはATモード付き5速シーケンシャル(2ペダル式MT)が採用されます。
トップグレードのコンペティツィオーネでは、エンジンに1.4L直列4気筒インタークーラー付きターボ312A3を搭載、トランスミッションは5速MT/ATモード付き5速シーケンシャルが選択可能となりました。
サスペンションでは、ベースグレードを除き、ハイパフォーマンスコイルスプリングと、ダンパーにKONI製機械式可変FSDを採用することで、高速でも安定したハンドリングを実現しています。
ベースグレードの最高出力は107kW(145PS)/5,500rpm、最大トルクは、180Nm(18.4kgm)/2,000rpm、0-100km/h加速は7.8秒。
ツーリズモシリーズの最高出力は、121kW(165PS)/5,500rpm、最大トルクは、210Nm(21.4kgm)/2,000rpm、0-100km/h加速は7.3秒としています。
コンペティツィオーネの最高出力は、132kW(180PS)/5,500rpm、最大トルクは、230Nm(23.5kgm)/2,000rpm、0-100km/h加速は6.7秒に達しました。
■こんな装備も搭載!ワクワクする走行フィール
ミニ JCW、アバルト 595には、路面や好みに応じた走行モード選択機能が備わっています。
なかでも、SPORTモードは、自動でトルク値が上がるいわゆるオーバーブースト機能となるため、躍動感のある走行フィールを味わうことができるでしょう。
また、両車ともサーキットを彷彿させるエキゾーストノート・システムを取り入れているのも特筆すべき点です。
ミニ JCWは、JCW専用のスポーツ・エキゾースト・システムを採用、アバルト 595のツーリズモシリーズとコンペティツィオーネにも、高性能エキゾースト・システムのレコードモンツァが採用され、個性あるサウンドを奏でます。
■ミニ JCW vs アバルト 595のラインアップ
ミニ JCWとアバルト 595、両車のグレード・ラインアップと新車時販売価格を紹介しましょう。
<ミニ JCW>
・THE NEW MINI JCW(3ドア・クロースドトップ) 新車価格 482万円
・THE NEW MINI JCW CONVARTIBLE(3ドア・カブリオレ) 新車価格 538万円
・THE NEW MINI JCW CLUBMAN(ワゴン) 新車価格 571万円
・THE NEW MINI JCW CROSSOVER(SUV) 新車価格 609万円
<アバルト 595>
・595(ベースグレード) 新車価格 320万円
・595 TURISMO 新車価格 385万円
・595C TURISMO(カブリオレ) 新車価格 415万円
・595 COMPETIZIONE(トップグレード) 新車価格 404~421万円
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世界全体がEV車にシフトするなか、特に欧州車ではEV化の波がいち早く、チューンモデルに関しても次期型は、ピュアな内燃機関はなくなるというアナウンスも聞かれます。
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