300万円台には絶対見えないプレミアムサルーン
新車価格で1,000万円超の高級車となると、自分で乗るクルマとしてはあまり現実味がないかもしれません。
しかし、そうしたクルマが中古車市場に流れ、ある程度の年月が経過すると、かなり買いやすい価格にこなれてくる場合があります。
その理由としては、まずクルマのサイズが大きく、購入するユーザーが限られるため、長期在庫になりやすいこと。
またプレミアムサルーンは法人登録が多く、減価償却後は下取りされることになりますが、売却益を抑える目的で下取り価格が下がるということも挙げられるでしょう。
その多くは、各メーカーのフラッグシップもしくはそれに近いモデルで装備や設計、乗り心地の面で超一流のクルマでありながら、中古で非常に安く買えるという、ものすごいお得な買い物となるというわけ。
今回は、そんなお値打ち感の高いプレミアムサルーンをいくつか紹介しましょう。
■美しいフォルムも魅力のひとつ。メルセデス・ベンツ CLSクラス(2011-2018)
メルセデス・ベンツCLSクラスは、Eクラスをベースに作られた、クーペのように美しいデザインを特徴とする4ドアセダンです。
初代は2005年に登場、ここでピックアップした2代目は2011年に国内デビューを果たしました。
LEDハイパフォーマンスヘッドライトやアテンションアシストといった最新の安全装備に加え、インテリアでは4座独立タイプのシートや、高級素材をふんだんに用いた高品質な風合いと質感が、ラグジュアリークーペを強くアピールしています。
エンジンは、新開発の3.5L V6直噴ガソリンと、AMGにより開発された5.5L V8直噴ツインターボに、約半年遅れで追加された4.7L V8直噴ターボの3タイプを用意。
そのうちAMGモデルを除けば、300万円台の予算で十分に狙うことができます。
■フラッグシップならではの威厳。メルセデス・ベンツ Sクラス(2013-2020)
Sクラスといえば、メルセデス・ベンツのフラッグシップモデルであり、メーカーの最新・最先端技術を惜しげもなく投入した、つねに世界最高レベルを維持しているクルマです。
2013年にフルモデルチェンジとなった6代目は、3.5L V6直噴エンジンに新世代ハイブリッドシステムを搭載。
他にも4.7L V8ツインターボとロングホイールベースによる広大な室内空間を採用したグレードや、最先端サスペンションシステム「マジックコントロール」と専用4WDシステムを搭載したAMGモデルなどがラインアップされていました。
Sクラスならではの、風格のある堂々としたスタイリングや、最高品質のレザーをふんだんに使用したシート、ウッドトリム、12.3インチのワイド画面を採用した最新インフォテインメントシステム「COMANDシステム」を備えるインテリアなど、リッチで快適なドライブを楽しむことができます。
300万円台の中古車であれば、2013年〜2015年の初期モデルが狙い目です。
■独伊とは違った英国流の上質さ。ジャガー XJ(2010-)
XJは、ジャガーにおける4ドアのフラッグシップモデルです。
5.0L V8直噴ガソリンNAエンジンの他に、ジャガー史上最強となる375kW(510ps)/6,000-6,500rpm、最大トルク625Nm(63.7kgm)/2,500-5,500rpmを発揮するスーパーチャージドエンジンを搭載したスーパースポーツもラインアップされています。
筋肉質なボディデザインにティアドロップ型のサイドウインドウ、リアセクションまで伸びるパノラミックサンルーフなど、ラグジュアリースポーツサルーンらしいエクステリアが特徴です。
インテリアは、メーター類がすべて液晶表示となる12インチのバーチャルインストルメントパネル、インフォテインメントシステムや空調・オーディオをコントロールする8インチのフルカラーHDタッチスクリーンが採用され、シートやインパネ、トリム類、アームレストなど主要部分には全てレザーを使用するなど、フラッグシップモデルにふさわしい上質感が演出されています。
2012年には高効率な2.0L 直4ガソリンターボや3.0L V6スーパーチャージドガソリンモデルが登場しましたが、300万円台なら初期の5.0Lエンジンモデルが狙い目となっています。
■4座になってもポルシェはポルシェ。ポルシェ パナメーラ(2009-2016)
ポルシェ パナメーラは、高いスポーツ性能を備えた新しい高級セダンとして、2009年に登場しました。
初期モデルには4.8L V8ガソリンNAとターボがラインアップされ、トランスミッションは7速2ペダル式MTのポルシェ・ドッペルクップリングが搭載されています。
2010年には新たに3.6L V6エンジンと、ベーシックグレードに6速MTモデルを追加。
また2011年には、3.0L V6スーパーチャージドエンジン+モーターによるハイブリッドモデルが設定され、こちらには8速ATが組み合わせられます。
ひと目でポルシェと分かる特徴的で存在感のあるデザインや、その名にふさわしいパフォーマンス、それでいて大人4人が快適に移動できる室内空間と実用的なラゲッジスペースなどなど、これまでの高級サルーンとはアプローチの異なるパナメーラは、IT系ベンチャーなどのセレブに人気です。
2009年に登場した初代パナメーラなら、300万円台から見つかります。
■機能美とはこのモデルのためにある。アウディA7スポーツバック(2010-2018)
アウディのフラッグシップモデル「A8」に匹敵するようなセダンの快適性や高級感を持ちながら、クーペの持つエレガントさやステーションワゴンの持つ実用性を融合させたのがA7スポーツバックです。
ボリューム感と迫力のあるフロントデザイン、クーペのようになだらかな傾斜を持つルーフライン、切り詰められた前後オーバーハングといったディテールは、ゆとりのボディサイズと高級モデルだからこそ実現できるプレステージ性があり、ノッチバックセダンとは違う高級感や個性を感じさせます。
リアは大きな開口部を持つ電動式リアゲートとなっており、ラゲッジ容量は最大1,390Lとステーションワゴンに匹敵する広さを実現しています。
インテリアには高品質なミラノレザーシート、電動格納式の8インチ大型タッチパネルモニター、プレミアムサウンドシステムを標準装備としています。
2010年から2018年まで販売された初代A7スポーツバックは、200万円半ばから狙えます。
■イタリアの贅を尽くした内外装。マセラティ ギブリ(2013-)
ギブリはイタリアの高級スポーツカーメーカー、マセラティの4ドアセダンで、現行型は2013年に発売されました。
「ネコ目」と呼ばれる鋭いデザインのヘッドライトや、大胆なデザインのフロントグリルなど、マセラティらしさを随所に感じられるエクステリアが特徴となっています。
エンジンは最もベーシックなモデルでも3.0L V6ガソリンターボが搭載され、最高出力は350ps/5,500rpm、最大トルクは500Nm/4,500rpmというスペックです。
ZF製8速ATやブレンボ製デュアル・キャスト・ブレーキシステム、理想的な重量配分やスカイフック・サスペンション(グランスポーツに装備)など、高級スポーツモデルならではの贅を尽くしたメカニズムで、甲高いエキゾーストサウンドと共にイタリアンスポーツカーの世界を心ゆくまで堪能できます。
こちらは現行型なので、300万円台で狙うなら初期モデルがターゲットととなります。
コストの制約が少ない高級モデルだからこそ搭載される数々の豪華装備や贅沢なメカニズムは、多少年式が古くなったとしても、エントリークラスでは味わうことのできない乗車体験を、ドライバーのみならずパッセンジャーにも与えてくれます。
ぜひ一度、本物を味わってみてはいかがでしょうか。