街を彩るミニ BMW時代から現在までの軌跡
自動車技師アレック・イシゴニスが生み出した、横置きエンジンによる前輪駆動という画期的なアイデアによって現在の自動車シーンに多大なる影響を与えたミニ。
1950年代に誕生した英国生まれのミニは、BMWの手によって新時代のミニへと進化を遂げ、現在は第3世代が販売されています。
今回はそんな21世紀版ミニの軌跡を振り返っていきましょう。

■BMWだからこその価値。設計・生産することの困難さ
1994年にドイツのBMWがイギリスのローバーグループを傘下に収めると、BMW による新しいミニの開発が始まります。
ローバー主導で作業がすすめられた新しいミニは、1997年のジュネーブモーターショーでコンセプトカーの展示が行なわれるなど、その開発は軌道に乗っていたはずでした。
しかし、2000年にローバー自体が深刻な経営難に陥り、BMWはローバーを分割。
ミニ、ライレー、トライアンフ、ローバーのブランド名を残して他に売却しました。
このとき、すでに開発の終盤にあったミニは、BMWの手によって最終的な調整が行なわれ2001年に正式発表されました。
この新しいミニは初代の愛らしいフォルムを継承しながらも、走行性能や環境性能においてはBMWらしさを持っていました。
ただしエンジンは、BMW(ローバーグループ)とクライスラーの合弁会社であるトライテックモータースで製作された小型車用1.6Lで、100%BMW製ではありませんでした。
また当初はローバー主導による開発だったため、生産設備のあらゆるものがヤード・ポンド法だったものを、ドイツ主導によるミリ・メートル法へと修正し、新しい基準で図面を引き直す必要もありました。
こういったいくつもの問題を解決し、ようやく21世紀版のミニは発売へとこぎつけることができたのです。

■ついに日本上陸
新しいミニのマーケットとして、BMWは日本に大きな期待を寄せていました。
ローバー時代から日本で高い人気を誇っていたミニは、新しいモデルになってもその人気が継続するとBMWでは考えていたのです。
そのためBMWでは、販売戦略やブランディングなどを行なうミニ ディビジョンを日本に置くことを決定します。
ミニ ディビジョンでは、販売網を構築するにあたりBMWディーラーだけでなく旧ミニディーラーにも参加を募り、スタート時に全国68の拠点を持つ販売ネットワークを完成。
そのショールームは、白を貴重としていたBMWに対し、黒を基調に設計。このカラーは、やがてブランドのアイデンティティとして確立されるようになります。
そうして迎えた2002年3月2日(ミニの日)には、多くのバックオーダーをかかえるまでの人気を博すこととなりました。
2002年に市場に投入されたのは、まずR50と呼ばれるワンとクーパーで、その後クーパーS(R53)や、コンバーチブル(R52)などを追加。
2006年に第2世代に進化すると、クラブマンやクロスオーバー、クーペ、ロードスター。
現行モデルとなる2013年以降の第3世代では、ハッチバックに5ドアをくわえ、幅広いユーザーニーズに答えるボディバリエーションとなっています。

■ついに電動化へ PHEVモデルも登場
さまざまなボディバリエーションをラインアップする21世紀版ミニですが、その進化はとどまるところを知りません。
ヨーロッパを中心に進むゼロエミッション化に向けて、ミニも電動化を進めています。
その先陣を切ったモデルが2017年3月のフルモデルチェンジとともにデビューした、クーパーS E オール4クロスオーバーです。
ミニでは初となるプラグインハイブリッドモデルで、クーパー用1.5L 3気筒ターボエンジンで前輪を、電気モーターで後輪を駆動させるという4WDレイアウトを採用し、電気モーターのみでも最大42.4km(2020年版は57km)走行することができるようになっています。
200V電源による満充電はおよそ3時間で終了し、助手席側のスカットルパネルに給電ポートを備えています。
さらに2019年秋のフランクフルトモーターショーでは、ついにミニのピュア電気自動車が市販車バージョンとなって出展されました。
ミニ クーパーS Eと名付けられたこのEV車は、現行型のクーパーS(F56)をベースとした電気自動車で、ボンネットフード内に電気モーターを搭載。
32.6kWという大容量リチウムイオンバッテリーは、フロアパネル下にT字型に配置することで、ガソリンモデルと同等のラゲッジスペースを確保することにも成功しています。
電気モーターは前輪を駆動させ、最高出力135kW(184PS)と最大トルク270Nmを発生。
0-100km加速は7.3秒を達成しています。 肝心の航続可能距離はWLTPモードで約270km。
充電は専用充電ポートのほかに家庭用電源でも行なえるようになっています。
すでにヨーロッパでは受注が開始され、ドイツ本国での販売価格は約380万円となっています。
1959年に初めて世に登場し、自動車シーンに多大なる影響を与えたミニ。
その進化は半世紀を経た現在も続いています。
これから先もミニらしさを残しつつさまざまな最新技術を搭載し、洗練された新時代のミニの姿が見られることは、多くのクルマ好きにとって喜ばしいことではないでしょうか。




