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ベンツ、BMW、VWそれぞれどんな特徴がある?

 

世界には様々な自動車メーカーが存在しますが、特にドイツのメーカーはすぐに名前が出てくるほど有名ですね。

 

高級ブランドから大衆車まで、日本でも数多くのモデルが輸入されています。

 

そこで今回はメルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲンをピックアップして、それぞれの歴史と特徴を紹介していきます。

 

 

■世界初の自動車を作ったメルセデス・ベンツ(ダイムラー)


 

 

ドイツの技術者、カール・ベンツは1870年代にエンジン技術者として実績をあげ、1885年には自転車の技術を応用して自力走行可能な自動車「パテントモーターカー」を開発。

 

これが世界で初めての自動車とされています。

 

一方同じく内燃機関のエンジニアであるゴットリープ・ダイムラーも同じ時期に自動車を開発し、1890年に会社を設立して自動車を販売していました。

 

1899年にオーストリア・ハンガリー帝国の領事は、ダイムラー社から自動車を買って自分で売ろうと考えましたが、その時に自分の娘の名前「メルセデス」をつけることを希望しました。

 

その後1902年に「メルセデス」がダイムラー社の製品の名前として商標登録。

 

第一次世界大戦後の1926年に、ゴットリープ・ダイムラーの会社とカール・ベンツの会社が合併し、「メルセデス・ベンツ」が誕生することになります。

 

当時の自動車には「安全技術」という概念がありませんでしたが、1939年にこの概念をメルセデスが発明。

 

以降数々の安全技術が生み出されてきました。

 

 

■航空機メーカーからスタートしたBMW


 

 

1916年にドイツで創業したBMW(バイエリッシェ・フルークツォイク・ヴォルケ:バイエルン発動機製造株式会社)は、もともと航空機用エンジンのメーカーでしたが、1922年に自動車やオートバイの開発に本格的に乗り出します。

 

1923年にBMW初のバイク「R 32」が誕生します。

 

BMWはバイクレースにも参加し、高い人気を得るようになりました。

 

その後1929年に自動車「Dixi(ディクシー)」が誕生。

 

屋根が折りたたみの幌になっている2人乗りのタイプです。

 

その後第二次世界大戦に突入。

 

BMWは航空機開発の分野でドイツ軍を強化するために重要な存在となりますが、終戦後に深刻な経営難に陥ります。

 

その時は農機具や自転車といった分野でなんとか倒産せずに切り抜けたといいます。

 

その後1960年代に入り「1500」を発表。

 

現在のBMW車に通じるキドニーグリルも備え、スポーティでプレミアム感のあるデザインと走りで人気となりました。

 

まさに現在のBMWの礎となったモデルです。

 

1970年代には初代5シリーズ、そして3シリーズ、6シリーズと、ナンバリングモデルが次々と展開され、世界初となるターボエンジン車も登場します。

 

 

■国民車を作るために誕生したVW


 

 

フォルクスワーゲンの歴史は、第二次世界大戦前にまで遡ります。

 

アドルフ・ヒトラーのナチス政権時代であった1937年に、国民車を生産するという目的で「ドイツ国民車準備会社」が設立されました。

 

開発は後にポルシェを立ち上げるフェルディナント・ポルシェ博士が任命されています。

 

7リッターの燃料で100kmの走行が可能、大人3人と子供2人が乗車可能で時速100km/hで走行できること、価格は1000ドイツマルク以下という厳しい条件をクリアするため、市販に向けた改良が続くなか1939年に第二次世界大戦が勃発。

 

戦時中は軍用車両の開発・生産が行われることになりました。

 

1945年、ドイツの降伏によって第二次世界大戦が終結しましたが、早くもその年にフォルクスワーゲン・タイプ1の生産が始まりました。

 

高い経済性と耐久性だけでなく優れたアフターセールス体制が多くの人に支持され、世界中に輸出されるようになり、復興を目指すドイツに貴重な外貨をもたらしました。

 

タイプ1の成功によりフォルクスワーゲンはラインアップを拡大。

 

1950年には通称「ワーゲンバス」と呼ばれるタイプ2、1955年にはスポーツクーペのカルマンギア、1961年にはセダンのタイプ3、1968年には4ドア・ワゴンのタイプ4を発表しています。

 

 

■あのスーパーカーまで!?それぞれの傘下にはどんなメーカーがあるか


 

 

自動車メーカーの中でも歴史のある3社を取り上げましたが、現在は様々なメーカーが傘下に入っています。

 

主なブランドを取り上げましょう。

 

ダイムラー スマート:2人乗りの小型乗用車を作ることを目的として、スイスの時計メーカー「スウォッチ」とダイムラー社がそれぞれ出資して1994年に設立されたメーカーです。

 

現在はダイムラー社の100%子会社となっています。

 

 

三菱ふそうトラック・バス:三菱のトラックやバス部門は三菱重工業、三菱自動車工業の一部でしたが、2003年に分社化し、現在はダイムラーの連結子会社となっています。

 

 

BMW ロールス・ロイス:もともとイギリスの歴史ある高級自動車ブランドでしたが経営破綻し、その後紆余曲折を経て2003年からBMWが生産・販売を行っています。

 

 

MINI(ミニ):1950年代から60年代にかけてイギリス最大の自動車メーカーであった「ブリティッシュ・モーター・コーポレーション」が販売していた小型乗用車「ミニ」をモチーフとして、2001年に販売が開始されたモデルです。

 

当時ローバー社を傘下にしていたBMWがミニに関する権利を持っていたことで開発がスタートしたという経緯がありますが、現在ローバー社は残っていません。

 

 

フォルクスワーゲンの子会社 アウディ:アウディといえば1901年からの歴史を持つドイツの高級自動車メーカーですが、第二次世界大戦後、経営危機によってダイムラー・ベンツに吸収され、その後1964年からはフォルクスワーゲン傘下となっています。

 

 

ランボルギーニ:イタリアのスーパーカーメーカーであるランボルギーニは、1999年からアウディの傘下となっています。

 

 

ポルシェ:有名なドイツのスーパーカーメーカー、ポルシェも現在はフォルクスワーゲングループの一員で、2012年からは完全子会社となっています。

 

 

ベントレー:イギリスの高級車ブランドで、日本にも高級SUVであるベンテイガ、GTスポーツカーであるコンチネンタルなどが輸入されていますので有名ですね。

 

こちらは1998年にフォルクスワーゲングループとなっています。

 

 

セアト:日本には正規輸入されていないためあまり知られていませんが、セアトはスペインの自動車メーカーで、現在はフォルクスワーゲンの完全子会社となっています。

 

 

シュコダ:こちらはチェコの自動車メーカーで、1991年からフォルクスワーゲングループの一ブランドとなっています。

 

日本には正規輸入されていませんが、ヨーロッパを中心に多くの国で販売されています。

 

 

ブガッティ:1900年代の初頭にイタリア出身のエンジニアによって立ち上げられた高級車ブランドで、1998年にフォルクスワーゲングループがブランドを買収し、フランスのアルザスに本社を設置。

 

「ヴェイロン」や「シロン」といった性能も価格も桁違いのスーパーカーを販売しています。

 

ドイツの代表的な自動車メーカー3社を取り上げましたが、非常に多くのブランドがその傘下に入っていることが分かりますね。

 

特にフォルクスワーゲンはスーパーカーや高級車ブランドも抱え、幅広いユーザーのニーズに応えていることが分かります。