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輸入車(外車)メーカーが動物のエンブレムを採用している理由は?

 

国産車にはほとんど見られないのですが、輸入車にはなぜか動物のエンブレムを伝統的に採用していることが多いようです。

 

それには動物のエンブレムを採用するメーカーの歴史や背景が関係しているようですが、どんなルーツがあるのでしょうか。

 

本記事で解説していきます。

 

 

■プジョー:ライオンの力強さで最高品質をアピール


 

 

プジョーと言えば自動車メーカーというイメージが強いかもしれませんが、もともとは家族経営の製鉄業がルーツです。

 

その歴史は1810年からと非常に古く、当時プジョーが製造していた傘や工具類、コーヒーミル、自転車などにライオンのマークが付けられていました。

 

ライオンは鋭い歯や力強い肉体で力強いイメージがありますので、刃物や工具といった高い品質が求められる製品に、そのイメージと結びつけられた上で「最高品質である」ことを保証する証としてこのマークが付けられたようです。

 

後にプジョーは自動車製造を手掛けていくわけですが、その際エンブレムにもライオンが採用されたという経緯があります。

 

最近ではLEDのシグネチャーランプやコンビネーションランプに、ライオンの牙やかぎ爪などをモチーフにしたデザインが採用されているのがユニークですね。

 

 

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■ジャガー:ジャガーでスピード感やスマートさをアピール


 

 

イギリスの高級自動車ブランド、ジャガーにはその名の通りネコ科の動物であるジャガーがデザインされています。

 

これは1938年にイギリスのアーティストであるF・ゴードン・クロスビーがデザインしたマスコットをモチーフにしており、クルマのフロントにはジャガーを正面から見た顔のデザイン、リアにはジャガーのマスコットを横から見たデザインが配置されています。

 

ちなみに、ジャガーという名前は、元々、1935年にジャガーの前身であるSSカーズ社が新型モデルに名付けたのが由来です。

 

その理由は、ジャガーという動物のスピード感やスマートさが、新型モデルにふさわしいからでした。

 

その後、このモデルのヒットを経て、1945年に社名となります。

 

ジャガーのモデルはまさにしなやかなジャガーの体躯のように美しく流れるようなスタイリングと質の高いインテリア(内装)、パワフルなエンジンに買いやすい価格が特長で、人気を獲得してきました。

 

また、ル・マンをはじめとするレースの世界でも輝かしい戦績を残すと同時に、英国車らしい伝統を感じさせる高級サルーンを世に送り出すなど、ジャガーのイメージを体現するメーカーとなっています。

 

 

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■アバルトの場合:創業者の星座が由来


 

 

イタリアのフィアットモデルのホットなチューニングブランドとして有名なアバルト。

 

エンブレムには印象的なサソリのマークが入っています。

 

アバルトは1949年にカルロ・アバルトによって設立されたチューニングファクトリーで、チューニングキットの販売、スポーツカーやレーシングカーの設計や製作で1950〜60年代にかけて大きな成功を収めました。

 

創業者のカルロ・アバルトは1908年11月15日生まれのさそり座。

 

つまり自分の星座であるさそりをエンブレムにデザインしたというわけです。

 

レースに情熱を傾けた彼らしい、小型でも辛口なチューンが特徴のモデルで、そのレーシングスピリットはアバルト595として現代に受け継がれ、多くの人に愛されています。

 

 

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■ランボルギーニ:猛牛で猛々しい排気音をアピール


 

 

イタリアを代表するスーパーカーメーカー、ランボルギーニといえば猛牛のエンブレムです。

 

もともとランボルギーニは、第二次世界大戦の後にイタリアで不足していたトラックやトラクターの製造を手掛けて有名になった会社でしたが、1960年代にフェラーリに対抗したスーパーカーを作るというプロジェクトが立ち上がり、スーパーカーの方が有名になったという歴史があります。

 

このプロジェクトに際してエンブレムに採用されたのが猛牛です。

 

ご存知の通りランボルギーニのマシンにはミウラやディアブロ、ムルシエラゴ、レヴェントン、ヴェネーノというように、スペインの闘牛牧場や闘牛にちなんだ名前が付けられています。

 

名前だけでなく、猛々しい排気音や独創的なデザインもランボルギーニの魅力です。

 

農作業で力強く活躍するトラクターを手掛けていたランボルギーニらしく、そのイメージをスーパーカー作りに活かしたというわけですね。

 

 

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■フェラーリの場合:跳ね馬で躍動感をアピール


 

 

動物のエンブレムと聞いて真っ先にイメージするのはやはりフェラーリの馬ではないでしょうか。

 

フェラーリの馬は「跳ね馬」と呼ばれ、黄色の背景に後ろ足で立ち上がる、躍動感のある馬が描かれています。

 

もともとこの跳ね馬は、第一次世界大戦中に活躍したイタリア空軍(当時は騎兵隊の一部)のエース・パイロットであるフランチェスコ・バラッカが自身の戦闘機にパーソナルマークとして付けていたものだったようです。

 

バラッカは戦死しましたが、その後フェラーリのレースを見て感銘を受けた彼の母親が、フェラーリの創始者であるエンツォ・フェラーリに跳ね馬のマークを付けることを勧め、エンツォがそれを受け入れたことがいきさつとされています。

 

フェラーリはその後もレースの世界で活躍し、スーパーカーメーカーとして高いブランド力を手に入れています。

 

美しく情熱的で躍動感のある跳ね馬はフェラーリのブランドイメージにぴったり合っていますね。

 

ヨーロッパの歴史ある自動車メーカー、ブランドを中心に、動物のエンブレムが採用されたルーツを紹介しました。

 

誰もが容易に想像できるそれぞれの動物へのイメージが、クルマの特徴や個性に生かされているのがとても面白いですね。

 

クルマを取り巻く環境がどんどん変化していく中、その個性が今後どのようにクルマづくりに反映されていくのか、それも興味深いところだと思います。