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そつなく、いつでも速い。ポルシェ 911 GT3

 

ポルシェのフラッグシップであり、ポルシェの存在意義そのものとも言える孤高のモデル911。

 

その911をベースに、モータースポーツ参戦車両にもっとも近いロードゴーイングモデルとして生産される GT3は、公道を走れるレースカーとも言うべき存在。

 

911のなかでも、特別な997 GT3を紹介します。

 

 

■控えめなエクステリアから凄みをのぞかせる


 

 

 

ポルシェ911にGT3が誕生したのは、1999年のこと。

 

最初の水冷エンジンを積んだ996型時代のことでした。

 

以来、911がモデルチェンジを行うごとに、著名なドライバーや一流のエンジニアの手によって磨き上げ、開発がなされてきました。

 

つまり911におけるGT3は、単なる特別仕様車やスポーツグレードという位置付けではなく、公道上のアスリートとして、またそのままサーキットに持ち込めるほどの戦闘力を持ち合わせたスパルタンなモデルとして、そして多くのクルマ好きの憧れとして存在しています。

 

ここでは、992型の登場によって、2019年末に生産が終了した997 GT3について解説します。

 

 

エクステリア(外観)は、基本的に911のそれですが、これで市販されているとは信じがたいほど低く見える車高と、迫力のある固定式リアウィングがおおきな違いです。

 

もちろん、それらは緻密に設計された結果であり、コーナリングスピードの向上と走行安定性、ブレーキング時の安定性の向上に重要な役割りをはたしています。

 

 

マフラーはセンター2本出しとなり、リアエプロンには軽量素材が使われています。

 

これだけで、本気のレース機材であることが伺えるほどの迫力と、ただ者ではない雰囲気が伝わってきます。

 

ボディサイズは、全長4,560mm×全幅1,850mm×全高1,270mm、ホイールベースは2,457mm、車両重量は1,490kgとなっています。

 

 

■シンプルで扱いやすく、でもスパルタン


 

 

 

コックピット周りのデザインも、911に準じたもので、カップホルダーもあって普段使いにも嬉しい装備がきちんと備わっています。

 

ですが、ステアリングスイッチは省かれ、アナログメーターと合わせて全体的にシンプルな構成になっています。

 

他の高級スポーツカー同様、レザーパッケージやスポーツシートなど、細かな仕様をオーナーの好みで選ぶことができる豊富なオプションが、GT3にも用意されています。

 

シートヒーターなど快適装備も選ぶことができ、レースに参加することだけのために作られたのではなく、フラッグシップモデルにふさわしいGTカーとしての使い勝手も十分考慮されています。

 

RR(リアエンジン・リアドライブ)という駆動方式のため、ラゲッジスペースはフロントフード下に設けられていますが、容量は125Lと小さく、長距離の旅行で使用するには厳しいでしょう。

 

 

■大台の500馬力到達


 

 

 

911 GT3で特筆すべきなのは、その圧倒的なパフォーマンスにあります。

 

2017年にマイナーチェンジを受けた後期型では、従来モデルより25馬力のパワーアップをはたした4.0L 水平対向6気筒自然吸気エンジンを搭載。

 

そのスペックは、最高出力368kW(500PS)/8,250rpm、最大トルク460Nm/6,000rpm、最高回転数は9,000rpmという超高回転型で、タコメーターは10,000rpmまで刻まれています。

 

トランスミッションは、7速のポルシェ・ドッペルクップリング(PDK)という、デュアルクラッチトランスミッションです。

 

サスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンク、タイヤサイズはフロントが245/35 ZR20、リアが305/30 ZR20という組み合わせ。

 

最高速度は318km/h、0-100km/h加速は3.4秒という性能に対応したセッティングとはいえ、過激で乗りにくいものではなく、公道走行をも重視したしなやか乗り心地が特徴です。

 

911 GT3はポルシェのレーシングスピリットを余すところなく味わえる、言わば究極のポルシェとも言えますが、これがカタログモデルであることにも驚きです。

 

刺激的な走りを全域で味わいながら、ロングドライブも快適にこなせる懐の深さは、GT3ならではのもの。

 

こんなワクワクする素晴らしいモデルが存在するのは、我々クルマ好きにとってとても幸せなことです。

 

 

 

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