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ポルシェ 718ボクスターとスパイダー、同じオープンカーだけどどう違う?

 

ポルシェのエントリーモデルとして人気の高い718シリーズ。

 

ミッドシップスポーツカーとしてケイマン、スパイダー、ボクスター、GT4など様々なラインアップが用意されています。

 

しかし、718ボクスターと718スパイダーはどちらもオープンモデルで、見た目ではあまり違いがないように見えますが一体どんな違いがあるのでしょうか。

 

 

■ポルシェのエントリーモデルとして根強い人気を獲得したボクスター


 

※画像は718ボクスターです。

 

ボクスターは1996年に登場したオープンモデルです。

 

水平対向エンジンを示すボクサーという言葉と、オープンモデルであるロードスターという言葉を合わせてボクスターと名付けられました。

 

911よりも価格が安いのですが、ポルシェの象徴でもある水平対向エンジンの搭載とミッドシップレイアウトによるピュアなスポーツカー性能が支持され、ポルシェのエントリーモデルとして人気を獲得しました。

 

現行型は2016年に発売された4代目(982型)で、先代まで搭載されていた6気筒NAエンジンではなく、4気筒+ターボのいわゆるダウンサイジングターボが採用されました。

 

名前もボクスターから、718ボクスターに変更されています。

 

 

■往年のレーシングカーをオマージュしたモデル、スパイダー


 

※画像は718スパイダーです。

 

ポルシェには、1953年のル・マン24時間でクラス優勝を果たした550スパイダーという往年のレーシングカーがあります。

 

このマシンのデビュー50周年を記念して2003年に限定販売されたのがボクスターS 550スパイダーエディションです。

 

これが、ボクスターシリーズに最初に登場したスパイダーです。

 

こちらはベースとなるボクスターSのエンジンをパワーアップし、サスペンションやブレーキのチューニングにより走りの性能を高めた高性能版でしたが、このモデルの登場により軽量オープンカー、高性能パワーユニットという550スパイダーを彷彿とさせるコンセプトが継承されるようになったのです。

 

2代目ボクスター(987型)にはカタログモデルとしてスパイダーが設定されるようになり、こちらは手動ソフトトップの採用やエアコンをオプション設定するといった手法で徹底的な軽量化が図られ、エンジンチューニングと合わせて高いパフォーマンスを持つモデルとなりました。

 

3代目ボクスター(981型)は、991型911カレラSと同じ3.8L 水平対向6気筒NAエンジンの搭載、ブレーキ、スタビライザーの強化、6速MTのみの設定、カーボン製フルバケットシートをオプション設定するなどスパルタンな仕様となりました。

 

では現行型の718スパイダーと718ボクスターにはどんな違いがあるのでしょうか。

 

 

■同じ排気量のエンジンを搭載したモデルもあり…どこが違うの?


 

※画像は718ボクスターです。

 

まず718ボクスターのラインアップとスペックを見てみましょう。

 

・718ボクスター:2.0L 水平対向4気筒ガソリンターボ、最高出力220kW(300PS)/6,500rpm、最大トルク380Nm(38.7kgm)/2,050〜4,500rpm

 

・718ボクスターT:エンジンスペックは上記と同じですが、走りの性能に特化した装備を施したモデル

 

・718ボクスターS:2.5L 水平対向4気筒ガソリンターボ、最高出力257kW(350PS)/6,500rpm、最大トルク420Nm(42.8kgm)/1,900〜4,500rpm

 

・718ボクスターGTS 4.0:水平対向6気筒NA、最高出力294kW(400PS)/7,000rpm、最大トルク430Nm(43.8kgm)/5,500rpm(PDK)

 

続いて718スパイダーのスペックを見てみましょう。

 

・718スパイダー:4.0L 水平対向6気筒NA、最高出力309kW(420PS)/7,600rpm、最大トルク430Nm(43.8kgm)/5,500rpm(PDK)

 

718スパイダーが登場したのは2019年6月で、ベーシックなボクスターの4気筒ターボではなく、水平対向6気筒NAが復活したことが話題となりました。

 

その後2020年1月に718ボクスターGTS 4.0が発表されスパイダーと同じ6気筒エンジンが搭載されましたが、上記のようにやや出力が抑えられたスペックとなっています。

 

そうすると718ボクスターGTS 4.0と718スパイダーでは基本的に同じエンジンで出力も15kW(20PS)しか変わりませんから、それほど違いがないのでは?とも思えます。

 

実際はどうなのでしょうか。

 

走行性能で比較するとやや違いがあります(比較はいずれもPDKの数値)。

 

・718ボクスターGTS 4.0:最高速度288km/h、0-100km/h加速4.0秒

・718スパイダー:最高速度300km/h、0-100km/h加速3.9秒

 

※画像は718ボクスターです。

 

スペック上ですが、718スパイダーの方が高性能版であることを示しています。

 

外観上の違いとしては、スパイダーにはフロントエプロンに冷却用の大型エアインテークやセンターエアアウトレット、スパイダーのロゴ入りフロントリップスポイラー、リアディフューザーなど走りの性能を意識したデザインになっています。

 

ボクスターはそれに比べるとやや控えめで、スパイダーの方がかなりスパルタンな印象です。

 

また他に大きな違いとして、ボクスターが電動でルーフトップを開閉できるのに対し、スパイダーは手動で操作を行うということです(厳密に言えば半電動式)。

 

これは軽量化に貢献するものではありますが、実際の数値はスパイダーの方が、わずかですが重量があります(GTS4.0の空車重量:1,510kg、スパイダーの空車重量:1,525kg)。

 

数値を抜きにして、軽量化のために手動にしているというところがスパイダーのステータスとも言える部分でしょう。

 

※画像は718ボクスターです。

 

718ボクスターは4気筒ガソリンターボが中心のラインアップでポルシェのエントリーモデルとして大きな役割を果たすモデルですから、ポルシェの世界観を気軽に味わってみたいという方におすすめしたいモデルです。

 

一方718スパイダーは往年のレーシングカーをイメージさせるボクスターの最上級バージョンですから、スパルタンなデザインと6気筒へのこだわりを持つ方におすすめしたいモデルです。

 

 

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