メルセデス-AMGのラインアップを解説
メルセデス・ベンツの高性能モデルを製造するメルセデスAMGには、どのようなラインアップがあるのでしょうか。
今回は、メルセデスAMGの概要やモデルラインアップについて解説します。現在販売されているAMGモデルの特徴を知りたいときの参考にしてみてください。
■そもそもAMGってなに?メルセデスとの関係は?

メルセデスAMGは、メルセデス・ベンツの高性能モデルを販売するために2人のエンジニアによって1967年に設立されたエンジニアリング会社"Aufrecht Melcher Großaspach”が起源です。
AMGの手掛けたチューニングエンジンはすぐに評判となりレースの世界で有名になりました。 その後、AMGはより高性能なエンジン開発を行い市販車も販売するようになります。
AMGがメルセデス・ベンツのオフィシャルレーシングパートナーになったのは1980年代末のことで、当時のDTM(ドイツツーリングカー選手権)レースでの活躍は、メルセデス・ベンツ= AMGのイメージを確固たるものにしました。
その後AMGは、ダイムラー・クライスラーAGの傘下に入り、メルセデス・ベンツのサブブランド(メルセデス-AMG)としてメルセデス・ベンツディーラーでの販売やサービスを受けられる体制となりました。
いっぽう2010年にはAMG初となるオリジナルモデル「SLS AMG」をリリース。2014年にメルセデス-AMGとなった翌年には、メルセデス-AMG完全オリジナルモデル第2弾の「メルセデスAMG GT」を、2019年には「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」をリリースしています。
メルセデス-AMGはメルセデス・ベンツのブランドのひとつですが、つねに優れたパフォーマンスや動力性能を追い求めている特別なブランドなのです。
■AMGのラインアップはエンジンを基本に考えるとわかりやすい
メルセデスAMGのモデルは、コンパクトカーからオリジナルまで多岐にわたり、モデル体系がわかりにくくなっています。 そこでひとつの指針としてエンジンを基準とした見方をお教えします。現在販売されているメルセデスAMGのエンジンバリエーションや搭載モデルについて解説しましょう。
・35

AMG のエントリーに位置する「35」シリーズは、AクラスやGLAクラスなどコンパクトなモデルを中心に搭載されるエンジンです。
2.0L直列4気筒直噴エンジン(型式:M260)にツインスクロールターボチャージャーを装着し、最高出力225kW(306PS)/5,800-6,100rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/3,000-4,000rpmを発生。

低回転からの素早いレスポンスと高回転までのスムーズな吹け上がりを実現し、全領域で意のままの力強い加速を楽しむことができるエンジンとなっていることが特徴です。
また、可変バルブコントロールシステムの採用により環境性能にも優れています。
・43

「43」は歴史が古く最初に登場したのは1997年のCクラスで、当時のC43に搭載されたのは、最高出力225kW(306PS)の4.3LV型8気筒(M113)でした。
現在の「43」シリーズは、3.0L V型6気筒ツインターボ(M276M30)と、3.0L直列6気筒ターボ(M256)、2.0L直列4気筒+電動ターボ(M139I)の3タイプが存在します。

