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VW、アウディの「TSI」「TDI]「TFSI」はどんな意味?

フォルクスワーゲンやアウディのモデル名に付いている「TSI」や「TFSI」にはどんな意味があるのかご存知でしょうか?

 

このほかにもFSIやTDIなど、モデルグレード、排気量に関わらず付いているこの文字はいったいどんな意味があるのでしょうか?

 

 

■「TSI」はいつごろから使われ出した?


 

最初に言ってしまうと、「TSI」とは”Turbocharged Stratified Injection”の略称で、フォルクスワーゲンが商標をもつターボチャージャー付きのガソリン直噴エンジンのことです。

 

ちなみガソリン直噴エンジンは、「FSI(Fuel Stratified Injection)」という略称で呼ばれ、TSIが登場する前のメインユニットでした。

このエンジンは、燃料のガソリンをシリンダー内に高圧で直接噴射することにより、 ノッキングを起こしにくいことが特徴。 そのため過給器を組み合わせても圧縮比を高めに設定することが可能になり、排気量や気筒数を減らすことでエンジンのダウンサイジング化が行なえるようになっています。

 

そんなFSIの利点を活かしダウンサイジングコンセプトを積極的に採り入れたのが、フォルクスワーゲンのTSIエンジンです。

 

このTSIは2005年のフランクフルトモーターショーで、ゴルフGTに初めて採用されました。 このゴルフGTに搭載された1.4TSIは、1.4Lガソリン直噴エンジンにスーパーチャージャーとターボチャージャーを組み合わせたツインチャージャーユニットとなっており、2.0FSIよりも14%のパワーが向上しつつ、消費する燃料は5%減少するなどの性能向上が図られていました。

 

現在のTSIエンジンのラインアップは、1.0Lから3.0Lまで7種類。ミラーサイクルやデュアルインジェクションの採用などにより、スペック向上だけでなく環境性能も進化しています。

 

 

このTSIエンジン搭載モデルは、車名エンブレムにTSIのロゴマークが使われており、排気量別によってTSIの表記に若干の違いが生まれています(TSIの一部分の文字を赤くする等)。

 

ただし同じ年式のTSIでもパワーのあるツインチャージャー仕様と、シンプルで重量も軽いシングルチャージャー仕様があり、そのネーミングだけではシングルチャージャーかツインチャージャーか判断できないところが、VWのエンジンをややこしくしています。

 

 

■VWは「TSI」、アウディは「TFSI」


 

TSIがフォルクスワーゲンで使用されているのに対し、アウディではこの直噴システムと過給器によるユニットを「TFSI」と呼んでいます。

 

アウディでTFSIの名称が最初に使われたのは2005年のA3に搭載された1.4TFSIで、小排気量、低燃費に加えてドライバビリティにも優れていることから、多くのユーザーに支持されたユニットとなっていました。

 

ただし、アウディのTFSIにツインチャージャー仕様は存在せず、直噴エンジンにターボもしくはスーパーチャージャーの組み合わせとなっています。

 

排気量のバリエーションは、1.0Lから4.0Lまで8種類で、S系モデル専用に2.9L TFSIも用意されています。

 

 

■インターナショナル エンジン オブ ザ イヤーに輝いた「TSI」


 

世界中の自動車ジャーナリストによって、優れた内燃エンジンおよび電気モーターが毎年選出される「インターナショナル エンジン オブ ザ イヤー」。

 

1999年から始まっており、世界中の自動車メーカーが注目するアワードとなっています。 燃費性能、騒音、滑らかさ、パフォーマンス、ドライバビリティなどの性能を総合的に判断し、その年の最優秀エンジンに「インターナショナル エンジン オブ ザ イヤー」の栄誉が与えられます。

 

この「インターナショナル エンジン オブ ザ イヤー」において、2009年と2010年にアワードに選ばれたのが、フォルクスワーゲンの1.4TSIでした。

 

このユニットはゴルフやトゥーラン、ティグアンなどに採用されたツインチャージャー版のTSIで、2009年には総合優勝の他に「グリーン エンジン オブ ザ イヤー」も受賞しています。

 

いっぽうアウディのTFSIは、「インターナショナル エンジン オブ ザ イヤー」の2.0L〜2.5L部門のベストエンジン賞を9年連続で受賞するなど、VWグループの直噴ターボエンジンは、世界が認める高性能エンジンとなっているのです。

 

ちなみにTFSIの前に付く数字は、当初、排気量を表す数字が表記されていたアウディのTFSIエンジンですが、2018年から順次、エンジン出力をあらわす数字に変わっています。

 

もっとも小さい数字は「25」で、おの場合はエンジン出力が80kW以下。「30」は81〜91kW、「40」は125kW〜150kWといった具合で、現在は「70」もっとも大きな数字になっています。

 

 

■フォルクスワーゲン、アウディがともに使う「TDI」とは?


 

フォルクスワーゲンのTSIおよびアウディのTFSIを開発するうえでのベースとなっているのが、フォルクスワーゲングループの「TDI」です。

 

TDIとは"Turbochaged Direct Injection"の略で、直噴ディーゼルエンジンにターボチャージャーを組み合わせたもの。最初にTDIを搭載したのは1989年のアウディ100TDIセダンでした。

 

このモデルが発売されて以降、ヨーロッパではディーゼル車の一大ブームが巻き起こり、以降TDIは高性能で高効率なディーゼルエンジンの代名詞的な存在となりました。

 

またこのTDIエンジンは、規制の厳しいルマン24時間レースで2006年から2014年のあいだに8回も優勝するなどの輝かしい記録を残しています。

 

 

■新しい「e TSI」とは?


 

電気自動車時代の到来を受けて、2019年にデビューしたゴルフでは「e TSI」というドライブトレインが採用されています。

 

単純に言えば48Vのマイルドハイブリッドシステムを追加したTSIエンジンのことですが、それまでのTSIとは異なり、走行中のエンジン停止を可能とし、燃費性能の向上が図られています。

 

飽くなき性能向上を目指して作り出されたTDIがさらなる進化を遂げ、生み出されたのがVWグループの「TSI」エンジンです。

 

現在は、ハイブリッドシステムを追加した「e TSI」も登場し、今後の進化も楽しみになってきました。

 

 

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