【歴史ある正統派サルーンが目指すもの】ジャガー XJ(X351系)を解説
1968年デビューのXJは、実に50年以上もジャガーのフラッグシップに君臨する正統派サルーン。
誕生以来、美しいスタイリングと抜群のスポーツ性能をあわせ持ち、世界中で愛され続けているモデルです。
そんなXJは、現行モデルX351で大きな変貌を遂げました。
XJ(X351)は何を目指すのか、詳細を紹介しましょう。
■ジャガー XJ(X351系)を解説|変貌するもジャガースピリットは継承
ジャガーの製造するクルマは、創業当初よりどのモデルも美しく、走行性能においても優れているのが特長です。
そのジャガーにおいて、50年以上にわたり、フラッグシップ・サルーンにあたるのがXJで、ブリティッシュスタイルのエレガントなフォルムと、いわゆるダブルシックス(V12)、スーパーエイト(V8)などの名機により、数々のムーブメントを起こしています。
XJの誕生は1968年で、シリーズⅠ、シリーズⅡ、シリーズⅢ、XJ40、X300、X350を経て、2009年に現行モデルX351系がデビューしました。
XJ現行モデルX351は、それまでXJのアイコニックデザインであった丸目4灯ヘッドランプを廃止しクラシカルな印象を払拭、現代のスポーティング・ラグジュアリーカーに変貌を遂げますが、「美しく速い」ジャガースピリットに何ら変わりはありません。
X351デビュー当初のエンジンは、5.0L V8のNAとスーパーチャージドの大排気のみとしたXJ。
2013年モデルでは、ダウンサイジングされた2.0L 直4ターボなどがあらたに加わり、スパルタンモデルXJRも登場します。
2016年モデルでは、フロント・リアが新デザインとなったほか、インフォテインメントシステムが刷新されました。
2018モデルでは、安全性能を強化するとともに、エンジンラインアップから2.0Lモデルがなくなり、3.0L V6スーパーチャージド、5.0L V8スーパーチャージド2種類の計3種類となります。
2019年には、XJ生誕50年を記念した限定車XJ50、現行型最後の特別仕様車だとアナウンスされたXJR575 ”V8” ファイナルエディションも登場しました。
現在、XJは、スタンダードホイールベースのSWBシリーズと、ロングホイールベースのLWBシリーズで構成されます。
SWBでは、ベースグレードをSWB ラグジュアリー、装備追加のSWB プレミアムラグジュアリー、上級装備のSWB ポートフォリオ、スポーティ仕様のSWB Rスポーツ、ハイパフォーマンスグレードのSWB XJR575がラインアップ。
一方、LWBでは、豪華なショーファーカーとしたLWB オートバイオグラフィがラインアップしています。
■ジャガー XJ(X351系)のエクステリア|スポーツを強調するクーペライン
XJ(351系)のエクステリア(外装)は、先代までの3ボックス・スタイルを廃止し、エアロダイナミクスを考慮したコンテンポラリーなクーペラインとしているのが特長です。
フロントでは、中央にはメッシュを効かせた縦型フロントグリルを配し、LEDヘッドライトにはダブルのJをかたどったシグネチャーライトを組み合わせ、新世代の美しく、速いクルマを体現させています。
サイドでは、フォルムをティアドロップ形状とすることで、流れるようなクーペラインと空気抵抗抑制を両立。
リアでは、テールライトのピンストライプ・アクセントが全体を引き締める役割を果たしています。
またボディは、リベット打ちのオールアルミニウム・モノコックシャシーを採用、これにより、クラストップレベルの軽量化と高剛性が図られました。
ボディサイズは、SWBで全長5,135mm×全幅1,900~1,905mm×全高1,455mm、ホイールベースは3,030mmの堂々としたサイズ感です。
グレードによる装備の違いは、スポーティな仕様のSWB Rスポーツには、フロントグリルがグロスブラック仕上げとなるほか、専用リアスポイラー、サイドシルなどが装備。
トップグレードのSWB XJR575には、フロントグリルやサイドパワーベントがグロスブラック仕上げ、ジャガースクリプト入りレッド・ブレーキキャリパー、専用ボンネットルーバー、専用スポーツエギゾーストパイプなどが装備されます。
ホイールは以下のようになっています。
SWB ラグジュアリー/SWB プレミアムラグジュアリー:19インチ10スポーク
SWB ポートフォリオ:20インチ10スプリットスポーク
SWB Rスポーツ:ダイヤモンドターンド仕上げの20インチ5スプリットスポーク
SWB XJR575:グロスブラックダイヤモンドターンド仕上げの20インチ5スプリットスポーク
■ジャガー XJ(X351系)のインテリア|フラグシップにふさわしい極上空間
XJ(351)のインテリア(内装)は、レザーや高級素材をふんだんに使用し、細部にいたるまでクラフトマンシップが行き届いた極上の空間に仕上げられているのが特長です。