主力となっているV型6気筒ツインターボは、SLCおよびGLCクラスに搭載され、最高出力287kW(390PS)/6,100rpm、最大トルク520Nm(53.0kgm)/2,500-5,000rpmをそれぞれ発生。
3.0L直列6気筒ターボ(M256)はAMG GT 4ドアクーペに搭載されるユニットで、インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(ISG)が組み合わされ、最高出力270kW(367PS) /5,500-6,100rpm、最大トルク500Nm(51.0kgm)/1,800-4,500rpmを発生します。
BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)が採用された新しいCクラスおよびSLクラス搭載される2.0L直列4気筒+電動ターボは、最高出力300kW(408PS) /6,750rpm、最大トルク500Nm(51.0kgm)/5,000rpmを発生。「43」シリーズ最強のエンジンです。
・45
「45」シリーズは、2019年から導入された2.0L直列4気筒DOHCエンジン(M139)で、AクラスやCLAクラスなどコンパクトクラスのハッチバックやセダン、SUVに搭載されています。
エンジンにはべアリングマウントされたツインスクロールターボチャージャーとツインインジェクションの技術が採用され、世界最強の最高出力310kW(421PS)/6,750rpm、最大トルク500Nm(51.0kgm)/5,000-5,250rpmをそれぞれ発生します。
AMG 35同様、フルタイム4WDの4MATICと組み合わされ、強烈なパワーを路面に伝えます。
・53
「53」は3.0L直列6気筒ターボで、EクラスやAMG GT 4ドアクーペなどに搭載されています。
ベースは「43」シリーズと同じM256ですが、こちらはさらにハイチューンがほどこされ、最高出力320kW(435PS)/6,100rpm、最大トルク520Nm(53.0kgfm)/1,800-5,800rpmというスペックとなっています。
スムーズな回転フィールが魅力の直列6気筒エンジンに、エンジンをアシストするモーター兼発電機のISGを組み合わせていることが特徴で、ISGと電動スーパーチャージャーにより、あっという間に加速するという新しい走りを実現しています。
・63

「63」シリーズも世代があり、最初の登場は2014年のことでCクラスに搭載されました。その後、2016年にEクラスに。
現在は、おもにGクラスやGLSクラスなどラグジュアリーモデルやラージサイズモデルに搭載されています。

いずれも4.0LのV型8気筒ツインターボ(M177)ですが出力は異なり、もっとも新しいユニットは、軽量ながら高い強度のクローズドデッキのアルミクランクケース、鍛造アルミ製ピストン、シリンダーウォールに摩擦低減と高強度を実現するNANOSLIDE加工を施したエンジンに2つのターボチャージャーをVバンク内側に配置、48V電気システムと組み合わせ450Nm(612PS)/5,00-6,000rpmの最高出力と、850Nm(86.7gkm)/2,750-4,500rpmの最大トルクをそれぞれ発生しています。
■特別なコンプリートカー、それがAMG GT

AMG GTは、メルセデスAMGの完全自社開発のスポーツカーで、2ドアクーペのAMG GT、オープンカーのAMG GTロードスター、4ドアクーペのAMG GT 4ドアクーペを用意しています。
AMG GT系に搭載されるエンジンは、4.0L V型8気筒(型式:M178型)直噴ツインターボエンジンです。
砂型鋳造されたクローズドデッキのアルミニウムクランクケースに鍛造アルミニウム製ピストンを組み合わせ、軽量かつ高強度なエンジンとなっています。
また、シリンダーウォールにスチールカーボン材を溶射コーティングするNANOSLIDE摩擦低減加工を施すことで、フリクションロスを低減していることが特徴です。
M177同様V型シリンダーバンクの内側に2基のターボチャージャーを配置する「ホットインサイドV」レイアウトは、エンジンを可能な限りコンパクトにするとともに、ターボチャージャーへの吸排気経路の最適化とツインスクロールとすることで、低回転域から優れたレスポンスを実現。
オイル供給方式は、ドライサンプ潤滑システムとなっています。
シリーズ中最強クラスに位置づけられるAMG GT Rに搭載されるユニットのスペックは、最高出力430kW(585PS)/6,250rpm、最大トルク700Nm(71.4kgfm)/2,100-5,500rpmという数値をたたき出し、もっともおとなしいユニットでも350kW(476PS)/630Nmであるなど、ハイスペックを誇ります。(※AMG Black seriesなどさらにハイパワーなモデルも存在)
メルセデスAMGは、さまざまな車種に展開されている高性能モデルです。 一見するとバリエーションが複雑に見えますが、エンジンを基準に分類すると意外にもシンプルな体系となっています。
ただし現在はAMG 43のように同じ表記であっても、電動化されたタイプと純粋なチューニングエンジンが混在するケースがあるので注意が必要です。購入を検討するときは、数字の表記だけでなくメカニズムについても調べることをおすすめします。




