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【フィアット 500のチューンモデル】アバルト 595を解説

 

可愛らしいボディにちっぽけな500ccエンジンを搭載したフィアットの大衆車、フィアット 500をベースにアバルトがチューニングを施したモデルが、フィアット アバルト595でした。

 

その名を受け継ぎ2013年に登場したコンパクトスポーツが、現在のアバルト 595です。

 

ファンから厚い支持を受けるホットハッチの詳細を紹介しましょう。

 

 

■アバルト 595概要|小排気スポーツの代名詞が現代に復活!


 

 

アバルト 595は、いまから50年以上前の1963年に、チューニング・メーカーであったアバルトが、当時のフィアット 500(チンクエチェント)をベースに、エンジン排気量を594ccに拡大して世に送り出したものでした。

 

同モデルは、サソリをあしらったアバルトのエンブレムと、専用マフラー、そしてリアの床下に見えるアルミ製のオイルパン以外、ノーマルのフィアット 500と変わらない見かけながら、最高速は120km/hを達成。

 

イタリア国内を中心に人気となりました。

 

その後、アバルトは1971年にフィアットに買収され、モータースポーツ部門としてWRC(世界ラリー選手権)を中心に1990年代終わりまで活躍。

 

2000年代にはフィアットのイベントやモータースポーツ向けのベースモデルにアバルトの名が使われたものの、それはごく一部のものでした。

 

そんなアバルトの名前が復活したのは2007年のことです。

 

翌年には、新生フィアット500にチューニングを施した500アバルト 1.4 ターボを発表。

 

2013年よりモデル名は、アバルト 595に統一されました。

 

2013年にモデルライフをスタートした595は、2017年のマイナーチェンジ実施により、バンパーなどを変更し、よりアグレッシブに変貌しました。

 

2021年10月現在のラインアップは、ベースグレードの595、出力がアップした595 TURISMO(ツーリズモ)、カブリオレバージョンの595C TURISMO、トップグレードの595 COMPETIZIONE(コンペティツィオーネ)の4つです。

 

 

■アバルト 595のエクステリア|特徴的なエアインテークはまるでレース車


 

 

ベースとなったフィアット 500のエクステリア(外装)が、丸みを帯びたキュートな印象であるのに対し、アバルト 595は見た目からも走行性能の高さを感じさせるものとなっています。

 

内部にワンメイク・レース仕様車アセットコルサをインスパイアしたABARTH(アバルト)の浮き文字があしらわれたバンパーの大型エアインテーク、インチアップされたタイヤ&ホイール、サイドスカート、ディフューザー一体型リアバンパーなど、随所でモータースポーツを意識したデザインとなりました。

 

2,300mmのホイールベースこそベースのフィアット 500と同じものの、ボディサイズは、全長が90mmも長い全長3,660mm×全幅1,625mm×全高1,505mmとなっています。

 

グレードによる装備の違いは、ベースグレードと595 ツーリズモシリーズが、ホイールサイズとボディ同色リップスポイラー、それとリアのツーリズモ・エンブレムなど。

 

いっぽう595 コンペティツィオーネでは、フロントのブレンボ製4ポッドキャリパー、17インチアルミホイール、4本出しマフラーに、ガンメタ仕上げのリップスポイラーとエンブレム、ABARTHサイド・デカール、リアのコンペティツィオーネ・エンブレムなどが識別ポイントです。

 

 

■アバルト 595のインテリア|スポーティにアバルトらしさを演出


 

 

アバルト 595のインテリア(内装)は、500のカラフルさは継承しながら、随所にアバルトらしいスポーティな仕上がりとしているのが特長です。

 

コックピットは、単眼メーターのサイドにターボブースター(過給圧計)を設置、マイナーチェンジで一新されたスポーティなステアリングホイールに、スポーツペダル、アルミキックプレート、シフトノブが採用されています。

 

センターには、Apple CarPlay、Android Autoに対応する7インチタッチパネル式ディスプレイを備えたインフォテインメントシステムUconnectが装備され、スマートフォンとの連携もスムーズになりました。

 

シートは、立体的でホールド性に優れた一体型スポーツシートで、グレードにより表皮がファブリック(ベースグレード)/レザー(ツーリズモシリーズ)/アルカンターラ(コンペティツォーネ)と差別化が行われています。

 

その他、グレードによる違いは、エアコンがマニュアル(ベースグレード)とフルオート(ツーリズモシリーズ/コンペティツィオーネ)になることと、コンペティツォーネにはさらにアルカンターラのメーターフードが、アルミ製シフトノブ、シフトアップインジケーターなどを装備します。

 

 

■アバルト 595の走行性能|これぞピッコロ・スポーツのアバルトイズム


 

 

アバルト 595は、軽いクルマのチューニングを熟知したアバルトらしく、小さいながらも加速力のあるアグレッシブな走行フィールに仕上げられているのが特長です。

 

エンジンは、全グレード1.4L 直列4気筒DOHC 16バルブ インタークーラー付きターボですが、エンジン型式がそれぞれ異なることからもわかるように、ベースグレード/ツーリズモシリーズ/コンペティツィオーネで、チューニングが異なります。

 

そのスペックは、ベースグレードが最高出力107kW(145PS)/5,500rpm、最大トルク180Nm(18.4kgm)/2,000rpm。ツーリズモシリーズが、最高出力121kW(165PS)/5,500rpm、最大トルク210Nm(21.4kgm)/2,000rpm。

 

高性能エキゾーストシステム(レコードモンツァ)を装備したコンペティツィオーネは、最高出力132kW(180PS)/5,500rpm、最大トルク230Nm(23.5kgm)/2,000rpmと、ベースグレードとコンペティツォーネでは35馬力ものスペック差がありました。

 

駆動方式は全車FFのみで、トランスミッションはベースグレードが5速MT、ツーリズモシリーズはATモード付き5速シーケンシャル、コンペティツィオーネでは5速MTとATモード付き5速シーケンシャルがそれぞれ用意されました。

 

WLTCモード燃費は、ベースグレードが14.1km/L、ツーリズモシリーズが13.4km/L、コンペティツィオーネが5速MTで14.2km/L、ATモード付き5速シーケンシャルで13.2km/Lです。

 

 

■アバルト 595の安全性能|「止まる・曲がる」の基本を重視


 

 

アバルト 595の足回りには、走る楽しさを実現するために「止まる・曲がる」を高度に実施する技術が投入されています。

 

ショック&スプリングは、ツーリズモシリーズとコンペティツィオーネに、ハイパフォーマンスコイルスプリングと、KONI(コニ)製機械式可変FSD(ツーリズモシリーズはリアのみ)を採用。

 

エレクトロニック・スタビリティ・コントロール(ESC)には、ハイパフォーマンスに対応するため駆動輪の空転を自動制御するアンチスリップ レギュレーション(ASR)を追加。

 

さらにハイドロリック ブレーキ アシスト(HBA)、シフト操作に合わせエンジンブレーキトルクを自動制御するモーター シュレップ レグルング(MSR)、坂道発進アシストのヒルホールドシステム(HHS)が備わります。

 

 

■現代のピッコロ・モンスター「アバルト 595」は乗る価値あり!


 

 

そのハイパフォーマンスからピッコロ・モンスターと呼ばれ、人々から熱狂的支持を受けたかつてのアバルト製スペシャルモデルたち。

 

現行アバルト 595も、まさにその呼び名にふさわしい仕上がりとなっています。

 

そのモンスターぶりを、ぜひチェックしてみましょう。

 

 

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