メータークラスター、レジスターなどは全て丸形で統一され、それらは弧を描く個性的なデザインのなかに機能的に配置されます。
コックピットには、12.3インチのマルチレイヤーバーチャルディスプレイを備え、立体的で視認性に優れた3眼メーターを表示します。
センターコンソールには、10インチのタッチスクリーン式ディスプレイを備えたインフォテインメントシステム タッチプロが採用されました。
また、後席まで広がるパノラミックルーフの採用によって、室内は明るく解放感のある仕上がりとしています。
シートは以下のようになっています。
SWB ラグジュアリー:ボンドグレインレザー
SWB プレミアムラグジュアリー/Rスポーツ:ソフトグレインパーフォレイテッドレザー
SWB ポートフォリオ:ダイヤモンドパターン刺繍入りソフトグレインパーフォレイテッドレザー
SWB XJR575:専用レザースポーツシート
さらに、フロントシートでは、SWB ラグジュアリーとプレミアムラグジュアリーでは、14ウェイ機能、SWB ポートフォリオ、Rスポーツ、XJR575では18ウェイ機能を搭載しています。
■ジャガー XJ(X351系)の走行性能|ジャガー自慢のV型エンジンが進化
XJ(351)の走行性能は、ジャガー自慢のエンジンが最新のテクノロジーによって進化し、力強さのなかにもゆとりのある走行フィールに仕上げられているのが特長です。
さらに、ハイパフォーマンスグレードでは、圧倒的パワーでスパルタンな走りを実感することが可能です。
乗り心地を左右するシステムには、高度なエアサスペンションシステム、車両の挙動を1秒間に最大500回モニタリングし、瞬時に最適な走行状況を確保する連続可変ダンパーのアダプティブ・ダイナミクスなどが搭載されました。
XJ(351)のエンジンは、SWB ラグジュアリー、プレミアムラグジュアリー、ポートフォリオ、Rスポーツが3.0L V型6気筒スーパーチャージャーを搭載。
トップグレードのSWB KJR575とロングホイールベースのLWB オートバイオグラフィが、5.0L V型8気筒スーパーチャージャーを出力違いで搭載します。
トランスミッションは、全車で8速AT、駆動方式は、全車でFRが採用されました。
パフォーマンスでは、3.0L V型6気筒エンジンが、最高出力を250kW(340PS)/6,500rpm、最大トルクを450Nm(45.9kgm)/2,500rpmとし、最高速度は250km/h、0-100km/h加速は5.9秒を達成。
一方、出力違いとなる5.0L V型8気筒エンジンは、LWB オートバイオグラフィが最高出力を375kW(510PS)/6,000rpm、最大トルクを625Nm(63.7kgm)/2,500rpm、最高速度は250km/h、0-100km/h加速は4.9秒に達します。
ハイパフォーマンスグレードのSWB XJR575では、最高出力は423kW(575PS)/6,500rpm、最大トルクは700Nm(71.4kgm)/3,500rpmに達し、最高速度はなんと300km/h、0-100km/h加速は4.4秒と驚異的なスペックとなりました。
燃費性能は、3.0L V型6気筒エンジン搭載車がJC08モード燃費で7.6km/L、5.0L V型8気筒エンジン搭載車が6.8km/Lとしています。
■ジャガー XJ(X351系)の安全性能|先進テクノロジーを標準装備
XJ(351)の安全性能は、先進テクノロジーが標準装備となっているのが特長です。
その内容の第一に挙げることができるのは、低速走行時に作動するクルーズコントロールのASPC(オール・サーフェイス・プログレス・コントロール)で、同システムは滑りやすい路面などでも、設定速度に自動で加速・減速を行うものです。
そのほかにも、万が一衝突の危険が生じた場合、ブレーキ操作をアシストするエマージェンシーブレーキ、車線逸脱を検知した場合は警告し、車線維持をアシストするレーンデパーチャーワーニング&レーンキープアシスト、ドライバーのコンディション変化を検知するドライバーコンディションモニターなどが、全車で標準装備されました。
また、駐車場で自分のクルマを探したり、ドアやウィンドウの締め忘れがないかなどを、離れた場所からスマホで確認できるIncontrol Protect(インコントロールプロテクト)も全車で装備されています。
■ジャガー XJ(X351系)は今が買い時!
ジャガー XJ(X351)は、現行モデルで先端テクノロジーと最新デザインによって、大きな変貌を遂げました。
しかし、ジャガーからは、XJにおいては、次期新型車をEV化する方針であることがアナウンスされています。
従来のパワートレインによる抜群のパフォーマンスが味わえるのは現行モデルのみとなる可能性も大です。
ぜひチェックしてみましょう。