これぞワールドスタンダードの傑作 46年に及ぶゴルフの足あとを振り返る
世界が認めたコンパクトハッチバックの傑作として不動の地位を築き上げたフォルクスワーゲン ゴルフ。
1974年の発売から45年後の2019年には累計生産台数3,500万台を突破したというメガヒットモデルです。
今回はそんなゴルフの誕生から現在までを歴史を追ってご紹介していきましょう。
■ジウジアーロが手がけた初代
ビートルことタイプ1が爆発的な人気を博すなか、フォルクスワーゲンでは次なる国民車を模索していました。
その開発は、ビートル同様、ポルシェに託されたものの消滅。
その後、VWのヴェルナー・ホルステ博士が次期モデルの開発担当者になると、スタイリングおよびパッケージをジョルジェット・ジウジアーロに依頼することとなりました。
ジウジアーロは、ベルトーネやカロッツェリアギアといった名門工房で辣腕を奮い、マセラティ ギブリやデトマソ マングスタといったスポーツカーを数多く手がけてきたデザイナーで、1969年にはイタルデザインを設立。
フォルクスワーゲンの次期量産車のスタイリングを担当するという白羽の矢が立ったジウジアーロが提案したのは、エンジンを横置きでフロントボンネットに搭載するFFレイアウトを基本に、室内空間をなるべく広く、日常でも使いやすいことを考え抜いた合理的な2ボックスボディでした。
■スポーツハッチの先駆けGTIの存在
2ボックスタイプの小型乗用車に1.5L前後のエンジンを搭載し、チューニングによってスポーツ性能を高めたスポーツハッチ。
その熱い走りから”ホットハッチ”とも呼ばれ、1台で普段使いから趣味の走りまで楽しめる全方位型のジャンルとして確固たる地位を築いています。
その礎をつくったのが、1975年のフランクフルトショーでお披露目されたゴルフ GTIでした。
ゴルフのデビュー(1974年)から、約1年後に誕生したGTIは、フランスのVWディーラーからの強い要望があったとも言われています。
GTIは、1.6LのSOHCガソリンエンジンを搭載し、サスペンションやブレーキなどの足まわりを強化して、ゴルフの持つ実用性の高さはそのままに優れた運動性能を持つ1台として大ヒットを記録します。
この成功をきっかけとして、スポーツハッチ(ホットハッチ)というカテゴリーが生まれ、初代GTIは日本に上陸しなかったものの、2代目GTIは日本でもたちまち大ヒットを記録します。
2代目GTIは、コンパクトなボディに1.8L 直4SOHCエンジンを搭載。
当初は8バルブのみでしたが、のちに16バルブヘッドのGTI 16Vも追加されます。
以降ゴルフには、歴代モデルにGTIをラインアップすることになります。
■ゴルフは7から8へ 進化は止まらない
2012年には7代目が登場。
プラットフォームは新開発のMQBに変わり、ボディは全高を低く抑えたワイドで迫力のあるスタイリングとなるとともに、エンジンにはシリンダーオンデマンド(気筒休止システム)機構が備わるなど、おおきく進化しました。
そして2019年秋に、8世代目のゴルフが誕生。7代目と同じMQBプラットフォームを採用して、全長を30mm延長。そのいっぽうで、全幅、全高を小さくするなど、扱いやすさを高めました。
スタイリングはLEDランプを用いたフロントマスクやリヤビューなど、ゴルフらしさを感じさせつつも8代目へと進化しているのが良く分かります。
インテリアは、10.25インチのメーターパネルに8.25インチのセンターディスプレイが並ぶインスツルメントパネルとなり、近未来的なイメージを生み出しています。
グレード展開は、ベースグレードにあたるGolf、中間グレードのLife、上級グレードのStyleの3つ。パワートレインは、1.0Lガソリンターボエンジンと新開発の2.0Lディーゼルターボ、1.0Lと1.5Lガソリンターボをベースとした48Vマイルドハイブリッド。
さらに1.4Lのプラグインハイブリッドが設定されています。
8代目ゴルフはすでにヨーロッパで販売を開始。
日本では、2020年以降の発売を予定しています。
2019年秋に発表された新しいVWのロゴマークデザインに、内外装やパワートレイン、先進安全性能など、新時代のスタンダートとなるにふさわしい進化を遂げています。