C、3、A4。レクサス ISの本当のライバルとは?
レクサスの走りの良さを体現するISは、多くのプレミアムブランドが有力車種を展開するDセグメントセダンです。
特にジャーマンスリーと言われるドイツプレミアムブランド(メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ)とは、強いライバル関係にあり、中古車市場でもしばしば比較対象になっています。
ここではそんなライバル車種と比較しながら、ISの魅力を探ってみましょう。
■スポーティさを極めた現行型IS
現行型が3代目となるISは、1999年に前年にデビューしたトヨタ アルテッツァを、レクサス版としてヨーロッパおよび北米で販売したことが始まりでした。
ヨーロッパのコンパクトなプレミアムセダンをライバルに見据えたISは、アルテッツァの売りのひとつでもあった2.0L 直4エンジンをあえて外し、2.0Lと3.0Lともに直6エンジンのみとすることでプレミアム性を高めていました。
2005年には純粋なレクサスモデルとして2代目が登場。
クーペコンバーチブルのIS Cや、5.0LのV8エンジンを搭載するスポーツモデルのIS Fが派生車として登場するなど、レクサスセダンの中心的存在となります。
そして現行型の3代目は2013年に投入されます。
基本的なシルエットは2代目を踏襲しているものの、スポット溶接のピッチをより細かくすることができる、レーザースクリューウェルディングや、構造用接着剤をレクサスの中でいち早く採用し、ボディ剛性の向上と軽量化を図り、よりスポーティなクルマへ生まれ変わりました。
また、2020年のマイナーチェンジでは、スタイリングの変更もさることながら、ホイールとハブベアリングの締結にハブボルトを採用。
ばね下重量の軽減とボルトの締結力アップは、走行性能向上におおきな役割を果たしています。
高級ブランドレクサスとしての、内外装の質の高さはもちろん、タイヤをひと転がしすれば感じられる、ISの走りの良さは、他のレクサス車にはない魅力です。
■プレミアムな価値はCクラス
ISのもつプレミアムの部分でよく比較されるのは、メルセデス・ベンツのCクラスです。
特にISのバージョンLと比較されることの多いクルマです。
メルセデスのブランドと歴史により培われたCクラスは、ガソリンターボエンジンモデルに加えて、ISにはないディーゼルエンジンやプラグインハイブリッドを展開するパワートレインの充実ぶりと、質感の高さが感じられる内外装が魅力です。
特に室内の後席はISよりも広く、どっしりと座れる印象があります。
いっぽうISのバージョンLは、セミアニリン本革というレクサス独自の柔らかくなめした革を使い、手触りの良さ、質感にこだわりをみせます。
また、アルミやメッキ素材に加えてウッドを使った内装は日本的であり、エッジの利いた見た目とは違う、柔らかさを感じることができます。
パッセンジャーも感じられる高級感のCクラスを取るか、ドライバーズカーとしての楽しさと機能美のISを取るか、質感の高さでは同等の評価と言えるのではないでしょうか。
■スポーティな走りのライバル、3シリーズ
駆け抜ける歓びのBMW 3シリーズと比較されるのは、ISの走りのモデルF SPORTです。
前後重量配分50:50にこだわり、クルマと一体感を感じとることができる走行性能の高さは、3シリーズの特徴であり、なかでもシルキーシックスと呼ばれる直列6気筒エンジンは、滑らかな吹け上がりと、レスポンスの良さが魅力です。
対するISのスポーツグレードであるF SPORTは、専用にチューニングされた足回りとF SPORTだけに与えられたシャープなデザイン、室内では表皮一体発泡工法で開発された専用シートがドライバーを迎え入れ、ドライバーの気分を高揚させます。
本格FRドライブを楽しめるBMW3シリーズと、日常域でもスポーツを感じられるように作られたIS F SPORT、甲乙つけがたいライバルです。
■A4の細部にわたる作り込みは日本人好み!?
アウディA4は、機能性や快適性にこだわる日本人でも文句が出にくいクルマです。
シンプルかつ整然と並んだスイッチ類や、デザインをしっかりと作り込みながらも、乗降性を重視したドアの大きさなど、細かなところにまで配慮が行き届いており、国産車から乗り換えても、違和感の少ない輸入車のひとつになっています。
このA4とISのバージョンLは、コンパクトで扱いやすい車格に、シンプルで使いやすいインテリアに散りばめられた高級感、日常域では硬すぎず、高速走行ではどっしりと感じられる足回りなど、細部までよく似ているモデルとして、販売現場でもよく比較検討の俎上にあがります。
違いはハイブリッドモデルで、ISでは長年の実績のあるガソリンエンジンとストロングハイブリッドの組み合わせ、A4ではディーゼルエンジンにマイルドハイブリッドの組み合わせとなります。静粛性や燃費性能では、ISに軍配が上がるでしょう。
ときには同乗者を乗せて優雅に使えるプレミアムセダンとして、ときには小気味いい走りを楽しめるスポーツセダンとして、2つの顔を高い次元で両立したISは、後発だからこそできる先進性や、日本車だからこそ生まれる安心感が強み。
いっぽうのドイツ製プレミアムコンパクトセダンは、歴史によって作られた信頼感とブランド性、それを活かすパッケージングが魅力です。
自身の好みを見極めるためにも、お店にアシを運んで実車に触れてみることをおすすめします。