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オープンカーはシーズンオフが狙い目!? Z4と718ボクスターどっちを選ぼう?

 

真夏の海岸線、どこまでも澄み渡る空、風になびく髪は太陽できらきらと光り、目指すは真っ白な砂浜と青い海―。

 

といったイメージが抱かれがちなロマンの塊、オープンカー。筆者も憧れます。

 

しかし、日本におけるオープンカーの一番良いシーズンは秋~冬といわれています。

 

その理由は、夏の強い日差しと、ボディの進化にあります。

 

とくにボディの進化は、風の巻き込みを抑制する形状やウインドプロテクターの存在により、ルーフを開けた状態でも乗員のいる室内は冷たい空気や強風をシャットアウトする構造になっています。

 

 

そこに強力に効くエアコンはもちろん、シートヒーターなどの装備も充実させて、走っているあいだは爽快・快適に作ってあるのです。

 

もちろん外気温にさらされているのでそれなりの厚着をする必要こそありますが、柔らかい日差しの下でのクルージングは想像以上に過ごしやすい環境になっています。

 

そんな現代的オープンカーのなかから、人気のBMW Z4とポルシェ718ボクスターを比較してみましょう。

 

 

■BMWが放った渾身のオープンスポーツ、Z4


 

 

Z4の初代モデル(E85)がデビューしたのは2003年のことでした。

 

それまで販売していたZ3とのスイッチなので後継車種と思われがちですが、じつは開発自体はZ3と並行して行われており、本来はZ3の上位機種という位置付けでした。

 

ロングノーズ・ショートデッキの美しいボディラインと低く構えたスタイルは、往年の名車507から受け継いだもので、登場してすぐに人気となりました。

 

そして2019年にデビューした現行モデルが3代目となるG29型Z4です。

 

日本でも話題となったトヨタとの共同開発により、トヨタ GRスープラとプラットフォームや骨格、エンジン、足回りなどが共通。

 

ただし、サスペンションのセットアップ等はGRスープラと差別化が図られており、また各部のラグジュアリーな装飾などで高級感のある仕上がりとされています。

 

ルーフは先代E89で一度消滅したソフトトップが電動化して復活しました。

 

 

■名門を蘇らせたマイルストーン的存在、ボクスター


 

 

ポルシェといえば911シリーズが名実ともにトップモデルですが、じつはかつてポルシェは「911以外に売るクルマがない!」というジレンマに苦しんだ時期がありました。

 

歴史を遡れば928や924、944といったフロントエンジンのスポーツカーにも挑戦しましたが、いずれもメーカーの屋台骨を支えるほどは売れず1990年代までは良くも悪くも911の販売がメーカーの命運を握っていました。

 

そんななかでポルシェがコンセプトモデルとして1993年に発表したのがボクスターでした。

 

水平対向(BOXER)エンジン+ロードスター(ROADSTER)でボクスター(BOX-STER)。

 

その名の通り水平対向6気筒をミドに搭載するオープンカーで、発表時に非常に好評だったためそのままの形で1996年に初代(986型)が発売されました。

 

当時の911(996型)と多くの部品が共用化されたことでコストダウンを図ったボクスターは、価格面でもポルシェにおけるエントリーモデルとしてぴったりなモデルとして、ポルシェが顧客の間口を大きく広げるきっかけになり、ポルシェの経営を回復させました。

 

現行の982型は、2016年にモデルチェンジした4代目。

 

それまでの水平対向6気筒から水平対向4気筒へダウンサイジングされた(のちに6気筒モデルも追加)ことをきっかけに、往年のレーシングカー718RSKから頂いた「718」というファミリーネームが与えられた718ボクスターは、ポルシェのエントリーモデルとしてはもちろん高性能オープンスポーツとしても人気の1台です。

 

 

■双方ともに高品質なインテリア


 

 

Z4のインテリアは最新のBMWデザインがふんだんに盛り込まれたラグジュアリーな仕上がりになっています。

 

そこに近年のトレンドであるボイスコントロールのBMWインテリジェントパーソナルアシスタントやヘッドアップディスプレイ、音声コントロールやDriveの操作をドライバーに合わせてカスタマイズできるBMWオペレーティングシステムなど、21世紀のスポーツカーを体感することができます。

 

シートは放射線をあしらった高級感のあるスポーツシートでシートヒーター内蔵。

 

ステアリングヒーターはオプションです。

 

対して718ボクスターはかなりスポーティな内装となっており、美しいステッチが入ったバックスキンを全体に纏ったややスパルタンとも言えるルックスとアナログメーターを大きく配置したコクピットが最大の特徴です。

 

またこちらもポルシェコネクトと呼ばれる総合デジタルシステムを搭載し、スケジュール管理やナビ操作などを一括して管理する事が可能となっており、よりドライバーが運転に集中できる環境を整えてくれます。

 

シートは911にも通じるヘッドレスト一体型のデザインで、シートヒーターおよびベンチレーション、ステアリングヒーターがオプションで用意されています。

 

 

■軽さを求めるなら4気筒もアリ


 

 

Z4には2.0L直列4気筒ターボで最高出力145kW(197PS)/4,500rpm、最大トルク320Nm(32.6kgm)/1,450-4,200rpmと、3.0L直列6気筒で最高出力285kW(387PS)/5,800rpm、最大トルク500Nm(51.0kgm)/1,800-5,000rpmという2種類のエンジンが用意されています。

 

対する718ボクスターは最高出力220kW(300PS)/6,500rpm、最大トルク380Nm(38.7kgm)/4,500rpmの2.0L水平対向4気筒ターボをボトムに、最高出力257kW(350PS)/6,500rpm、最大トルク420Nm(42.8kgm)/5,500rpmの2.5L水平対向4気筒ターボ、トップグレードのGTS4.0に搭載される最高出力294kW(400PS)/7,000rpm、最大トルク420Nm(42.8kgm)/5,000-6,500rpmの4.0L水平対向6気筒エンジンの3タイプがラインアップされます。

 

いずれも軽さを求めるなら4気筒、絶対的な速さを求めるなら6気筒という選択になります。

 

 

■安全装備をあえて省いたボクスター


 

近年のクルマには装備されることが増えた先進安全装備については、Z4と718ボクスターで少し差があります。

 

Z4には各種ドライビングアシスト(アダプティブクルーズコントロール、車線逸脱警告、レーンチェンジウォーニング、衝突回避・被害軽減ブレーキ、クロストラフィックウォーニング)や自動的に駐車スペースに向けてステアリング操作をするパーキングアシストなどを標準装備。

 

対する718ボクスターは、アダプティブクルーズコントロールやレーンチェンジアシスト、など限られたものだけで、スポーティさを強調するモデルである都合上、それらの装備はオプション設定です。

 

この安全装備は2台の違いがもっとも顕著に表れている部分です。

 

とはいえ、どちらもドイツを代表するブランドでハンドリング性能は折り紙付き。

 

ロングドライブも難なくこなす2台は、そろそろ500万円を切る個体が出始めています。

 

オープンカーが快適で楽しいこの季節、こんなチョイスも検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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