気になる輸入ミニバン。カングー×ゴルフトゥーラン
スペース効率を第一に考えるあまり、国産ミニバンはどのメーカーもよく似たシルエットになっています。
ミニバンとしての性能を突き詰めた結果のスタイリングではありますが、多くは遊びゴゴロや個性が弱いと感じているユーザーも少なくありません。
そこでおすすめしたいのが、輸入ミニバンです。
国外メーカーの作るミニバンは、各社各様、それぞれのメーカーの色が強くでています。
「ちょっと値段が高くて…」そんなイメージも、中古車になればハナシは別。
そんななかでも、人気、価格ともに魅力的な2台(ルノー カングーと、フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン)をピックアップしてみました。
■マジメな作りで使いやすいVWゴルフ トゥーラン
フォルクスワーゲンの代表的なハッチバック、ゴルフと同じMQBプラットフォームを使用したコンパクトミニバンが、ゴルフ トゥーランです。
全長4,535mm×全幅1,830mm×全高1,670mmのボディに、1.4L 直4TSIガソリンターボまたは2.0L 直4TDIクリーンディーゼルを搭載。
駆動方式は全車FFで、トランスミッションはガソリンが7速DSG、ディーゼルが6速DSGという組み合わせです。
ミニバンでクリーンディーゼル搭載というのは、国産モデルにはほとんどありませんから、その点でもミニバンの選択肢の幅を広げてくれる、貴重なモデルのひとつでもあるわけです。
エクステリアは、ボディサイドに深く刻まれたキャラクターラインや調和の取れたプロポーション、テールに向かってなだらかに傾斜するルーフなど、ゴルフにも共通するシャープでエッジの効いたディテールと、フォルクスワーゲンらしいクリーンかつスタイリッシュなシルエットが特徴。
室内は2列シートの5人乗り仕様と3列シートの7人乗りがあり、7人乗り仕様では2列目のレバーを操作すると、シート全体が前方に倒れ込みながら移動する機構で、3列目へのアクセスを容易にしています。
■商用車の使い勝手が魅力のルノー カングー
ルノー カングーは、1997年に小型貨物車であるカングー エクスプレスと同時にデビューした小型ミニバンです。
現行型は2009年に登場した2代目で、全長4,280mm×全幅1,830mm×全高1,810mmというボディサイズにスライドドアや観音開きタイプのバックドアなどを備えたモデルで、室内は2列シートの5人乗りです。
エンジンは1.2L 直4のいわゆるダウンサイジングターボで、電子制御6速ATもしくは6速MTが組み合わせられます。
ミニバンタイプでMTが選べるのは、国産ではほぼ皆無(新車ではゼロ)です。
背の高いユニークなシルエットにアーモンド型のヘッドランプ、大きめのルノーエンブレム、イエローやブルー、マロンといったポップなボディカラーなどフレンチテイスト満載のエクステリアで、商用に利用するお店も多く見受けられます。
■乗員をメインに考えたトゥーランと大荷物も載るカングー
ゴルフ トゥーランのインテリアは、直線を基調とした機能的なイメージながら、クロームの加飾などを上品に使い全体の質感を高めています。
セカンドシートは、3名分のシートバックをそれぞれ独立して倒すことが可能で、しかも左右ドア側シートは、専用ヘッドレストを装着し座面の高さを変えることでチャイルドシートに早変わりするというインテグレーテッド チャイルドシート機能も内蔵されています。
スマートエントリー、フルオートエアコン、ハンズフリーパワーゲートなどの便利機能のほか、カップホルダーやドアポケット、シートバックテーブルなどミニバンに必要な収納スペースもたっぷりあり、国産モデルから乗り換えても不満を感じることはないでしょう。
いっぽうのカングーは、やわらかい曲線で構成されたトリム類や円形の空調ルーバー、飛行機のスロットルレバーを思わせる形状のサイドブレーキなど、ワクワクさせるディテールのインテリアに、その高い全高を生かした広々とした室内空間が自慢です。
フロントシートの頭上には、室内高の高さを活かしたすオーバーヘッドコンソールもあり、荷物の置き場に困ることはないでしょう。
ゴルフ トゥーランのように最新の装備、エンターテインメント機能、ユーティリティがあるわけではありませんが、オートエアコン、後席パワーウインドウといった基本的な快適装備は用意されています。
ラゲッジルームは、高さ1,155mm、幅1,121mmで、後席シートを収納すると1,803mmもの奥行きを持つスペースを確保できるなど、シンプルで基本的な装備で十分という方にとっては魅力的なミニバンとなっています。
■おサイフにも優しいダウンサイジングターボ
前述したとおりゴルフ トゥーランのエンジンは、1.4Lガソリンと2.0Lディーゼルの2種類で、1.4Lガソリンが最高出力110kW(150ps)/5,000-6,000rpm、最大トルク250Nm(25.5kgm)/1,500-3,500rpm、2.0Lディーゼルは最高出力110(150ps)/3,500-4,000rpm、最大トルク340Nm(34.7kgm)/1,750-3,000rpmというスペックです。
車重はガソリンにくらべてディーゼルのほうが約70kgほど増しますが、多人数乗車の機会が多いという方は、ゆとりのあるトルクで力強い加速のディーゼルがおすすめです。
いっぽうカングーの1.2L直噴ガソリンターボは、最高出力84kW(115ps)/4,500rpm、最大トルク190Nm(194kgm)/1,750rpm(MT車は2,000rpm)というスペックです。
数値的には力不足かなという印象を持ちますが、トゥーランより200kgほど軽いボディのおかげで、きびきびと走ります。
しかもMT車が選べるのですから、走りの楽しさを求める方には非常に面白いモデルと言えます。
■安全機能についてはトゥーランが上
ゴルフ トゥーランには、フォルクスワーゲンの総合安全制御コンセプト「Volkswagen オールイン・セーフティ」に基づく安全装備が搭載されています。
その内容は、衝突被害軽減ブレーキ、渋滞時追従支援システム、レーンキープアシスト、駐車支援アシスト、ダイナミックライトアシスト、リヤトラフィックアラートといった最新の支援機能で構成されています。
つい先日、ニューモデルが発表されたカングーの安全装備は、 フロント両席とフロントサイドおよびカーテンエアバッグ、運転席・助手席アンチサブマリン機構、ABS、ESC、オートライト、フロント雨滴感応式オートワイパーなど、“ひと世代前”の装備という印象は否めません。
ゴルフ トゥーランの造りはドイツ車らしい、まじめで質実剛健なものです。
全幅が1,800mmを超えるボディは存在感こそあるものの、全長は一般的なワンボックスタイプのミニバンより短いので、都市部でも扱いやすいサイズと言えるでしょう。
また多人数乗車でも行き届いた装備の数々で快適にドライブができますし、ディーゼルが選べるというのもポイントです。
対するカングーは、フランス車の持つ遊び心や実用性の高いラゲッジスペースが特徴です。
荷物をたくさん積む機会が多い方や、国産モデルには見られないスタイリングに惹かれる方、MTモデルでキビキビと走りたい方におすすめです。