Gクラスとレンジローバー 富裕層が選ぶのにはワケがある
メルセデスの高級本格クロスカントリーであるGクラスと、ランドローバーのフラッグシップモデルであるレンジローバー。
どちらも世界中のセレブに愛される高級SUVですが、それぞれ全く違う個性があります。
なぜそれほどセレブに人気なのか、それぞれの特徴を紹介し、解説していきます。
■初代からずっと変わらないスタイリングが魅力のメルセデス・ベンツ Gクラス
Gクラスは今でこそセレブ御用達の高級本格オフローダーというイメージが強いですが、もともとはオンロードでも快適に走れるオフローダーというコンセプトで開発されたモデルです。
こうして1979年に発売された初代のW460型が、現在のGクラスの源流ということになります。
初期のモデルは堅牢なラダーフレームにスクエアなスタイリングなどやストイックで無骨なオフローダーというイメージがありますが、オンロードでの快適性を意識したサスペンションセッティングや7種類ものエンジンラインアップ、ショートとロングのボディタイプ、ATとMT両方用意されたトランスミッション、コンバーチブルモデルも用意するなど幅広いユーザー層のニーズに応えるモデルでした。
1990年には初のフルモデルチェンジが実施され、2代目となります。
基本的なスタイリングは初代から継承しつつも、フルタイム4WDシステム、ABS、3種類の電気式ディファレンシャルの搭載などメカニズムが大きく進化しました。
またインテリアデザインは一気に乗用車感が強くなり、素材にはレザーや上質なウッドなどが使用されるようになりました。
その後2001年のマイナーチェンジでさらにインテリア(内装)がモダンに進化。
2006年にはディスチャージ式ヘッドライトの採用、2007年には6.5インチディスプレイ搭載のマルチファンクションコントローラー搭載、2012年のマイナーチェンジではLEDデイライトやコマンドシステムの採用など、メルセデスの上級カテゴリーモデルに搭載されるシステムが順次導入されていきます。
そして現行型となる3代目は2018年にデビューとなります。
デザインに大きな変更はなく、すぐにGクラスと分かるスクエアなスタイリングですが、細部やメカニズムは大きく変わっています。
たとえば大きく張り出したバンパーやホイールアーチ、ヘッドライトやコンビネーションランプのLED化など、先代より迫力のある外観と、先進的でモダンな印象が大きく向上しています。
インテリアはセンターデフのスイッチや助手席アシストグリップなどGクラスの特徴とも言えるディテールが見られますが、メタリックやウッドの加飾は質感が高く、まさに高級車にふさわしい、上質な空間が形づくられています。
■ラグジュアリーオフローダーのさきがけとも言えるレンジローバー
レンジローバーは、イギリスの自動車メーカーであるランドローバーのフラッグシップモデルです。
初代レンジローバーは1970年に登場しましたが、ラグジュアリーで高性能、美しいデザインを持つクロスカントリーというコンセプトで、当時としては斬新なモデルでした。
今でこそ高級クロスオーバーSUVは人気のカテゴリーとなりましたが、レンジローバーはそのさきがけだったと言えます。
駆動方式は、オフロードモデルとして初めてフルタイム4WD機構を搭載。
分割式テールゲート、クラムシェルボンネット、途切れのないウェストラインなどでレンジローバーのアイデンティティを構築しています。
1994年には2代目が発表されます。
クラムシェルボンネットやどっしりと構えた安定感のあるスタイリングはそのままに、角型ヘッドランプなどモダンに進化したディテールを採用。
ラグジュアリーな魅力を高めました。
2001年には3代目にモデルチェンジ。
レンジローバーの特徴的なスタイリングはそのままに、シングルシェルのモノコックボディで、中身がより近代的に進化しています。
デザインはイタリアのRiva社のスピードボートからインスパイアされたスタイリッシュなテイストを取り入れ、インテリアのメタリックフィニッシュも最高級ヨットの装備からヒントを得るなど、プレステージ性を大きく向上させています。
2012年には4代目へと移行。
SUV初の軽量オールアルミ製モノコックボディを採用し、薄型のヘッドライトデザインやフローティングルーフなど、新時代のラグジュアリーSUVを感じさせるスタイルが採用されています。
その後、ハイブリッドモデル、また究極のパフォーマンスを目指して作られたレンジローバー・スポーツSVR、プラグインハイブリッドやマイルドハイブリッドテクノロジーの導入など、ラグジュアリー、性能、デザインなど高級SUVの究極の形を目指して常に進化し続けてきました。
■個性は違ってもそれぞれ長い間富裕層に支持されてきた
Gクラスもレンジローバーも、初代は高級な本格クロスカントリーというコンセプトでのスタートでしたが、現行型はそれぞれ違った個性を持つモデルとなっています。
Gクラスの魅力は初代から変わらない普遍的なデザインにあります。
クルマのデザインにも流行がありますから、時代が進むにつれてどんどん丸みを帯びていったり、バンパーやグリルなどが凝った形状になっていくのが普通ではありますが、Gクラスの場合は初期モデルの直線的なスタイリングがずっと継承されています。
丸目のライトやクラシカルなフォルムは親しみやすくカジュアルな雰囲気がありますが、これらをあえて変えずに細かなところや装備をラグジュアリーに仕上げ、セレブに受け入れられるようにしているところがポイントです。
これはどんなクルマでもできることではなく、本格オフローダーという機能性やメルセデスというブランド力があるからこそ成立するものでしょう。
一方レンジローバーの場合は、ラグジュアリーオフローダーというアイデンティティを時代に合わせてどんどん洗練していったところに、人気の理由があると言えます。
前述したように、3代目のレンジローバーはイタリアの豪華モーターボートからインスパイアされたデザインを取り入れました。
このようにレンジローバーは、おしゃれや流行に敏感なセレブが惹かれる美的感覚を、時代時代に合わせて迅速に取り入れてきたわけです。
コストの制約が極めて小さい高級モデルだからこそ、ステータス性の追求を長年続けてこれたのだと思います。
そしてこれは、このカテゴリーの先駆者であるレンジローバーだからこそ説得力のあるものとなっています。
高級SUVは現在各メーカーから数多くのモデルがリリースされていますが、Gクラスやレンジローバーは歴史に裏打ちされた特別な魅力を放っています。
気になる方はぜひ一度、実車を見てみるのはいかがでしょうか。