メルセデス・ベンツ 5代目Eクラスステーションワゴン(S213)を解説
メルセデス・ベンツEクラスにステーションワゴンが登場したのは、1985年デビューのS124ミディアムクラスが始まり。
以来、5代にわたり、常にラインアップされる貴重な存在です。
国産ワゴンが消えるなか、変わらずラインアップされるのはなぜか、現行モデル5代目Eクラスステーションワゴンの魅力を紹介しましょう。
■5代目Eクラスステーションワゴン解説|デザイン・先進技術が大きく進化
ステーションワゴンの魅力といえば、通常モデルの性能を持ちながら、荷室容量も大きいため、多用途で使い勝手が良いことでしょう。
メルセデス・ベンツのステーションワゴンの場合、その魅力を維持しているのはもちろん、それに加えて、高いプレミアム性を持ち合わせているのが特長です。
Eクラスステーションワゴンは、メルセデス・ベンツ初のステーションワゴンとなったS123を始祖に持ち、1985年、当初はミディアムクラスの名で誕生したS124が初代にあたります。
以来、S210、S211、S212を経て、現行モデル5代目EクラスS213となったのは2016年で、2020年のマイナーチェンジを境に前期型・後期型に分かれます。
5代目Eクラスステーションワゴンのトピックとして挙げることができるのは、先代よりデザインが刷新され上質さが増したこと、先進技術が格段に進化したことでしょう。
デビュー当初はガソリンが2.0L 直4ターボ、3.5L V6ターボとし、ディーゼルが2.0L 直4ターボの計3種類で構成されました。
グレード体系は、ガソリンモデルがベースグレードにE200ステーションワゴン アバンギャルド、4WDのE200 4マチックステーションワゴン アバンギャルド、スポーティ仕様のE200ステーションワゴン アバンギャルドスポーツ、スポーティ仕様+出力アップのE250ステーションワゴン アバンギャルドスポーツ、上級グレードでV6かつ4WDのE400 4マチックステーションワゴン エクスクルーシブがラインアップ。
ディーゼルでは、ベースグレードがE220d アバンギャルド、スポーティ仕様のE220d アバンギャルドスポーツがラインアップ。
アバンギャルドにはそれぞれ本革仕様も用意されていました。
2019年には48Vマイルドハイブリッドシステムを採用した新開発エンジン搭載車も登場します。
2020年にはマイナーチェンジにより後期型へと移行し、さらにプレミアム感をアップするとともに、対話型インフォテインメントシステムMBUXも採用されました。
後期型では、ガソリンがエントリーモデルをE200ステーションワゴン スポーツとし、4WDのE200 4マチックステーションワゴン スポーツ、出力アップのE300ステーションワゴン スポーツ、上級グレードのE450 4マチックステーションワゴン エクスクルーシブをラインアップ。
一方、ディーゼルは、E220dステーションワゴン スポーツのみのラインアップとなっています。
■Eクラスステーションワゴンのエクステリア|洗練され、よりスポーティに
Eクラスステーションワゴンのエクステリア(外装)は、前期型で先代よりローワイドにアグレッシブとした印象を、後期型でフロント回りを中心に一新させることで、洗練度が増し、シャープさ・スポーティさを高めているのが特長です。
フロントでは、ラジエターグリルの形状を新デザインの台形とし、E450 4マチックエクスクルーシブを除き、AMGライン同様のダイヤモンドグリルを採用、LEDヘッドライトの左右に向けて切れ上がるデザイン、バンパー下部に配置される2本フィンによって、ダイナミックな印象を高めました。
サイドはルーフがボディ後端まで達する伸びやかなフォルムにより、ゆとりを感じさせ、リアでは、幅広の2分割リアコンビネーションランプが、ワイドなボディデザインを一層際立たせています。
グレードによる装備の違いで一番のトピックとなるのは、E450 4マチックエクスクルーシブを除くグレード全てで、AMGスタイリングパッケージ(フロントスポイラー、サイドスカート&リアスカート)が標準装備されることでしょう。
また、アルミホイールはE200ステーションワゴン スポーツ、E200 4マチックステーションワゴン スポーツ、E220dステーションワゴン スポーツでは19インチAMG5ツインスポークが採用。
E300ステーションワゴン スポーツでは、19インチAMG10ツインスポークが採用され、E450 4マチックエクスクルーシブでは、18インチマルチスポークが採用されます。
ボディサイズは、全長4,950~4,955mm×全幅1,850mm×全高1,465~1,470mm、ホイールサイズは2,940mmとなりました。
■Eクラスステーションワゴンのインテリア|質感を高めたクラス越えの空間
Eクラスステーションワゴンのインテリア(内装)は、前期型でSクラス並みに高められた質感を、後期型ではさらに熟成させているのが特長です。
コックピットには、セダン同様12.3インチのワイドディスプレイ2画面が、機能的に横一列に配置され、速度・車両状況・ナビなどを最低限の視線の移動で、安全に操作・把握することが可能となりました。
