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フィアットのスポーツブランド「アバルト」って何?その歴史を紹介

 

フィアットのスポーツモデルに与えられる名称「アバルト」、サソリのエンブレムが印象的ですが、そこにはどんな意味があるのでしょうか?

 

今回はアバルトの歴史や、その血統が息づく魅力的な現代のモデルたちを紹介します。

 

 

■オートバイとそのスピードに魅せられた青年カール・アバルト


 

 

アバルトという会社は第2次世界大戦後、間もない1949年に、カルロ・アバルトという人物によって設立されました。

 

1908年にオーストリアのウィーンでカール・アバルトとして生を受けた彼は、オートバイやそのエンジンに興味を持ち、そのスピードに魅了されます。

 

そんな彼がモータースポーツの世界に足を踏み入れるのは言うまでなく、20歳で自ら改良を施したオートバイでレースに出場。

 

堂々の初優勝を飾ります。その後もオートバイレースで活躍を見せますが、21歳の時大事故に見舞われ大怪我をします。

 

オートバイレースを医者から禁じられてしまいますが、レースへの熱が冷めることはなく、サイドカーでレース活動を続けていくこととなります。

 

 

■イタリアへ移った“カルロ”・アバルト


 

サイドカーでのレース活動を続けていた彼ですが、第2次世界大戦の足音が近づいてくると、オーストリア領がドイツのものとなる前に、彼は父の母国であるイタリアに拠点を移します。

 

このとき彼はカール・アバルトからカルロ・アバルトと名乗り始めました。

 

そしてまたしても大怪我に見舞われ、生死をさまよった彼はライダーとしての引退を余儀なくされます。

 

そして第2次世界大戦後の1946年、ポルシェのレースカーの設計などを担当していたイタリア トリノにある組織、チシタリア社で製作指揮に就くこととなります。

 

彼はエンジニア兼テストドライバーとして邁進しましたが、チシタリア社の経営は傾き、1948年には倒産を余儀無くされます。

 

その後の選択を迷った彼は、一念発起し自らの手でチシタリアにいた仲間たちと共に、チューニングパーツやレースカーの製作を行う会社をイタリアに設立することを決心します。

 

こうしてアバルトが誕生したのです。

 

 

■アバルトとフィアットの関係


 

 

こうして誕生したアバルトは様々な高性能マシンをヨーロッパのモータースポーツシーンに送り込み、数々の勝利を重ねます。

 

その活躍はイタリア国内では一般の人間にも知れ渡るほどで、速くする、強くするという意味を持つアバルト化するという流行語が誕生するほどだったとか。(例:強いコーヒーを入れる→アバルトコーヒーを入れる…など)

 

また、この頃からフィアットのモデルをベースにチューニングを施したマシンでのレース活動も行なっていて、設立初期からフィアットの関係は強いものでした。

 

1958年からはレースに勝利するとフィアット社から報奨金が支払われるほどの関係になります。

 

こうして快進撃を続けていくアバルトですが、1960年代末になるとイタリアは経済が悪化、その波はアバルト社にも押し寄せます。

 

そんな中、フィアットからアバルト社買収の話が舞い込み、この話を受けることとなります。

 

 

■フィアット編入後は傘下のモータースポーツ活動を支える


 

フィアットに買収されますが、アバルト社の名称アバルト& C.は継続され、勢い衰えることなくモータースポーツシーンで活躍を見せます。

 

特に有名なのがラリーでの活躍でしょう。

 

フィアット131ラリーで3回のWRCチャンピオンを勝ち取った他、同じくフィアットの傘下となったランチャのラリー037やデルタS4の競技車両の開発などを担当し、WRC狂気の時代とも言われるグループB 時代を席巻します。

 

1979年にカルロ氏が亡くなり、1981年にはアバルト& C.の名称が消え、フィアット・アウト S.p.A.に統合されてしまいますが、内部組織的にはあまり変わりのないものでした。

 

スポーツカーレースでも活躍を見せ、1980年代前半に活躍したグループCのランチャ LC2や、1990年代に活躍したDTMマシン、アルファ・ロメオ 155V6TIなどの開発の一部を担当します。

 

この頃になるとアバルトの名は掲げられていませんでしたが、アバルトの血統が流れている技術者たちが開発を担当していました。

 

しかし、1997年になるとそれに変わる組織、フィアット・アウト・コルセが設立され、アバルトの組織は完全に途絶えてしまいます。

 

 

■2007年アバルトブランドの復活


 

 

2007年にフィアットグループからアバルトの名が復活します。

 

長い冬眠から目覚めたアバルトは、かつてと同じようにフィアットの小型車のチューニングを担当。

 

プントや500をベースにしたホットモデルで、世界のクルマ好きたちにサソリの毒で刺激を与えています。

 

ちなみに、アバルトのブランドロゴでもあるサソリ、その由来はカルロ氏が11月15日生まれのサソリ座であることから由来しています。

 

 

■コンパクトで走りが楽しいモデルをお望みなら、サソリの毒を味わうべし


 

フィアット 500をベースにしたアバルト 500から、現代のアバルトラインアップの充実が本格化しました。

 

コンパクトながらパワフルなその走りはまさに一度味わうと忘れなれない毒と言えます。

 

コンパクトで走りの楽しいモデルが欲しい方にはぜひ検討してほしいモデルです。

 

 

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