ステアリングホイールは、新開発の3本ツインスポークを採用、メーターパネルの設定操作はもちろん、エアコン、ナビ、安全運転支援システムなどの操作も手元で行え、さらに、その性能はリム静電容量式センサーとすることで、検知精度を高めています。
シートは、グレードにより相違があり、E200ステーションワゴン スポーツ、E200 4マチックステーションワゴン スポーツ、E220d ステーションワゴン スポーツで、人工皮革ARTICO+ファブリックが採用。
E300ステーションワゴン スポーツでは、ともに人工皮革となるARTICO+DINAMICAを採用し、E450 4マチックエクスクルーシブでは、本革のナッパレザーが採用されました。
荷室容量は、後席乗車時でVDA方式640Lとなり、40:20:40の分割可倒式のリアシートを倒せば、最大1,820Lの大容量を確保しています。
さらに、Eクラスステーションワゴンは、手を使わずに、バンパー下部へ足を近づけるのみでテールゲートを開閉するフットトランクオープナーが全車で標準装備となりました。
■Eクラスステーションワゴンの走行性能|新開発エンジンで加速性アップ
Eクラスステーションワゴンの走行性能は、新開発エンジンの48Vマイルドハイブリッドシステムにより、スムーズで素早い加速性能としているのが特長です。
同システムのエンジンとモーターは、グレードにより、従来型でベルトを介し連結するBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)採用と、ベルトを介さずエンジン出力軸直結型となるISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)採用に分かれます。
BSG、ISGのいずれも、スターターと発電機の機能をあわせ持ちますが、システムによる出力や効率の度合いは、ISG採用車の方が高いと言えるでしょう。
グレードによるパワートレイン相違では、ガソリンがE200ステーションワゴン スポーツ、E200 4マチックステーションワゴン スポーツに、1.5L 直列4気筒ターボ+モーター(BSG)のM264エンジンを搭載し、駆動方式は、4マチックが4WDとなり、それ以外はFRを採用。
E300ステーションワゴン スポーツには、2.0L 直列4気筒ターボのM264M20エンジンを搭載し、駆動方式はFRが採用されます。
上級グレードのE400 4マチックステーションワゴン エクスクルーシブには、3.0L 直列6気筒ターボ+モーター(ISG)のM256エンジンが搭載され、駆動方式は、4WDが採用されました。
一方、ディーゼルは、2.0L 直列4気筒ターボのOM654エンジンを搭載し、駆動方式はFRを採用。
トランスミッションには、全車で9速ATが採用されています。
M264搭載車は、最高出力が135kW(184PS)/5,800~6,100rpm、最大トルクは280Nm(28.6kgm)/3,000~4,000rpm、燃費性能は、WLTCモード11.7〜12.4km/Lとなりました。
M264M20搭載車は、最高出力が190kW(258PS)/5,800~6,100rpm、最大トルクは370Nm(37.7kgm)/1,800~4,000rpm、燃費性能は、WLTCモード11.3km/L。
M256搭載車は、最高出力が270kW(367PS)/5,500~6,100rpm、最大トルクは500Nm(51.0kgm)/1,600~4,500rpmとなり、燃費性能は、WLTCモード10.8km/Lとしています。
OM654搭載車は、最高出力が143kW(194PS)/3,800rpm、最大トルクは400Nm(40.8kgm)/1,600~2,800rpmとなり、燃費性能は、WLTCモード16.1km/Lとなりました。
■Eクラスステーションワゴンの安全性能|他メーカーの一歩先を行く先進技術
Eクラスステーションワゴンの安全性能は、他メーカーの一歩先を行く先進技術が標準装備されるのが特長です。
レーダーセーフティパッケージとして搭載されるその内容には、ステアリングに手を添えるだけで、前方車との車間を維持し自動で加速・減速するアクティブディスタンスアシスト・ディストロニック、右折時の直線対向車や歩行者との衝突回避をアシストするアクティブブレーキアシストなどを搭載。
そのほかにも、移動したい車線にウィンカーを出すだけで、自動で車線変更を行うアクティブレーンチェンジングアシスト、前方の歩行者と衝突の危険を回避後、スムーズに走行車線に戻れるようアシストする緊急回避補助システムなど、高度な内容も標準装備されています。
また、後期型で搭載された対話型インフォテインメントシステムMBUXも大きなトピックの一つ。
「ヘイ、メルセデス」で起動する同システムは、目的地入力や電話通話、音楽選択など、インフォテインメント機能のほかにも、各種ヒーター、照明などの操作まで、高度な音声認識技術により、自動で操作を行う画期的なものです。
■Eクラスステーションワゴンは、5代目がおすすめ!
5代目でさらに上質感を増したEクラスにおいて、広い荷室容量を持ち、オン・オフ問わず使えるステーションワゴンはおすすめのモデルです。
しかし、新車ともなるとかなり高額であるのが現状。
そんな場合、中古車が狙い目です。
ぜひチェックしてみましょう。